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ココルーム宿泊者に新型コロナウイルス感染症の陽性の連絡が入ったその日から

七夕の日「マスクをはずせますように」と、こどもが書いた短冊をみつけたのは、その出来事のあとでした。


ココルームはゲストハウスとカフェです。ココルームに関心を持ってくださる方もいれば、宿泊や喫茶のために訪れる人もいます。この間、カフェは時短営業とし、風通しをよくし、椅子の間にはぬいぐるみを置き、釜ヶ崎芸術大学はオンラインを取り入れるなど、感染防止につとめてきました。「であいと表現の場」をこの状況下でどのように開くのかを模索しながら、扉を開けています。あらためて、体調のおもわしくない人々を日常的に受けいれる医療機関で働く方々、そして、エッセンシャルワークの方々のご苦労に頭がさがり、感謝もうしあげます。

2020年7月7日、夜7時頃、ココルームに保健所から電話がありました。その後、本人に連絡して、新型コロナウイルス感染症の検査の結果が陽性だと告げられました。

この後、その場にいたスタッフたち、ココルームに長期滞在している人たちは調べものや消毒に動き出し、毎日、話し合いを重ねました。

微調整や軌道修正をくわえながら、ひとつひとつの案件について取り組んでいます。

保健所のやりとり、接触があるかもと思われる人との連絡。リスト作成。調べることも多数。消毒、清掃。店舗営業をどうするか。近所や関係各所への連絡。ココルームを会場とするトークイベントなどの主催者との連絡。釜ヶ崎芸術大学の講座はオンラインのみに。その場にいる人たち、働くスタッフの気持ちを聞き合う。もっとも頭をかかえたのは、このことを公表するのかどうか、するとすればどうするのか、ということです。ネットで調べても記事は少なく「ケースバイケース」とありました。詳しくは、「経過」の方をご覧ください。

その夜、保健所とやりとりをして、数時間のうちに、濃厚接触者は4名となりました。宿泊者2名(うち1名は大阪府外へチェックアウト済み)、フロント係のスタッフ1名、こども1名です。彼らにすぐさま2週間の自宅待機をお願いしました。

1人の宿泊者の家は現在ココルームですから、トイレとシャワーをその人専用にして、この方の名前を書いた紙を貼りました。

当たり前ですが、細かいことが次からつぎへと出てきます。

さて、陽性者の方に負い目を感じてもらいたくありません。けれど、わたしもこの話を誰かにお話するさいに、つい「ごめんなさい」と前置きしてしまいます。感染防止につとめていなかったんではないか、と落ち度を思ってしまうからです。でも、この世を一瞬たりとも落ち度なく生きることなどできるのでしょうか。そして、そういう場面に多くさらされるのは、どちらかというと弱い立場の人々ではないでしょうか。

新型コロナウイルスは、目に見えません。未知の存在で、わからないものです。何がどうなのか、よいのか、よくないのか、わからないのだけど、世の中の「空気」は作られています。

自分の身体性や精神性、他者との関わりを、よくわからないままに、「空気」のようなものに覆われて、あるいは分断され、勝手に定義されていくようです。

わたしたちは、こうした「空気」の感覚に自分をあずけぱなしにしたくないと思います。この社会では誰かが働き、誰かが存在していることによって、生きることができます。その関わりの中に生きていることを自覚したうえで、その中のひとりとして生きていきたいと思います。

声にしにくい気がかり、不安、心配、違和感、弱さも表しあいながら、そして、表しあうことから生まれる可能性や創造性、関係性を開いていきたいと思います。もっとも可能性とは不可能性をふくむと考えます。調整や更新を重ねるために失敗もするものだと思います。ココルームの挑戦と創造性は、日々のちいさな積み重ねのなかにあります。だからこそ開示して、経験を更新していきたいと思います。

感染防止のマスクはおもいやり。でも、熱中症なども気をつけて。マスクをはずせない日常に馴染むための工夫を考えたいです。

新型コロナウイルス感染症も、この世界の連なりのなかにあり、ひとりひとりの存在があり人生があり、自然や造形物があり、時間があります。それぞれの立場で、今日もていねいにいたいと思います。よく寝て、食べて、適度にからだを動かし、いっぱい悩んで、話して、失敗して、それらを表現して、応答しあっていきましょう。

2020年7月9日 上田假奈代

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ココルームは、今大ピンチに直面しています。カフェ業と宿泊業の売上が活動の基盤を支えていましたが、新型コロナウイルスの影響で95%の減収です。今日と未来のために新しいであい方をさがしたい、仕事や住まいを失うなど、困った方と力をあわせたい、生きのびる知恵と技をこの街から発信したい、という思いから、現在ココルームはクラウドファンディングを実施中です。であいと表現の場を開きつづけていくために、みなさんの応援をお願いしています。
https://motion-gallery.net/projects/cocoroom2020

ココルームではみなさんからのご支援をさまざまなかたちでお願いしています。コロナで寄付を求める声の多いなかに申し訳のない気持ちも大きいのですが、ココルームをこれからも毎日開いていくために、応援いただけませんでしょうか。よろしくお願いします。
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現在、ココルームはピンチに直面しています。ゲストハウスとカフェのふりをして、であいと表現の場を開いてきましたが、活動の経営基盤の宿泊業はほぼキャンセル。カフェのお客さんもぐんと減って95%の減収です。こえとことばとこころの部屋を開きつづけたい。お気持ち、サポートをお願いしています