見出し画像

先進的ものづくり文化の未来を考えます。

現在、日本と世界は転換期を迎えています。リアルな商品の販売やリアルな人対人によるサービス業をベースに進んでいたビジネスの構成が、ネットによる販売・物流やSNSなどに代表されるSaaS(ソフトウェアによるサービス)企業に大きくその座を譲る状況になっています。ネットを通したサービスがますます重要度を増していく世界の中で、日本が生き残っていくには何が必要なのでしょうか?

なぜ日本のビジネスが過去の遺物になったのか?

自著で指摘したように、それは日本がこれまでビジネスの基本的な進め方を『帰納法』で考えてきたからです。

帰納法とは、多くの観察から相似点を分析し、必要な結論を導く方法です。過去、日本はこの帰納法に基づいて経済を牽引してきました。他国の優れた商品を観察し、よりよいものに仕上げるにはどういうふうに改良を施せばいいか……。いわゆる「カイゼン」を行ってきたのです。そのようにして世界に誇る高品質で壊れない製品を作り出し、世に送り出していったのです。

世界がより高品質で壊れない製品を求めているうちは、日本の経済は安泰でした。ところが「PCやスマホなどのプラットフォームに基づいたアプリ開発によるビジネスをしよう」という動きが生まれ、「ハードウェアよりも『Saas』(Software as a Service)が重要」という考えが現れた時、日本の勝ちパターンは過去の遺物となってしまったのです。

日本がずっと採用してきた帰納法はハードウェアの「カイゼン・ビジネス」には有効でしたが、世界のニーズが新しい時代に目を向けた時、世界は「シンプルなものづくり」文化から変貌し、新たな価値(創造性)が求められるようになったのです。残念ながらその時、帰納法で物事を考えてきた日本は「次に求められるだろうこと」を創造することはできませんでした。 

ビジネスのクリエイトは『演繹法』で

先進国では、ビジネスのクリエイトは『演繹法』で行われています。これは仮説やルール、観察事項からロジックに基づいて必然的な結論を導く方法で、帰納法と違って新しい商品を創造することを容易にします。シリコンバレーがこれに基づいてビジネスを考えているといえば、わかりが早いと思います。演繹法でビジネスを行うことはリスクも伴います。判断を間違えれば失敗する確率が帰納法より高いからです。ですがその失敗も加味してビジネスにチャレンジしていく勇気のある企業のみがこれからの世界で存在しうるのです。

まず大事なのは、新しいチャレンジを何もしないで徐々に市場からフェードアウトするか、新天地を目指して勇敢にチャレンジしてみるかの選択です。これからの日本の浮沈は、そのような未来を思考した演繹法による考え方が出来るかどうかにかかっています。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?