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2022年1月19日

今日のココ日(ココルーム日記)
今日は関わっているアジアの詩集作りのために「うんこさんの話」という釜ヶ崎在住のオッチャンが書いた詩を英訳していた。
これはココルーム代表の假奈代さんが編み出した「こころのたねとして」という手法を使って、その場で出会った二人が一組になりお互いの話を聞きながら詩を作り合うというやり方で出来た作品だ。
この詩を書いた岡本さんは掘り方と呼ばれる掘削作業のプロだった。
2013年からココルームに来るようになり、以来釜ヶ崎芸術大学の講座のレギュラーとして、井戸掘りでも活躍し、最近では段ボールハウスの講座のゲスト講師を務めた。
今年度前期の釜芸のパンフレットの表紙でマスクをして段ボールの上に寝そべった岡本さんの写真を見て衝撃を覚えた人もいるかもしれない。
ある時、岡本さんに「アートってなんですかね?」と訊ねたことがある。
岡本さんは「いやぁ、わしはアートのことはなんにも分からんけど、ココルームの井戸掘りはアートやったなぁ、と思うね。」と答えた。
僕はそれを聞いて、あのココルームの熱狂的井戸掘り事業を作業ではなくアートとして感じとれる岡本さんの感性にとても感銘を受けたのを覚えている。
そんな岡本さんが書いたお話。
まずこの“うんこさん”と呼ばれる人が女性なのか男性なのか、はたまた架空の存在なのか、それすら分からないまま話は進んでゆく。
最初のうちは“うんこさん”のことを話しているようなのだが、後半になってくると、話の内容が本当に“うんこさん“のことなのか、この話を書いた岡本さんのことなのかだんだん混乱してきてしまう。
そして最後の一節でなぜか清々しい気分になり、モリモリと元気が出てくるのだ。
この岡本さんが生み出すユーモラスなグルーヴは英語になってもきっと伝わるだろう。
岡本さんをはじめ釜ヶ崎に暮らすオッチャンたちの才能は計り知れない。
(書いた人:テンギョー)


現在、ココルームはピンチに直面しています。ゲストハウスとカフェのふりをして、であいと表現の場を開いてきましたが、活動の経営基盤の宿泊業はほぼキャンセル。カフェのお客さんもぐんと減って95%の減収です。こえとことばとこころの部屋を開きつづけたい。お気持ち、サポートをお願いしています