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※この日の記事も、後日の今日、思い出して書いています。

それは何でもない夕食の日でした。
真向かいに座る娘をふと見ていた時、左腕のやけに可愛い何枚かの絆創膏に気づきました。

私は本当に残念ながら、心理士なんです。
同じように、腕に絆創膏や包帯や、リストバンドをしている中高生をたくさん見てきました。
だから分かってしまったんです。

ああ、この人、リストカットしてるな。

食事が終わった後、少し軽い感じで聞きました。
「これどうしたの?」
「部活で転んだ」

いや、部活に行けないって、泣いて帰ってきたのは今朝の事じゃん。
明らかな嘘。

確定だなと思いながらも、
「見せてみなよー」
と、腕を掴もうとしましたが、冗談ぽく「やだー」と逃げられてしまいました。

分かったのは、リストカットしてるということと、それを私に知られたくないと思っているということ。
その日はどうしていいか分からなくて、そのまま終えました。

次の日の朝、娘の部屋に入っていって左腕を掴み、真剣な顔で言いました。
「リストカットしてるでしょ」
娘は蒼白になっていました。
「リストカットしてるよね」
本当にたった1.2センチくらい、頸を動かしてうなずきましたが、それ以上何もできない様子で、完全に固まっていました。
あんな娘の様子、初めて見た。

もしまたやることがあったら、教えて欲しいとだけ伝えました(心理士のマニュアル的対応ですね…)。

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