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京田って、一生懸命

コブ山田です。

ようこそいらっしゃいました。

今回は、プロ野球横浜DeNAベイスターズ京田陽太選手について、記します。
お誕生日おめでとうございます。

私の自宅の本棚に、ちきりんさん『自分の時間を取り戻そう―――ゆとりも成功も手に入れられるたった1つの考え方』があります。

この中で印象に残っているひとつの考え方が、ひとつの組織ではなく労働市場での評価を重視し、未来への最適化を勧めている、というもの(85ページ)です。この本の例では残業代がなくなると損だ、いやそれ以上に労働市場で評価されることの方が大切だろうというものでありプロ野球とは事情が違うものではありますが、チームのひとりという見方以上にひとりにプロ野球選手としての考えを大切にした。

このくだりを思い出すとともに、京田陽太からはそのように感じました。そしてその生き方には信念があると感じました。
それがこの記事です。

実際に執筆した小西亮さんも京田に幸あれとツイートしており、信ぴょう性は間違いないと考えています。

2022年の開幕戦(東京ドーム)は8番ショートで出場。打撃に負担がかかりにくい打順から始まりました。

ただ、バットは湿ったまま。ホームランを打ったことはありましたが、端から見ていても打撃の調子は良くないものでした。
そんな中でついに得意の守備にも悪影響が出ます。

05月04日(水祝)の横浜スタジアムでした。エラーしてしまうと交代を告げられ、監督には大声で叱責されるだけでなく新聞記者に向けてこう発言されました。

「戦う顔をしていない」

これは立浪監督側にも言い分はあります。選手会長であり、主力選手と言える京田に厳しくすることでチーム全体のバランスをとろうとしたようではあります。
ひいきしているわけではない、と言いたいのであればそれはわからなくはありません。

「チームを締めるため京田をああいう形にした」
と発言しています。

しかし、京田の立場からすれば喜んで聞けるものではないでしょう。試行錯誤してやっているのに全国にさらし者にされたようなものです。
プロ野球選手という職業柄仕方がない面もあるとは言え、心が押しつぶされそうになったのかと推察します。
そして、自分が納得できる形でやってやれ!と吹っ切れた。

これは私自身も似た体験があります。私は新社会人のころから、
「現在の上司といつまでも一緒に仕事するわけじゃない。どういう状況でもある程度通用するスキル・考え方を持つ方が大事だ」
と思っていました。自分が思ったというより他部署の方から授かった考え方ではありますが、納得できるものでした。
業務時間内の成果の部分以外は、上司の言うことを全部そのまま聞き入れるのではなく、それが普遍性を持っているのか、自身が納得できるのかの点を忘れずに自分で考えて実行していました。むしろ特定の環境下に最適化されてしまい固まった考え方しかできず、他所で通用しなくなる方が怖いと思っていました。
結果、私は他企業移籍を果たし、走り続けることができています。今後もその部分は大切にして生きていきたいです。

その経験があるので、現在の上司個人の意に沿わない方法でも自分の感覚を優先して取り組んだ京田陽太に私は拍手したいのです。
プロ野球チームは立浪監督が率いる中日ドラゴンズだけじゃない。監督も代わるかもしれない。
誰かは見てくれているかもしれない、自分の人生なんだ、正直な思いに沿って、やる…。

あくまでも私の推測だと断りと入れておきますが、京田はそう考えたように思いました。

京田の出場記録を見ると、中日での最終出場試合は2022年08月14日(日)京セラドーム大阪です。
ただ、この日はセカンド石垣雅海、そしてショートは土田龍空がスタメンでしたので京田はベンチスタートです。

その前が08月11日(木祝)のバンテリンドームナゴヤです。私は、その試合をちょうど観に行っていました。

守備位置はセカンド。前日は石垣が守っていました。
実は、この京田の1軍昇格も滝野要の無症状陽性判定が無関係ではなく、好成績を挙げて満を持して、ではありませんでした。
エラー出塁、セカンドゴロという結果で、02打席で交代。2017年に新人王を獲得したバットが光っていないように見えました。

それは私の気のせいだと指摘されても異論はありません。ただ、そのちょうど01ヶ月前、07月11日(月)のTwitterトレンドワードのひとつが、
"京田トレード"でした。

