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灼熱のナゴヤ球場訪問記

2023年9月16日(土)
今年最後の遠征は、灼熱のナゴヤ球場に行ってきました。

本当は広島も神戸も行きたいのだが、最小限の体力消耗で行けるのは名古屋か東京。というのも、飼い主が住む街には新幹線が通っていない。「新幹線 開通予定」と何度調べても、出てこない。未来永劫、特急列車で我慢するしかない。

特急列車というと聞こえはいいが、とにかく揺れる。乗車して15分くらいは「今回はイケる気がする」と思うものの、その期待はすぐに打ち砕かれる。徐々にわたしは今、スペースマウンテンに乗っていますか?って気分になってくる。

スペースマウンテンなら、あと5分の我慢で耐えられるが、およそ120分はスペースマウンテンに乗らなければいけない。本家ディズニーなら願ったり叶ったりだが、胃の底から込み上げるキラキラとの戦いが続く。

キラキラとの戦いに勝ち、たどり着いた名古屋。前日から最高気温35℃の猛暑日予報。

駅に降り立った瞬間に溶けるだろうと予想していたが、案外耐えられる。今年は、昨年までの超インドアサマーと打って変わって、外で過ごす時間が長かったので、案外慣れたのだ。


1か月以上前から、この日を現地最終日と決めていた。終わった暁には、引退会見を開こうと思いながら、バンテリンドームのチケットを手に入れた。

チケットを手に入れたのに、突如として迷い始めた。ナゴヤ球場に行ってみたくはないかい?


名古屋市中川区尾頭橋にあるナゴヤ球場。テレビ中継がある一軍の面々は、空調が効いたドームが本拠地であるものの、下部組織の二軍の皆さんは、灼熱のナゴヤ球場が本拠地です。お疲れ様です。

両球団の応援団が居て、巨大ビジョンに選手の顔面と経歴が赤裸々に映し出され、空調を浴びて涼しい顔で応援できる一軍戦は楽しいけど、夏の終わりに灼熱のナゴキュウを味わってみたい。


キラキラに耐えながら、名古屋に着いたその瞬間、腹を括った。

ナゴヤ球場へ行こう

こんなこともあろうかと、武器は揃えてあった。凍らせたアクエリアス600mlとアームカバーと帽子、冷感タオルにカリカリ梅。

ナゴキュウシフトを敷きながら、恐らくナゴヤ球場に向かうであろう人の波、ほどはなく、凪に付いて最寄り駅から歩くこと10分。

無事に、外気温35℃、体感温度は湯船の灼熱ナゴヤ球場に到着。ひとり歓喜に湧いたが、誰ひとり、球場の看板を撮る人はおらず、淡々と入り口に吸い込まれていく。飼い主も負けじと涼しい顔して当日券を1,200円で購入して、入り口に進む。

入り口の横には選手寮や練習施設が併設されており、誰かの洗濯物が干してある。見てはいけないものを見てしまった気がしないでもないが、細めた横目で拝ませて貰った。バンテリンドームのチケット代が供養できた気がする。

QRコードを読み込ませる訳でも、どんな細工が施されているか見当も付かないようなスタンプを押す訳でもなく、半券をモギッてくれるスタイルで入場。嗚呼、デジタル疲労が蓄積された現代人を癒してくれるもの、それはモギリなのかもしれない。

ナゴヤ球場は全席自由席なので、開場と同時に入ると、あわよくば選手の匂いさえ嗅げるくらい近傍に座ることも出来るが、飼い主は、試合開始後に到着したため、外野の選手が「○○さーーーん」と叫ぶ声が聞こえるくらいの席に腰を掛ける。両隣どころか、左右2座席分くらいは空けて広々と座れる。

これもメイン球場では味わえない贅沢だよな。

花燃ゆならぬ、尻燃ゆ。

灼熱のナゴヤ球場に日陰など無い。たっぷり紫外線を浴びた座席は、カルビを置いたら焼けてしまうほど暑いのだ。

ぽんじりの気分になりながら、尻にはハンカチ、頭には帽子とタオルで、自らの様相を気にする余裕もなく、テルマエ・ロマエと化したナゴヤ球場で紫外線と外気温に耐える。

溶けゆくバニラ


口コミではチェックしていたものの、選手の声は聞こえるし、ブルペン(投手の練習場)の様子も見える。

プロ野球選手になって涼しいドーム球場でプレイすることを夢見ただろうに、灼熱のナゴヤ球場で白球を追いかける姿は、我が心の琴線に触れる。

いい大人なんだから、何事も涼しい顔でやろうよ…と思ってしまう、煮え切らない我が心に、渇を入れられたような気がする。やり切る事よりもやり過ごす事が上手くなっていく、大人になるってそういう事だよね?と思い込んだ自分に、思い込ませた自分に。

ちなみに灼熱のナゴキュウにいるはずの推しは姿を見せず、そりゃそうだよな…と思いながらも、不思議と悲しい気持ちは湧かなかった。このテルマエ・ロマエの中でローテーションを守ったりして毎週頑張っていたんだなぁ…と思えただけで十分です。

そりゃ欲を言えば、タオルを掲げるくらい応援している選手を見れるに越したことはない。でも、行き方を調べて、胃から込み上げるキラキラに耐えてまで、その場所まで辿り着いたことに意味がある。行ってみたい場所に行けた、その事実だけで、もう半分くらいは、心のガソリンが補給された。

今年ほど「夏を過ごした!」と言い切れる年は無かったと思います。毎年、気付いたら梅雨が明けていて、エアコン疲れを感じると思えば、もうそれは秋でした。

こんな夏の過ごし方があるなんて、WBCを見なければ知る由も無かった。夏を教えてくれたのはTUBEでも、大黒摩季でもなく、侍ジャパンでした。

ただ、知多湾に飛び込みましたか?というほど、汗で服の原型を留めていないので、どなたか、すみませんけど洗濯物を貸してください。

ありがとう、ナゴヤ球場。次は、11月の秋季キャンプで会おう。(まだ行くんかい)


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