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『何度も何度も心の中で言葉を繰り返して、咀嚼して、吐き出す。そうできることがあなたらしさ。あなたの素敵なところ。』





夕飯時、突然流れた涙が止まらなくて台無しにしてしまった。
『どうしたの?』と言われても"大丈夫"とだけしか言えなくて、心の中では沢山の言葉があるのに、吐き出せなかった。
そして不穏な空気だけを残したまま部屋を出た。
どんなに安らかな空間の中にいたとしても、離れることなくちらつく影がこっちを見ている。
それはいつも心を完全に落ち着かせてはくれない。
普段はこっちを見ているだけなのに、私が弱るとその影は瞬く間に大きくなって何も見せないようにしようとする。
貰ったのことのない沢山の愛情。優しさ。
いつだって私の一番の味方でいてくれる。
そんな温もりの中にいても、突然真っ逆さまに落ちていくような、『こっちに来ちゃダメだ!』と落ちていってしまう。
常に"何かの"物差しで測られていたり、比べられている環境にいると"いい子"でいないといけないという強迫観念のようなものが植え付けられる。思ったことをそのまま口に出せなくなる。ずっとこれが足を引っ張ってくる。
私はきっと誰にも嫌われたくないのだ。どう思われたっていい、そう言いながら毛布に包まる臆病者。
いつ治るんだろう。自分で自分のこと見ながら溜息をつく。
綺麗な酸素を吸いたい。
すぐに答えが出せなくて黙ってしまうのは考えてないからではなくて、無視しているわけでもなくて、ずっと"考えている"から。
一つ一つの言葉が重たい。だから吐き出すのにも時間がかかる。
『ゆったりしているよね』そう言ってくれるとほっとする。
そのままで大丈夫だよ、と言われているような安心感がある。
その人を形成するありとあらゆる辿ってきた道を想定しながら話すのは簡単なことじゃないけど、それくらい真摯な言葉が好きだから。同じように私も投げかけてみたい。
人を思いやる気持ちって、すごく温かい。
『何度も何度も心の中で言葉を繰り返して、咀嚼して、吐き出す。そうできることがあなたらしさ。あなたの素敵なところ。』
私にはいつだって温もりをくれる人たちがいる。
私を信じてくれている人たちを信じる私を私が信じなきゃ。
そんな風に思えるだけでも、自分の大切な人たちを頭に浮かべられるだけでも、すごいことだ。沢山出来なくていい。
一つずつゆっくり、私のペースで、行こう。



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裸足が好きです

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