私はnoteにも書きました。最高の理想は中日の1番ショートとして復活すること。ただ、京田が長くプロ野球選手やれるなら、着るユニホームはこれじゃないとダメだ論は持っていません。
指揮命令が出てくる労働環境は自分ではどうにもならない面もあるのは私も社会人やっていますのでよくわかります。なるようになる…。

バンテリンドームナゴヤを出たあとにまぜそばを食べに行き、店内に飾られている高橋宏斗のユニホームを見たのですが、頭の片隅でそんなことも考えていました。

その後、月日が流れて11月15日(火)。昼間に駆け巡ったニュースはほとんどの中日ファンが驚いたことかと思います。
背番号1ケタの主力内野手がトレードで退団となりました。ただ、阿部寿樹でした。

首脳陣からの評価が低下していたことが明白な京田なら想定できていた人もいるはずですが、そうではない阿部でした。

え、じゃあ京田のトレード説消滅?まさか阿部も京田も両方出すはないだろう、と思っていた人もいたかと思いますが、そのまさかが起こったのでした。
11月18日(金)。京田と横浜DeNAベイスターズ砂田毅樹のトレードが発表されました。

「本当かよ…」

と私は言いました。京田の退団に驚いたのではなく、阿部と京田が同時に退団することへの理解が追い付かず、このような言葉が出ました。
私は2022年初頭に、溝脇隼人は京田に追い抜かされてしまっているが頑張ってほしいとnoteに書きました。
その状態から再度溝脇が逆転し生き残る形になった点もあります。ただ、悲しみはありません。中日首脳陣との巡り合わせがよくなく、来年大活躍できるとは思いにくいというコメントを複数見ました。そう考えていたのは私だけではないはずです。

その夜、私はこの言葉を聞いて笑顔になりました。

「思う存分暴れてくれ」

これは横浜DeNAベイスターズ監督の三浦大輔が京田に電話してかけた言葉です。

監督は京田の能力は認めている。環境変われば京田も解き放たれてうまくいくかもしれない。いや、そうなる可能性は高いとすら思いました。

また、中日では柳裕也、笠原祥太郎と同学年同期入団でしたが、横浜DeNAにも京田と同学年の選手が複数人在籍しています。
ピッチャーの濵口遥大、そしてレフト・ファーストの佐野恵太です。

マリオカートという共通点があります。ひとりのプロ野球選手・チームメイトとして入団を歓迎しているように感じます。

そして、私が最も大きいと考えているのはコーチに石井琢朗が在籍している点です。
理由は複数ありますが、特筆すべき点は自身も現役時代右投げ左打ちの1番ショートに長年君臨していた点です。守備負担の大きいショートを数年守ってきて肉体面での低下も少なからずあるとは思いますが、京田、復活できる。あとは本人次第です。

最後に

そのFull-count社の記事にて大きな反響を呼んだのは、

「お前、変わらんかったな」
「なんでそんな頑固なんや?」

と立浪監督がトレードを告げた際に、京田に対して面と向かって発言したというものです。
これは、結果だけならまだしも、やり方も監督が好む方法をとることを求められていたように感じます。自分色に染めたい、という表現だとわかりやすいでしょうか。
確かに立浪選手としては長年中日でレギュラー野手として活躍して安打数は球団歴代NO.1。
自分の感覚が世間で通用すると思いたくなるのはわからなくはありません。京田も試す価値は間違いなくあります。

ただ、それが最終的に京田に合うかどうかはまた別の話です。また、京田が成長できたらそれは自分の指導抜きには語れないと自身の手柄にする可能性も高いはずです。成長した部下を称えたければそのプロセスは二の次でしょうし。これをいい上司だと思う人もいればそうでないと思う人もいます。
そして、後者の方が多いと私は考えます。

上司(監督)の言葉というものは、上司本人の想像以上に影響力を持ち、部下に届きます。
横浜DeNAベイスターズでは同じ野球をするも監督、コーチがまったく違う人たちです。京田に幸あれ、を私からも申し上げ、いちプロ野球選手・いちビジネスパーソンとして見ていきたいと思った2022年のシーズン終了後から今日、そして今日からの日々でした。

ありがとうございました。

サポートいただければ、本当に幸いです。創作活動に有効活用させていただきたいと存じます。