【DIO50】初めての一人旅
1994年の夏、私は当時の足である、
DIO50という原付スクーターに、テントや寝袋を積んで、
初めてのソロキャンプツーリングに出掛けた。
行先は能登半島だ。
埼玉県熊谷市のアパートを出発。
まずは長野を目指す。
この頃は暗くなるまでひたすら走る弾丸スタイル。
300kmくらい走っただろうか、
とある山の上にある人気のない公園にテントを張る。
ところが、ここはなにげに夜景スポットだったらしく、
暗くなってから若いカップルの車のライトに照らされまくるハメに。
ところで何故キャンプ場を利用しなかったのかというと、
少しでもお金を節約したかったから。
当時はキャンプなんて貧乏旅行の節約の手段、でしかなかった。
次の日もガッツリ走って新潟の糸魚川まで。
長野の松本から糸魚川を繋ぐ国道147と148は、
起伏と変化に富んだ味わい深い道であった。
そして県道ってやつ。
基本は国道メインでその日の行程を練るのだが、
時に「→なんとかダム」みたいな標識に釣られて、
県道を走ってみると、これがまあ、結構アタリだったりする。
この日は親不知青少年旅行村という所をキャンプ地とした。
日本海を見ると、何故だかさみしくなってきた。
ホームシックならぬ人間シックであろうか。
そんな時このキャンプ場の受付のおじさんは、
私を事務所のような所に招き入れて、お茶を入れてくれた。
そこでどんな話をしたかは覚えていない。
ただ、その気遣いが涙が出るくらい嬉しかった事は覚えている。
いよいよ能登半島へ。
ツーリングマップルの「世界一長いベンチ」が、
実際は肩透かしだったが、そこから見える海がとても綺麗だった。
そしてトトロが棲んでそうな長閑な風景。
その日は砂浜にテントを張った。
すぐ近くでは家族連れが楽しそうにキャンプしていた。
私はそれを横目にチビチビお酒を飲んだ。
孤独が快に変わった。
一人旅の良い所は上げればきりがない。
例えばご飯にしても、
自分が食べたい時に食べたいものを食べる事が出来る。
これがマスツーリングだとそうもいかない訳で。
そのかわり、全部の舵取りを自分がしないといけないんだけど、
そこがむしろメリットでしかないという。
そしてバイクの一人旅は何故か、
素敵な出会いがある。
これについて、過去の日記を紐解き、
引き続き回想していきたい。