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【続編】チョコでニキビはできるのか?ニキビリスクを高める"意外な食品"とは

こんにちは!
COCO.libraryのゆうくです!

以前の食生活とニキビに関する記事(まだ読んでいない方はこちら)では、エビデンスで示されたいくつかの「ニキビリスクを高める食品」について解説をしました。

我慢していた食べ物はそんなに問題じゃなかった!という気付きもあれば、逆に気にせずに食べていた食品が実はニキビに関係してた!など様々な感想をお持ちになったのではないでしょうか。
その中でも個人的に衝撃だったのが「牛乳」のニキビへの関与でした。
牛乳だけじゃなく、生クリームやホワイトチョコレートなど「乳製品」が大好きな僕としては「そうなのか…」と残念な声が漏れまくるデータでした…

今回は、そんな「牛乳」のニキビへの関与について詳しく掘り下げていこうと思います!


ニキビ発症と牛乳の摂取量の関係

前回ご紹介したワシントン大学の医師らによって調査された、食べ物とニキビに関する論文をまとめたレビュー¹⁾の中から「牛乳とニキビ」についてのデータを詳しく解説します。

ニキビ発症と牛乳摂取量を調べた研究報告

アメリカで行われた研究では、重症なニキビであるという診断を受けたことのある約47,000人の看護師に対し、10代のころの食生活が調査されました²⁾。
この結果、牛乳・スキムミルクの摂取量が多いほどニキビの発症率が上がることが分かりました。

ニキビの発症と乳脂肪分の関係

その他にも、牛乳によるニキビの発症が「乳脂肪分と関与するのか」についての研究報告がありました³⁾。
その研究では、乳脂肪分の多い順に「牛乳・低脂肪乳・スキムミルク」でのニキビの発症率との相関について調べられ、どれも同じようにニキビ発症との関与が確認されました。
このことから、ニキビ発症に「乳脂肪分」の多さは大きく関与しないということが考えられています。

牛乳がなぜニキビの発症に関与するのか

牛乳に含まれる「性ホルモン」について

上記で報告された研究にて、牛乳とニキビ発症に関係する要素として「牛由来のホルモン」が作用している可能性があると考察されています。
牛乳をはじめとした乳製品には様々な性ホルモンが含まれており、人体に影響する可能性があるという研究報告も多くあります⁴⁾。

牛乳に含まれていることが確認されているホルモン
引用:食品の安全に関する考察-牛乳中のホルモンに関して-, 相原英孝 
表2より引用

牛乳に含まれるホルモンが人体に影響するほかの症例

「牛乳由来のホルモンが人体に影響を及ぼす」ということについて、本当に??となっている方もいるかと思います。
次に見ていただきたいデータが、「牛乳の摂取量と乳がん発症率」に関して報告されているデータです。
多くの研究で「乳製品の摂取量が多いほど乳がん発症率も高くなる」ということが報告されています⁵⁾。

各種ガン発症率(縦軸)と1日の牛乳摂取量(横軸)の関係
引用:Dairy consumption and risks of total and site-specific cancers in Chinese adults: an 11-year prospective study of 0.5 million people 図3より引用

このことから、牛乳に含まれるホルモンは実際に人体に影響している可能性があり、ニキビ発症に対してもこの作用が影響する可能性が高いと考えられます。

ホルモンとニキビの関係

ここまでの流れでは、牛乳によるニキビ発症には「ホルモン」が関与している可能性があることが分かりました。
では、なぜホルモンがニキビ発症に関与するのか、解説していきます!

そもそもニキビ発症の原因とは?

遺伝など原因は様々ありますが、「皮脂の量」が関わっていることが多いと知られています⁶⁾。
皮脂が多くなるほど、ニキビ発症の原因の一つである「アクネ菌」の過剰増殖を促し、ニキビを発症しやすくなります。
また、アクネ菌が皮脂を「遊離脂肪酸」に分解することで、皮膚の炎症を誘発することも分かっています。

「性ホルモン」は皮脂分泌量の調整に大きく関与する

皮脂分泌量を調整する要素はたくさんあります。
その中でも「性ホルモン」による影響が特に大きいことが分かっています⁷⁾。
例として、以下の2つの報告があります。
①「男性ホルモン(テストステロン)」は皮脂産生を促す作用がある。
性ホルモンの中でも男性ホルモンは皮脂分泌を促すため、男性は女性よりも皮脂分泌量が多くなります。
皮脂を作り出す「皮脂腺細胞」に男性ホルモンを添加すると、「皮脂腺細胞の増殖と皮脂産生量を増加させる」ということも報告されています⁸⁾。

