万能くんとふつーに悪友してるおれ。

「今日はくら助ちゃんのとこ行かねーの?」
スポドリを差し出してそう揶揄ってやれば、思ったよりも凶悪な顔で受け取られた。イケメンは不機嫌な顔でも様になる。不公平な世の中なこって。
「お前が呼ぶな」
「へーへー。誰なら良いんだよ」
「俺」
「さようで。それよか、持ってきてやったおれに感謝の言葉はー?」
「大儀である」
「……アリガタキシアワセー」
我が悪友殿は本日もマイペースフルスロットル。隣に腰掛ければ、これまた良いポジションを陣取ってることが分かる。
風の通りがよく、建物の影になっているから太陽も当たらない。自分より背の高いおれを手前に座らせたことで、更に見つかりにくくなっている。ちゃっかりした奴だ。自分の図体が恨めしい。
「……で、何かあったん?」
「好きって言った」
「あーそー。好きってねえ…ふーん…………は?」
思わず首を急回転させる。隣の奴は飄々とボトルに口をつけていた。くそ、騙されねーぞ。
「お前それつまり告っ、「うるさい」イ゛ッ!?」
ボトルで脛を殴られた。いや大声出したおれも悪かったけどさあ……もうちょい手加減ってもんをだな…
足をさすりながら睨みつけてもどこ吹く風。流石に腹立つのでどつき返してやる。ハハ。イケメンが痛がっても良い絵面だなチクショウ!
「返事は?」
「まだ。でも、」
俺以外のこと、多分頭にない。そう返す顔はおれから見れば緩み切っていて、こいつもふつーの男子高校生なのかって。おれ達と同じだって言わんばかりにまたふつーの一面を知るから、にくめなくて何だかんだ構う。
「はーー。おれも彼女ほしいなー」
「化学の成績悪かったお前には無理」
「人体錬成の話振られてんの? おれ彼女作りたいとは言ってねーよ?」
「『彼女』じゃなくて。『好きな子』になんない限り、無理だ。諦めろ」
「クソ。それっぽい恋愛倫理かざしてくんな」
「マジレスしたんだから捧げられるべきは感謝」
「ハイハイ、もったいなきオコトバあざーっす」

(あとがき)830字。昨日より減らせた。『私と先輩の七日間攻防』の音無侑弥と同じ部活の友達。DKの恋バナ難しかった。

お菓子一つ分くれたら嬉しいです。