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中日ドラゴンズに新しい株主を増やすとなると

コブ山田です。

ようこそいらっしゃいました。

今回は、”株式会社中日ドラゴンズ”について、記します。

プロ野球中日ドラゴンズ。2020年以降の本拠地球場入場制限のダメージは大きく、かつ球団株式を100%持つ中日新聞社も潤沢な資金・右肩上がりの事業があるとは言えない状態です。
新戦力の補強資金も多くありません。実際に、2021年オフに新外国人補強ができませんでした(2022年シーズン中に獲得)。

そのため、中日ドラゴンズはパートナー&スポンサー企業を募り、資金繰りを行っています。

パートナー&スポンサー企業は他の球団でも例があることです。
ただ、私は疑問に感じ、こう考えました。

「なぜ出資企業を募らないのか。100%中日新聞社の株主構成を変えて、他の企業も入り込めばいい。出資企業は株主提案ができるし、何より配当金もらえるから球団経営に対して高い熱量で向き合えるだろう」

と。

球団株式を持つメリット

株式会社中日ドラゴンズ。
プロ野球興行事業、野球振興事業を営み、資本金は4千万円です。
全株式を株式会社中日新聞社が持っています。配当金は全額、中日新聞社が受け取れる仕組みです。

しかし、前述のとおり、中日ドラゴンズ球団は資金事情は厳しく、本当の意味での自力運営ができていない状態です。

では、その100%の株式を他の機関(企業など)に一部譲渡し、資金事情を改善することは無理なのでしょうか。
株式会社中日ドラゴンズは非上場なので、他の機関が株式を持つなら株式譲渡か第三者割当増資のどちらかになります。

株式譲渡なら株式会社中日新聞社が対価を受け取りますし、第三者割当増資なら株式会社中日ドラゴンズが対価を受け取ります。
どちらの方法でも、中日新聞グループに資金が流入します。
繰り返しますが、株主になることで配当金を受け取ることができます。株主総会で提案もできます。広告宣伝費を出すスポンサーとしての方法に比べて、球団の経営により深く入り込むことができます。

実際に他球団に例があります。
2003年に、株式会社北海道日本ハムファイターズが設立されました。2004年からファイターズが札幌ドームを本拠地とするにあたり、北海道の地場企業に出資を募って新会社を設立しました。
日本ハム株式会社は親会社であるものの、74%しか北海道日本ハムファイターズの株式を持っていません。
ファイターズの株式配当金は、一部ですが北海道にも還流されるようになっています。

北海道日本ハムファイターズの会社情報ページに、スポンサー&パートナーのページがあります。

興味深いのは、”パートナー”という表現でも、北海道日本ハムのパートナー(ゼネラルパートナー、グランドパートナー)は全社同球団運営会社への出資企業であることに対し、中日のパートナー(オフィシャル・パートナー)は中日新聞社以外は出資企業ではなく、概念の違いがあります

一方でその後、2005年から参入した楽天、2012年から参入したDeNAは球団のほぼ全株式を持っており、宮城県や神奈川県の地場企業に配当金が還流される仕組みにはなっていません。
この北海道日本ハムファイターズスタイルがメジャーにならないのは、デメリットも存在するからでしょう。

球団株式を持つデメリット

球団株式を持つデメリットというより、これは非上場企業の株式を持つデメリットではあります。
撤退のハードルが上がることです。

非上場企業の株式は、多くの場合株式譲渡に制限が生まれます。その株式を譲り受ける機関が存在し、かつ株主総会での承認が必要です。
証券口座にログインして売注文を出せば済むのは上場企業の株式の話です。同列に語れません。

