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アスペルガー症候群(ASD)のAさんが未経験のプログラミングにチャレンジし成功した話

Aさんが入社したのは令和2年4月。職歴は6年、最初の仕事は医療事務でしたが、多岐に渡る事務作業に加え窓口の患者さんから急かされスピーディーに対応できず落ち込む日々を過ごしてきました。なんとか2年勤めましたが仕事の失敗と臨機応変に対応できない自分が嫌になり退職しました。その後、ショップ店員になりますが、良かれと思って言った言葉がお客様を怒らせることが多く1ヶ月で退職。その後はアルバイトを転々とする毎日を送っていました。そんな時、たまたま当社発行の新聞広告で「IT専門の障害者雇用」を見つけて応募となりました。

基礎アセスメントとインサイト分析で才能の見える化

採用後は、基礎アセスメントとして47項目のヒアリングを行うのですが、そこでAさんには数学的な素質があることが判明します。その後インサイト分析によりプログラミングの能力があることが分かります。早速Aさんの育成プログラムの準備が進められ、カリキュラムの6割がpython,PHP,Javaなどのプログラミング言語でのシステム開発となりました。育成プログラムは実践と同等の作業が提供され、Aさんには中小企業のバックオフィス系業務のIT化開発など数種類が割り当てられます。2ヶ月の育成プログラムでAさんは頭角を表し、全ての業務システムを完成させました。

発達障害者のワークエンゲージメントを高める育成プログラム「CIC」

育成プログラム Cocoroto Innovation Challenge(CIC)は、いわゆるパソコン教室のような手取り足取り教えるのとは違い、基本的に自主理解、自主学習をベースとします。与えられた課題を解決するためにはどんなスキルが必要なのか、業務担当スタッフとの会話の中で学ぶための教材が確定します。Aさんは調達した教材を見ながら、プログラミングをゼロから勉強し始めます。その後、2ヶ月でAさんはプログラミングの基礎をマスターし仕事を担当できるレベルに成長しました。後日、本人にその当時の状況を聞いたところ「夢中に取り組んでいた」と言っています。

好きなことと、能力があることはイコールではない。能力があるから「夢中」になれる。

ここでAさんの「夢中に取り組んでいた」について解説したいのですが、Aさんはプログラミングが好きでもなく、やりたいとも思っていませんでした。たまたま与えられた目の前の課題を進めたら「夢中」になってどんどんのめり込んで行ったという事です。好きなことと、能力があることはイコールなのでしょうか。好きなことだからやり続けることができる場合もあります。しかし、自身が持っている能力に気づいていない場合、たまたまその能力を発揮する環境があれば、知らぬ間に「夢中」になるのだと思います。

まだ見ぬ潜在的な才能、能力は自分では発見できない場合があります。誰かがそれに気づき、発見し、育成し社会へ還元することが必要です。

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