CHEERS AGAIN 2020

コブ山田です。
ようこそいらっしゃいました。

今回は、旨酒をくみかわすことについて、記します。

かつて、夏休みにひとりで海外旅行をしたことがあります。
※既にnoteで公開済みの、アメリカのニューヨークではありません

夕方、シティホテルの上層階にあるオープンバーに向かいます。雨も降らず、いい日でした。

ビールをオーダーしていると、ヨーロッパ出身と思われる夫婦も同様にアルコールメニューをオーダーしていました。私は、スタンディングのところで彼らにグラスを差し出すと、応じてくれました。手に響く軽い震えがたまりません。

「CHEERS!」

お酒を飲む前の儀式は、言葉は違えど、同じなんだなあと。自然と笑えていました。日本でも、立ち飲み屋(スタンディングバーにも行ったことありますよ)で面識がない人と乾杯したことはありますが、“CHEERS”など少々の英語を学べば、日本国外でもこの瞬間を楽しむことができた、というお話です。宗教や体質の点から、万人に通用するものではなく、好きな人がやればいいだけのことですが、お酒は国境を越えることもできる、と実感しました。

陽が落ちて、ネオンが輝き始める街。飲むビール。そこにいた人たちは個々のグループでその時空間を満喫していましたが、“CHEERS”によって薄い一体感が生まれていたように思います。


2020年夏。
その再現は、不可能になってしまったのでしょうか。
海外旅行のハードルは一気に上がり、日本人の“乾杯”ではなく、グローバルな“CHEERS”で旨酒をくみかわすのは過去の話となったのでしょうか。
オンラインでお酒飲みながら語り合うこともできはしますが、醍醐味はグラスがぶつかり合う際の軽い震えだと感じています。そのあと喉に流れ込むアルコール。その一連の事象に深みがあると、私は思います。

食文化を語る上で、直接口をつける前とは言え、食器同士を接触させる乾杯という行為には、コミュニケーションの観点から大きな意味があると考えています。それも、大きな制限がかかってしまい、嘆かわしい限りです。日本独自の風習ではなく、国境も越えた経験をしただけに、ことさらです。

また乾杯することは、比較的容易です。開放的な店構えにして、乾杯してお酒を飲んでいる光景が見られます。
しかし、それだけではないのが、私の正直な気持ちです。

Before I drink beer, I want to say “CHEERS” again.
By Cob Yamada

ありがとうございました。

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