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ハンバーガー(独言)

地球が丸いというのは本当でしょうか? 教科書に書いてあったからそう思い込んでいるだけではないでしょうか? きちんとつばめに尋ねましたか? そうですか。

私にはどうしてもわからないのです。わからないことをわからないと伝えると、たいていの人は笑います。笑ってくれます。私の無知は人を笑顔にするらしいのです。

つまり、私の脳みそにしわが刻まれるほどに、人々から笑顔が消えてゆくのです。地球が四角形だろうが果てしない水平だろうが、つばめが伝えてくれたことが真っ赤な嘘であろうが、そんなことは実はどうでもいいのです。る、る、る。と鳴く。

大切なのは、私がいかにして無知でいられるかということなのです。道化と無知はまるで質を異にするものです。どちらも人を笑顔にはしますが、道化というのはどうも、とんだ知識人にしか務まらない高尚な存在のようです。一方、無知というのはしばしば「昏い木偶」と評されます。そうして人は本当によく笑います。

笑顔っていいですよね! みんなが笑顔でいられるように、私はそれなりの努力をして無知を貫きます。本も読まないし、お祈りだってしません。

どうか私に名前を与えないでください。最適解を吹聴しないでください。そういうところに容易に永遠は宿ってしまうから。いつか必ず消えるという事実だけが、私に許された希望なのです。それもカットアウトする希望なのです。る、る、る。

私はとびきり無知だから、今さっき食べたハンバーガーに何の肉が混ざっていたかなんて、一度も考えたことはないんですよ。つばめのことなんて!

ああ、無知とは幸せの近似値かもしれません。だから私は既にる、る、る。

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