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私と先輩の七日間攻防

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中編。日常恋愛。
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#800字SS

気まぐれギフト

気まぐれギフト

「……ふぉーゆー」
「わっ、なんですか」
真上から落とされた小さな包袋に、作倉は座ったまま太腿の上で受け止めた。
美術室の雑多な空間に唐突に乱入してきたのは、音無侑弥。
他の美術部員は音無の声にバラバラに顔を上げると、興味無さげに自分の手元に目を戻した。元より幽霊部員も多く在席しており、美術に興味が無い者も多い。部外者が入ってきても特別騒ぎにはならないのもむしろ自然といえた。
「ええと…ありがとう

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それはよろしく。

「そういえばお前さー、くら助ちゃんに告白したっつってたじゃん」
部活の休憩中。いつもの木陰にしれっと座り込む悪友を捕まえた。隣に堂々と座り込んで、何でもない風に切り出す。
「うん」
「結果は?」
「………ない」
「ん?」
こいつの声は静かで、あまり通らない。聞き逃すのは日常茶飯事だ。ぐっと耳を寄せてもう一回言えの態度を作る。
「返事、聞いてない」
「……は?!」
お、お前……まじか? まじまじと隣

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万能くんとふつーに悪友してるおれ。

「今日はくら助ちゃんのとこ行かねーの?」
スポドリを差し出してそう揶揄ってやれば、思ったよりも凶悪な顔で受け取られた。イケメンは不機嫌な顔でも様になる。不公平な世の中なこって。
「お前が呼ぶな」
「へーへー。誰なら良いんだよ」
「俺」
「さようで。それよか、持ってきてやったおれに感謝の言葉はー?」
「大儀である」
「……アリガタキシアワセー」
我が悪友殿は本日もマイペースフルスロットル。隣に腰掛け

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