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プラモデル

 プラモデルって嫌いじゃないんだけど実はあまり作ったことはない。

 子供の頃は普通に何かを作って遊ぶのが好きなどこにでもいる小学生だったボクだけど、やっぱり何をしても友達よりは少し物を知らなくて、人よりも少し不器用な小学生だった。

 当時のボクはミニ四駆に夢中になっていた。
 ミニ四駆なら作るのにいろんな道具はいらない。
 接着剤や塗装のためのスプレーもいらない。
 それでもって出来上がったら動くのだ。
 とにかくボクにとってこの動くというのは大きなことだった。

『動かないの?』
 プラモデルの話になったときに、友達にそう聞いたことがある。
『動かないよ。プラモデルってそういうもんじゃないしね』
『そうなの? なんかつまんないなあ……』
『いや動かなくたって出来上がったものを眺めていると楽しいんだよ』
『へええ……』
『な?』その友達はその場にいた他の友達に同意を求めた。
『そうだよな。それがいいんだよ』
 同意を求められた友人はそう言って二人で何やら盛り上がっていた。
 ボクは輪には入れず一人取り残された感じがした。

 動かないものを作って何が楽しいんだ?

 ミニ四駆を作り慣れてしまったボクはそう思ったのを覚えている。
 プラモデルはミニ四駆よりも作るのに時間がかかる上、お金がかかる。まあミニ四駆だって改造パーツを購入したらそれなりにお金はかかるのだろうけど、動くもののためにお金をかけるのは面白いけど、動かないものにお金と時間をかけるのはちょっと当寺のボクには考えられない価値観だった。

 プラモデルの話になると当時のそんなエピソードを思い出すのだけど、最近、あらためてプラモデルが作りたいと思った。
 それでちょっとプラモデルについて調べてみたのだけど……。

 やっぱりボクにはプラモデルは合っていない。
 そもそも手先が不器用なボクは何かを作るということに向いていないのだ。
 にもかかわらず、進学の際は工業高校の電気科に進学し、その後も専門学校に行き、電気工事士に資格を取った。だけども不器用は一向に治らず不器用なままで、電気の仕事に就いた後にも、時に配線を誤りショートさせて、先輩に怒られることもしばしばだった。
 だからこそ、電気の仕事は辞めたのだ。
 そんなボクが何かを作ることを趣味にするというのは難しいだろう。

 それにプラモデルはこだわればこだわるほど時間がかかる。
 はっきり言うが……

 そんな時間はない。
 それに今更また同じことを言ってしまうが、あらためていろいろ考えると動いたほうが面白いような気がするのだ。

 精神性だけで言えばボクは小学生の頃からさほど成長していないのかもしれない。

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