祖母の命日と命の繋がり

ちょうど一年前、生まれてからずっと一緒に暮らしていた祖母が100歳で亡くなった。明日は祖母の命日で親戚の皆さんが久々に集まる。

母は1ヶ月くらい前から久々に親戚が集まる部屋の掃除や庭の掃除。わざわざその日のためだけにトイレのスリッパ、座布団を新調したり、お弁当やお茶菓子もお金をかけて準備。

なんでそんなに、数時間しか来ない親戚のために尽くすんだろう。

その姿を見てて、ああ、母っていつも私や家族よりも、うちに来る親戚や、祖母、世間体を大事にしてたなぁって思って、涙が出てきた。

私が高校の時に顎の矯正に失敗してから日常生活も辛くて、訴えても病院にも連れてってくれなくて、鬱病って診断されても隠そうとして、親戚や祖母の前でも私はいつも平静を装って無理しなきゃいけなかった。

そんな状態の私より、祖母の食事や介護をちゃんとこなすことが母の中では一番大事で、私はいつも無視されてる気分で辛かった。

私はこのままだと生きていけないと思って絶望しながら生きてたのに、そんな私には向き合ってくれず、私が生きていけなくてもなんとも思わないんだって思うのが、体調が悪いことより辛かった。

それでも、なんとか仕事して生きることだけ考えて必死に過ごしてた時間を思い出して、泣けた。

母は母なりに頑張ってたと思うけど、私が人生の土台を作る大事な時期に苦しんでるのに放っておかれて、

私が元気になってきて、その一周忌の準備を手伝ってって言われても、なんか心から手伝ってあげたい気になれなかった。

祖母を大切に思う気持ちはあるけど、祖母から繋がった私の命が次に繋がることを大事にしてくれなかった母に、複雑な感情が湧く。

もう許したと思ってたのに、やっぱり自分の心に嘘はつけないし、それを無理に許そうとすると、自分を大切にしてない感覚になる。

矯正しなかったら、今頃母にこんな感情を持つこともなく、幸せに過ごせてたのかなとも思うけど、無理していい子になるのはやめようと思った。

自分を大切に。そこから未来が創られる。

祖母の命日。

親戚のおじちゃん、おばちゃん、おばあちゃんの妹、その息子さんがいらっしゃった。

いつ会っても変わらず優しくて、涙。

私が繋いでいきたかったものを、ちゃんと繋いでいてくれてる温かさと優しさ。その親族の一員であることを、無条件に認めてくれる安心感を久しぶりに感じて、エネルギーが湧いてくる感じがした。

自分に降りかかってきた状況の大変さと、両親がちょっと人より弱い部分があったと思えば、少しは気持ちが楽になる。

一番身近な人が、自分の存在を否定して、その人自身は非がないと思ってる状況は本当に辛い。特にそれが親だと。子どもは選べない状況にある。

今そう言う状況の子どもや人も多いと思うけど、ちょっと外に目を向ければ、自分を本当の意味で大切にしてくれる人はたくさんいる。
それに気づいて欲しい。

自分の目の前で起きてることに必死だったり、子どもだとそれに気づく余裕も手段もなかったりして重症化しやすいけど、

引きこもり、不登校、ニートなど自立できない原因の一つに、自分が大切にされてない、本物の愛情が不足してること、自分を認めてくれる組織に所属してることを実感できてないことなどがあると思った。

一人一人の人間は孤立するとやっぱり弱い。

日本は戦後の経済成長や、そのための教育で失ってきたものが多すぎると感じる。
それに薄々気づきながらも本気で軌道修正してこれなかった結果が今あると思う。


お経を上げた後、親戚の皆さんと、カメラ好きだった祖父が撮った大量の昔の写真を見て、懐かしんだ。

戦後平穏が戻ってきたころのたわいない日常
何世代も一緒でみんな嬉しそうな家族写真
親戚のお姉さんやお兄さん、兄や自分が赤ちゃんの頃の写真
教員だった祖母の職員旅行や生徒との集合写真(私も教員だったので、感慨深い)

背景に映る空や自然は今となんら変わりがないのに、そこに映る人や、幸せそうなエネルギーは、今より輝いて見えた。
それを見ている親族も息を吹き返したような笑顔になって、私も久々に、心から嬉しい気持ちになる。

ただ、戦争に出征する祖父とその母親が並んで皆に見送られる写真の表情はなんとも言えないものがあった。
でもお国のために命を捧げるなんて、今の若者は絶対しないと思うと、どれだけ愛国心があったのかと思う。

今は国や自治体、ご先祖様や家族との縁も希薄になってる人も多く、所属する会社などがない人は孤立しやすい状況があると思う。

個の時代こそ、経済観念だけでの繋がりだけでなく、国や自治体、ご先祖様や家族との繋がりを大切に、自分を大切にしてくれる愛情を感じられる社会が必要だと思った。

私はまずは、ご先祖様や親戚とのご縁をこれまで以上に大切にしていきたいと思った。

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