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「会社員」と「フリーランス」(労災保険編)
以前、「フリーランスと会社員」という記事を書きました。
上記の記事では、フリーランス、会社員、それぞれの間にどんな違いがあるのかを大枠として捉え、書きました。
そこで、今回は、「フリーランス」と「会社員」において、「保険関係」という切り口から考えてみたいと思います。
働き方によって、どんな公的保険が適用されるのか、という意味ですね。
なお、保険関係とは、「雇用保険」や「健康保険」のことです。
より正確に言えば、
労働保険とは、「労災保険」と「雇用保険」を合わせた呼び方。
のことであり、
社会保険とは、「健康保険」と「厚生年金保険」を合わせた呼び方。
のことです。
働き方と保険適用まとめ
まず、簡易的にまとめてみましたので、次の表をご覧ください。
<働き方と保険適用の一覧表>
![](https://assets.st-note.com/img/1681807203735-HxALS9mXvj.png?width=1200)
※2労働時間等により加入要件が定められており、一定の要件を満たした場合に加入となる。
※3労働時間・年齢等により加入要件が定められており、一定の要件を満たした場合に加入。
※4原則は国民健康保険へ加入することが多いが、自身で設立した法人にて社会保険加入することもある。
各保険の制度詳細を説明しようと思えば、1つの保険で本ができるくらいボリュームがある為、ここでは詳細まで説明しませんが、理解しておくと良い点は以下2点と考えます。
1,その保険の主な制度内容
2,「前提が雇用の場合」「前提が雇用でない場合」それぞれにおいて、保険適用される否か、その違いを理解すること
よって、主に上記2点に絞って考えていきます。
労災保険の主な制度内容
今回の記事は「労災保険」についてです。
他の保険については、別記事にまとめますから、そちらを見て下さい。
「労災保険」は、正式な名称を、「労働者災害補償保険法」と言います。
労災保険では、
「業務上の事由」または「通勤」による労働者の傷病等に対して、必要な補償給付を行い、被災労働者の社会復帰の促進等を行います。
ポイントは「業務上」と「通勤」です。
つまり、業務外や通勤途上以外における傷病等は対象外、ということです。
「雇用が前提」であれば、何でもかんでも補償対象かと思えば、そんなことはない、ということですね。
さて、先の1点目「その保険の主な制度内容」について。
労災保険制度は、どのような内容となっているのでしょうか。
主に以下5つです。
1,療養補償給付
(病院や薬局を利用する際、無料で治療が受けられます。)
2,休業補償給付
(労務不能、つまり仕事ができない日については、賃金の補填としてお金が支払われます。)
3,障害補償給付
(障害が残った場合、年金か一時金が支払われます。)
4,介護補償給付
(介護を受けている場合、その費用が支払われます。)
5,遺族補償給付
(亡くなった場合、遺族に対して年金か一時金が支払われます。)
当然ながら、それぞれ細かな支給要件が決まっているものの、概要だけ言えば上記の通りです。
労災保険が適用される場合、適用されない場合
では、ここで改めて冒頭の表を見て下さい。
「労災保険」の欄は、分かりやすく、「雇用が前提」であれば「有」、「雇用が前提でない」場合は「無」となっています。
そうです、つまり、会社員のように「雇用されている」場合であれば、個人毎に何か加入手続きが発生する訳ではなく、当然に加入状態となり、細かな要件に当てはまれば、労災保険から各種給付を受給できる状態であると言えます。
※雇用している会社自体が労災保険に加入している必要はあります。
逆に、フリーランスのように「雇用が前提でない」場合、労災保険は加入状態とはなり得ない為、各種給付は支給される余地がありません。
以上のように、「前提が雇用」「前提が雇用でない」それぞれの場合における、保険適用をみてきました。
今回は「前提が雇用」の場合は補償が手厚そうな印象の話となりましたが、「前提が雇用でない」場合であっても、労災保険の代わりとなるような民間保険へ加入する方もいます。
また、業種毎に様々な団体が制度を設けている場合もありますから、それらを調べ、活用している方もいます。
重要なのは、原則を「理解しておくこと」です。
そして、「はたらく」をデザインする際の小さな小さな1要素にできたら良いと思います。
制度を知らないだけで、残念な結果になることってありますから。
次回は、「雇用保険」について考えてみたいと思います。
以下、補足です。
※細かな論点として、「使用者と一体の立場である労働者」のように、雇用の立場とそうでない立場が混在しているようなケース等、一部例外もありますが、ここでは扱いません。
※「1人親方」と呼ばれる働き方等に関しては、労災保険の例外となることがあります。建設業、塗装業、機械設備設置工事業等、特定の事業を行っている方で、原則労働者を使用せず、1人で仕事を完遂する方のことを「1人親方」と呼びます。
そして、この1人親方は、一定の要件に当てはまれば労災保険へ加入できる制度があり、そのことを「特別加入」と呼びます。
つまり、「雇用が前提でない」にも関わらず労災加入できる点で、例外と言えるでしょう。
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