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『品の正体』 第四講 品の領域

『品の正体』 第四講 品の領域


 今回は、『品』の領域についてお話してまいります。

 品には、三つの側面がありました。一つは『品のレベル』、次に『品のステート』、そして『品のステージ』でした。

 これらはそれぞれ『品位』、『品格』、『品質』という言葉が当てはまり、その三つの側面には、それぞれの要素を規定する四つの領域があるというのが、今日のお話の本筋です。それをこれから解説してまいります。

Ⅰ.三つの側面を規定する
四つの領域とは

今まで、『品』を規定する三つの側面についてみて参りました。

 今回は、その話を少し進めて参りましょう。それぞれの側面を規定する領域というものがあるというご説明です。

 その前に、もう少し、三つ側面について理解を深めておく必要があるでしょう。

 『品』とは、歴史、習慣、慣習による文化との関連があることはお話した通りです。そして歴史、習慣、慣習と『品』の要素の関連をみてまいりますと、次のような関連があることが分かります。

歴史=『品質』ステージ

習慣(伝統)=『品格』ステート

慣習(文化)=『品位』レベル

です。

 つまり、これらの関係から言えることは、考え方として、社会構造をどのように見立てるか、ということに他なりません。

 ちなみに、習慣と慣習の違いですが、ある慣習がさらに定着し常識的になった行為や言動が周囲の文化と溶け込んだ場合に、習慣という言葉が使われます。

 つまり、このような人と文化の流れを注意深く観察すると、慣習がある程度周知されることにより、社会に馴染み習慣的文化が生まれるという表現もできるかもしれません。

 そしてこれは、私たちが『当たり前感』として感じ取る一つの生きた文化とも言えるのでしょう。

 これらが次第に周知されていくことにより、結果として『ステージ』という『品質』の部分に関与し、それが、徐々に『品位』を変えていくような流れとして見立てることができます。

 このようなことを考えると、『品格』すなわち『ステート』に必要な枠組みとは何か、あるいは、『品位』、『レベル』に必要な枠組みは何か、そして、『品質』『ステージ』に必要な枠組みとは何かを一つひとつ見ていくことが大切でしょう。

Ⅱ.『品質』とPDCAサイクル

『改善』という言葉が『カイゼン』として世界でも注目されるようになった背景には、日本の『品質』管理に於ける厳しさや、『メイド・イン・ジャパン』という優れた文化に培われてきた、お国柄のようなものがあります。


 私たちの住まう日本という国は、アジア各国の中でも優れた品質を保持するという面では、一目置かれています。

 たとえば、自動車や家電製品、その他多くの電子機器のみならず、専門的に使用する精度の高い部品などを見れば、『品質』における信頼性と耐久性はかなり高いといえます。

 このような事実をみると、『品質』管理における国民性が伺えるかもしれません。しかし、これは民族的に優秀である優生主義的な解釈ではなく、むしろ地理的な影響やその土地の環境そのものがそのような国民性を作り出しているとも考えられます。

 この検証は、ここでは少し趣が違うので他に譲りますが、およそ日本人ほど、『品』の何かについて、昔から色々な嗜みを持っている民族はいないのではないかと思うのです。

 ここでは、『品質』を安定させ、品質向上のための『PDCA』サイクルを例に取り上げて参ります。

 『品質』を規定するPDCAとは、Plan、Do、Check、Actという頭文字をとっています。

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 つまり、『品質』を改善させるための「Plan、計画」を立て、「Do」、それを実際に「実行」し、「Check、評価」して、「Act」、更に「改善点を見出す」という繰り返しが『品質向上』あるいは『品質管理』には重要だとする考えです。

 このモデルは非常によくできているのですが、あることが守られていないと、結局のところあまり効果を発揮しなくなる落とし穴があるのです。

 次に、それをご説明して参りましょう。



 特に、このモデルを、個人的な『自己研鑽モデル』として使う場合と、集団の中で、あるいはグループ同士などが使用する場合では、振る舞いが大きく異なるのです。

 たとえば、自分が目標を立て、あるべき方向に進もうと努力するとき、自ら約束したことについて、言い訳などせず、嘘をつくこともありません。

 しかし、それが集団や組織、グループになると、同じ部署内での取り決めも、先を読んで最終結果や結論がどうなるかを予測し、目標を予め低めに設定し達成率を故意に高めたり、チーム内で協力しなければならない相手の出方を見て行動を変えたりします。

