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短歌 雨 十首

1
雨に添う少女の影を庇うため紫陽花たちが深呼吸する

2
人知れず閉じた心を携えてただ梅雨明けを恐れて暮らす

3
怪物に食い破られたワンピースを雨がやんでも脱げずにいる

4
雨上がり叫んでいいと許可されて羽虫を潰すしかできなくて

5
認識が滲んでゆくと雨が降る未遂まみれの紫陽花の庭

6
雨を呼ぶICチップの妖精が午後昇天し便覧に載る

7
すぐ横で泣いているのにそれは雨ではないからと本を読むきみ

8
夏 もしもこのまま梅雨が来ないなら黒い日傘を用意しておけ

9
紫陽花の濡れた花弁に触れてみる地球出身であるのは同じ

10
404 not found 元素記号の一覧にきみの名前が掲載される

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