短歌 ピアノ 十首

調律が必要みたい 少しだけ生きづらいのはたぶんそのせい

無理をしてキスをねだった日もあった 笑い話になりますように

形から入るタイプと連弾で触れた指から紡ぐナラティブ

口下手で不器用なのもちゃんと好き 理想ではないとこまでなんで

旋律が悲しくなると泣き出すの 正しさなんてどこにもないと

残酷なニュースを流すテレビとか部屋の明かりを消してひとつに

僕たちが持ち寄る傷にひかりなど似合わないから両目を閉じて

秒針の音が今宵は三拍子 どこ吹く風の三毛猫師匠

もし羽が生えたとしてもあなたから遠ざかるから空は飛ばない

ゆびさきに触れる黒鍵の数だけあなたを抱いていいことにする

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