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満天の星

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小説のようなものです。 良かったら読んでください。
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#散文のような小説のような

満天の星

満天の星

走ってアパートに帰る気にもなれず
友人たちとよく集まる公園に行った。

珍しく誰も居なかった。
私はいつも、隠れたい時に行く
公園の中の奥まった場所にある建物に上り
夕日が夜に変わり星が煌めき始めるのを
ぼーっと見ていた。

あー。スーパーで買ったもの
あそこに置いてきちゃった。
せっかく、朔の誕生日だから
朔の好きなグラタン作ろうと思ったのに。
用意もう今からじゃ間に合わないな。

ぼーっと眺め

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満天の星

満天の星

あれから、数ヶ月が経ち
二人暮らしにも慣れた。

あの日家に帰ると私の服やら
家具以外の荷物が家にあった。

「なんで?」と聞くと
「もう、あの家に帰らなくていい。よく頑張ったな」
と言われ初めて幼なじみの前で
家族のことで泣いた。

もう、いいんだ。と思った。
あの後姉からも連絡があり
「あんたがそんな状態だったなんて知らなかった。」
と言われ、ちゃんと隠せてたんだと
心底安心した。

「ただ

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満天の星

満天の星

今日も親に無視される。
姉は、もう成人して家を離れ
年子の兄を母は溺愛していた。

私は、ある程度なんでも出来た。
勉強もスポーツも……。
兄が出来ないことを私が簡単にやるから
気に食わなかったみたいで
母はいつも私を無視した。
父は仕事でほとんど家に帰らなかった。

死にたかった。
公立進学校のトップになっても
成績表で良い結果を出しても
馬鹿な兄の事を褒める母。
私は、産まれて一度も褒められた

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