スポンサーなら更新のタイミングで継続しないことも可能であり、株式を持つよりは格段に身軽になります。

実際に中日ドラゴンズ株式を持つとするなら

北海道日本ハムのスタイルは15年以上変わっていません。他の機関が中日ドラゴンズの株式を所持することはまったく不自然ではありません。

引受先ですが、まずは興和株式会社が思い浮かびます。

2020年12月、興和はナゴヤドームの命名権を取得し、バンテリンドームナゴヤという名称になっています。

これにより興和はナゴヤドームに命名権料を払っています。中日ドラゴンズのスポンサー企業には興和は名を連ねてはないものの、本拠地球場の名称に関わるぐらいなので、中日新聞社の次に大きな影響を持つ企業と言っても過言ではありません。

出資するなら興和だろうな、と思っていました。
過去形なのは、2022年06月に読売巨人軍のスポンサーになったからです。

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実際に東京ドーム(中日戦)で撮りました。

ルール上の問題はありませんが、同一リーグ別球団にスポンサー料を別々に払っている状態であり、さらにその片方の球団の譲渡制限株式を引き受けるメリットが思い浮かびません。
スポンサー制度のメリットの方が大きいからその形態を選択していると考えるのが自然です。

2001年オフにフジサンケイグループであるニッポン放送が横浜ベイスターズの筆頭株主になる予定で物事が進んでいましたが、同じフジサンケイグループのフジテレビはヤクルトスワローズの株式を所有しており、複数球団の支配的保有を禁ずる野球協約に抵触する懸念から横浜の株式はTBSが所持することになることはありました。

スポンサー契約であり、複数球団の支配的保有ではないので、問題はありません。ただ、一気に興和による中日球団出資の可能性が低くなったと感じる事実です。

同様の理由で、中部電力の可能性もほぼ0です。
中部電力株式会社の連結子会社に日本エスコン株式会社が存在します。

日本エスコンは、北海道日本ハムファイターズの本拠地球場のネーミングライツを獲得しています(エスコンフィールドHOKKAIDO)。
興和の巨人本体と中日本拠地ほどではありませんが、中日本体と北海道日本ハム本拠地両方にという状態です。

となると、株式引受先は譲渡制限株式を引き受けるメリットを感じる機関になります。
中日ドラゴンズの身売り先候補について考察している、ドリーさんのnoteをぜひご覧ください。ドリーさんも中部電力のメリットが小さく可能性が少ないと述べています。興和の名前もありますが、このnoteが出たのは2021年です。

長きにわたり、中日ドラゴンズにコミットするという強い意志と明確なビジョンがあることが絶対条件のように感じます。
出資企業を募らないのではなく、仮にそうしようにもどことも利害関係が一致しないまま月日が経っているのが実態なのかもしれません。

最後に

まずは、中日新聞グループに資金が流入する。
次に、株式配当金が受け取れて、その最大化のために活動できる。
また、保守的になりがちな中日ドラゴンズのフロント幹部に革新的思考を持った人物を送り込むことができる。

そうして、中日ドラゴンズの魅力向上につなげ、長くプロ野球が続いてほしい。

という理由から、身売りとまではいかなくても他の機関による一部株式所持が中日ドラゴンズ球団の経営改善の有力選択肢だと思っていました。

ナゴヤドームのネーミングライツ発生時も、”オール東海”という言葉がありました。
北海道日本ハムのオール北海道状態みたく、中日の球団経営もオール東海という選択肢はないのかと思いました。
しかし、絶対無理とは申し上げませんが簡単には実現しそうにない話であるというのが調べていったうえでの結論になります。

プロ野球の球団経営は親会社の広告宣伝の側面が大きかったですが、単体で黒字を計上できるケースも出てきています。
中日新聞グループにとっては現状はスポンサー制度がドラゴンズにとって最もいい状態であるとは思うも、ひとつの選択肢として、
株式譲受の利害関係が合う機関があればいい、が私の別の思いです。

念のため文字に起こしますが、私は”中日ドラゴンズ”の名称を変えてほしいとは思っていません。
名前が変わる事態、身売りは最終手段であってほしいです。

ありがとうございました。

サポートいただければ、本当に幸いです。創作活動に有効活用させていただきたいと存じます。