 こうなると、実際に組織やチームにある潜在的なパフォーマンスを最大に活用しきれず、かえって集団の活気や士気の低下をきたす可能性が出てきます。

 そして、このモデルは、基本的には集団や組織内で使われることが多く、この辺りの取り決めがしっかり理解できていれば、時間を無駄にすることはありません。

 ですから、このモデルは、基本的に『完全自己研鑽モデル』とご理解いただくのがよいのです。

 実は、唐突かもしれませんが、PDCAサイクルを最初に行った方は、ブッダ『お釈迦様』なのです。

 この理由については、有料コンテンツになりますが、シリーズ『神聖なる世界』第三章「魂の修行」に記してあります。ご興味のある方は、そちらもご覧になって下さい。

 基本的に集団で使用する場合は、このモデルが完全に自己研鑽が主体であることをしっかり確認しておけば、個々人の時間の無駄使いになったりチーム自体が疲弊することはありません。

結局のところ、一人ひとりの自覚が大切なのです。

 ですから、組織やチームのトップと、実働する一人ひとりが、まるで手足のように以心伝心に思ったことを伝え合い、チームのメンバーそれぞれが考えたことをしっかりと率直に正直に嘘偽りなくフィードバックできる環境においては素晴らしいツールになるはずです。

 PDCAについて、様々なセミナーがありますが、この特徴的で基本的な部分を十分に理解することで、すべての努力は報われ『品質』の改善は飛躍的に向上し、人々の心には躍動感や充実感が生み出されることでしょう。

Ⅲ.基本四領域
『品質』にまつわる四つの領域

これは、今まで私が様々なマガジンシリーズのお話の中で、社会構造には「四つの象限」があると申し上げてきたことと重なりますが、ここでは『品質』における「四つの領域」として、少し表現を変えてお話します。

 今回は、「四つの領域」に当たる名称をお伝えしておきましょう。

理念
行為
有形文化
無形文化

となります。

参考までに、今まで「基本四象限」として挙げた名称と上記のそれぞれを対応させてみましょう。

理念=精神
行為=身体
有形文化=社会(形あるモノ)
無形文化=心理(形なきもの)

と関連が深いとお考えいただいて差し支えありません。

 先ほどのPDCAサイクルとの関連をお示ししますと、初めに、理念として掲げた「Plan」に沿い、実際に行動を起こすというのが「Do」となります。

 それから、結果を見て「Check」します。これが有形文化と無形文化の中間に位置します。

 そして、集団の意見を取りまとめ、次への改善の目安とします。

 ここが特に理念に向かう「Act」で、評価から改善に結びつける、きわめて大切なところです。

 あとは、その改善に向けた理念に従い再び行動「Do」に移すというサイクルの繰り返しです。

 つまり、有形文化とは社会における確実的な領域であり、結果が目に見えるようなで出てくるとなります。この段階が評価にあたる部分です。

 そして、次に無形文化の領域に入ると、無形文化は有形文化とは異なり、技の伝承という形(見えないカタ)になります。無形文化を継承するには、師匠が弟子とともに繰り返し技を伝えていかねばなりません。

 この部分だけをみても、実際に行動して確認する繰り返しのうちにその技が伝わっていくことがお分かりいただけると思います。

 ですから、無形文化の継承には弟子と師匠が心を通わせることを必要とし、お互いの心理的な鍛錬がいかに重要であるかお分かりいただけるでしょう。

 さらにこれらの評価をもとにした改善点を、理念として個々のメンバーに周知徹底させます。それが「Act」最終段階であり、あとは、それらを行動に移すのみです。

 これがPDCAサイクルの大まかな流れです。

 これにより、『品質』の管理や維持、『改善』が得られるのです。

 しかし、これには、もう少し、留意しなければならない点があります。

 それを次回、第五講、『品の原理』でお教えすることにいたしましょう。

※このマガジン『品の正体』に連載されている他の記事はこちらから

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