②女性ホルモンのバランスと皮脂分泌量の変化
女性の月経周期では2種類の女性ホルモン(エストロゲン、プロゲステロン)の分泌量のバランスが変化します。
月経前半には「エストロゲン」の分泌が多くなることで、皮脂の分泌量が少ない状態ですが、後半になると「プロゲステロン」の分泌量が多くなり、皮脂分泌量が多くなります⁹⁾。
これらのことから、性ホルモンと皮脂分泌量には密接な関係があることが分かります。

これらの報告を踏まえると、牛乳によってニキビ発症率が高くなることは「牛由来のホルモンが、人体の性ホルモンのバランスに影響を与えて皮脂分泌量の増加」に起因しているのではないかと考えられます。

まとめ

今回の記事のまとめです。

1.性ホルモンが皮脂量を増加させる
2.牛乳には牛由来のホルモンが含まれる
3.牛由来のホルモンは人体の性ホルモンに影響を与える
4.牛乳を飲むと牛由来のホルモンが人体の性ホルモンを刺激し、
  皮脂分泌量を増加させニキビ発症を引き起こす

以上のことから、なかなか治らないニキビで悩む方は、食生活における「乳製品」の量を見直してみることをおススメします。
僕の場合は、「ホワイトチョコ」をよく食べていて、さらに牛乳でシリアルを食べる生活もしていました。
その他にもストレスや睡眠環境などもニキビ発症の原因と考えられますが、その時期は、ストレス解消に乳製品「ホワイトチョコ」の食べすぎもあり、確かにニキビがひどい時期でした。
最近では、チョコを食べるときは「ブラックチョコ」に変えて、ヨーグルトでシリアルを食べることで、ニキビがひどくなることはなくなりました。

しかしながら、牛乳には我々の活動に重要な栄養素がたくさん含まれています(例えば人体に必須の栄養素であるビタミンDなど)。
もし、ニキビのリスクを抑えたいけど、健康のためにも牛乳を飲みたい!という方がいらっしゃいましたら、1日にコップ1杯程度の摂取に抑えておく※ことを推奨します。

※今回取り上げた論文では、「1日400mL以上摂取した方はニキビの発症リスクが高まっている」という結果でした。
つまり、1日400mL=コップ約2杯分以上飲むとニキビの発症リスクが高まる可能性があるため、1日1杯で抑えておけばニキビ発症への影響は少ないと考えます。

ここまで記事をお読みいただきありがとうございました。
この記事が、肌の悩みを解消する食生活の改善に繋がればと思います。


参考文献)
1)Diet and acne: a review of the evidence, Elsa H. Spencer PhDら, International Journal of Dermatology Volume48(2009)
2)High school dietary dairy intake and teenage acne, Clement A. Adebamowo MDら, Journal of the American Academy of Dermatology Volume 52(2005)
3)Dairy intake and acne development: A meta-analysis of observational studies, Mohadeseh Aghasiら, CLINICAL NUTRITION VOLUME 38 (2019)
4)食品の安全に関する考察-牛乳中のホルモンに関して-, 相原英孝, 愛知学泉大学・短期大学紀要 (45), (2010)
5)Dairy consumption and risks of total and site-specific cancers in Chinese adults: an 11-year prospective study of 0.5 million people, Maria G. Kakkouraら, BMC Medicine 06 (2022)
6)痤瘡・にきび, 飯島 茂子, 日本皮膚科学会雑誌/121 巻 (2011)
7)皮脂腺における性ステロイドホルモンの代謝及び作用とその意義, 笹野 公伸, 日本皮膚科学会雑誌/131 巻 (2021)
8)Control of Human Sebocyte Proliferation In Vitro by Testosterone and 5-Alpha-Dihydrotestosterone Is Dependent on the Localization of the Sebaceous Glands, Hirohiko. Akamatsuら, Journal of Investigative Dermatology Volume 99 (1992)
9) 月経周期からみた女子痤瘡患者の内分泌学的検討, 高橋 慶子, 日本皮膚科学会雑誌/94 巻 (1984)