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狂犬旅に出る

タイトルはスピッツの往年の名曲「魔女旅に出る」へのオマージュだと思っていただければと思います。リアルタイムで聴いた時にはわからなかった良さがだんだん沁みてくるお年頃でございます。

さて、先日「Slow LIVE 2019」に参戦してきました。

こちらは8/30(金)〜9/1(日)の三日間、大田区の池上本門寺で開催される野外フェスで、ライブアクトが日替わりだったのですが、私たち夫婦は最終日に馳せ参じました。

お目当ては木村カエラと和田唱だったのですが(この二人はラストのほうで、和田唱が大トリでした)、みんな魅力的だったためにずっと聴いていたくて、なかなか席を離れられなかったので、交代でドリンクを買いに行ったりしました。

フードブースも充実していて、道産子としては十勝のザンギがとても気になりましたが、チェックした時にはもう売り切れてました。なので我が家の夕飯は「池上名物 くずもち三種盛」となりました。これは地元の店舗三ヶ所のくずもちを食べ比べできるものでした。ふた切れずつ×3店舗=6つのくずもちで600円也。

夫「ひと切れ100円か……」
私「野暮なこと言うなよ」

「食べ比べ」という趣旨はわかりましたが、どれも美味しかったのできっと私たちは「違いのわからない大人」なんだね、と笑いあいました。その時、いたずらな風が吹いて、くずもちに振りかけられていたきな粉たちの乱舞!

ふたり「ああっ!」

白いポロシャツだった夫のその後の姿はご想像にお任せします(洗濯して落ちたけど)。

各アーティストへのフィードバックは割愛しますが(たぶんとても長くなってしまうから)、野外フェスならではの良さをいくつか、備忘録として書いておきます。

・昼間はミンミンゼミとアブラゼミの鳴き声、夕方にはヒグラシとツクツクホーシ、夜になったら鈴虫などの声が、ライブの音楽と相まって、とても耳に心地よかったです。
・子どもづれのファミリーもたくさん来ていて、赤ちゃんが泣いちゃったり子どもが騒いだりしていたのですが、それでも別にオッケーよ、な雰囲気が漂っていて良かったです。
・池上本門寺の方かな? 立ち見ゾーンにお坊さんも聴きに来てて、リズムに合わせて体を揺らしていたのが新鮮でした。そのすぐそばで肩車された子どもがペンライトを振ってたのも面白かったです。

Slow LIVEはコンセプトが「スローライフ」なので、無理にウェーィと騒ぎ暴れるわけではなく、ゆったりまったりと聴けたのも良かったです。会場全体も、のんびりしていた印象。

「いやー、野外フェスなんて久しぶり。楽しいねぇ」

私がニコニコで言うと、夫が唐突に衝撃の告白をしました。

「僕も久しぶり。10年前に有給取って『お嫁さん探しの旅』で嬬恋から静岡、神戸まで足を運んだ時以来かな」

私は持っていたプラカップをぐしゃっと握りつぶしそうになりました。中身のウーロン茶がカラで良かったです。暑かったからね、水分補給が大切ですからね。

というか、何言ってんの……?

ちょっと何言ってんのかわからない(サンド富澤風)。そこから始まった詰問タイム。

「文字通りだよ。パートナーを求めて僕は旅に出た」

10年前というと、ちょうど彼が多摩地区の狂犬として恐れられていた(?)頃です。私と出逢う、少し前でもあります。

彼曰く、「無性にそういう気分だったんだ」。

前方からは心地よい音楽が聞こえてきます。ですがその優しいサウンドも私の猜疑心を消すことは叶わず。私は思いっきりジト目を彼に向けました。

「で、その『お嫁さん』とやらは見つかったのかい」

「いや。群馬でも静岡でも兵庫でもなく、僕のパートナーは千葉にいた」

その時、昔むかし読んだ絵本「バーバパパ」を思い出しました。内容はふわっとしか覚えていませんが、ひとりが寂しかったバーバパパが世界中を旅したけどパートナーに出会えず、がっかりして帰宅したら自宅の庭からバーバママが出てきた、という(ひどくざっぱくな説明ですごめんなさい)。東京に住む彼が旅に出て、結局ひとりで帰ってきたら千葉に私がいたあたり、それっぽいな、と。

うん、「パートナー探しの旅」なんて漫画や小説の中だけのことだと思ってたよ。でも目の前にいたよね、ある意味で非日常が日常になっているテンションの人が。

改めて、変な人と結婚したなーと実感してニマニマしました(だってお互いさまだから)。

あと今回、個人的には生まれて初めて東急池上線に乗れたので嬉しかったです。車両のサイズ感と駅の雰囲気が気に入りました。戸越銀座駅への力の入れっぷりが素敵だったので、いつか降りてみたいと思います。

さて、私も私で「自分探しの旅」に出たいところですが有給が惜しいので、今日も元気に働いてきます。皆さまもどうぞ、ほがらかな一日をお過ごしくださいね。

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