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庭づくりの話 <生き物が棲む庭>

ひとつの庭ができるまでの話。
敷地もクライアントも特別な巡り合い。二つとないそこだけの庭をどうつくるか。いつも気持ちをまっさらにして先入観を持たないように気を付ける。

今回は、タイトルにあるように生き物が棲む庭の話。どんな生き物が棲んでいるのかというとメダカ、カエル、トンボ、アシナガバチ、シジュウカラなどの鳥たちなどたくさんの生き物が棲みついてくれた。もともと一般的にどこにでもある造成された分譲地で、何もないような場所だった。
クライアントとは、知人を通じて知り合い最初の打ち合わせで生き物が棲める環境にしたいと要望があったと記憶している。もう9年ほど前になる。その時に奥様からフクロウが来るといいねと言われ驚いた。そんなことを要望にあげるクライアントはこれまでいなかったので、庭の世界でフクロウが来るなんて夢のようであるが、なんとかそれに近い環境を育てられないかと考えた。
最初は、ご主人はそんなに自然志向ではなかったように思う。打ち合わせを重ね、生き物のこと、ビオトープの考え方、庭に生えてくる雑草のことなどを話し合っていくうちに興味が湧いてきたのだと思う。今ではとても庭の自然についてよく知っているし、大切にしてくれている。
さあ家が完成し、これから庭の設計をしようという時の写真をお見せしよう。

この時も雑草が生えているが、この土地を買った時はセイタカアワダチソウがもりもりに生えていたそうだ。周りは畑や田んぼが多く、元々の土はとてもいいように感じた。これなら雑草から始めて森へ育てていけるかもしれない、そう思った。
さあ、そこで私は案を練り始めた。畑も欲しいということだったので畑のスペースを確保しつつ自然を呼び込みたい。池が中心となって生き物たちが集ってくる、そんなストーリーだ。

これが最初のプラン。
大きな池をウッドデッキの前に配置して、部屋の中にいても水面に反射する光を感じられるように提案した。

これはパース。池に桟橋をかけて、庭へ出ていくなんてとてもワクワクしそうでしょ。
ただこの案は水を水路のように回していたので、検討した結果、却下。でも池の位置はとてもいい感じでクライアントも共感したくれたので池をつくることになった。横幅は5mにもなる本格的なビオトープ池。試しに庭の土を掘ってみたところ畑の土のようでとても水捌けも良く、自然には池になってくれそうにない。そのため底には防水シートを敷き土と石で隠すことにした。畑の位置も実は近々お隣に家が建って日陰になることがわかり、計画の変更が必要となった。さあ、2案目だ!

つづく

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