刈谷コーチからの手紙 - Vol.18 - 潜在力を引き出すこと｜ライフコーチング
※当記事はCOACHING-Lメルマガのバックナンバーです。
僕が今、コーチングという対人支援の手法を使って人々と向き合っているのは、恐らく、僕自身だけでなく、父の人生、母の人生、身近な人たちの人生にもっと理想の形があったのではないかと感じることが一つの理由でもある。過剰なまでの競争、行き過ぎた拝金主義、正しいと信じて疑わない社会の常識、自分が生きるうえで必要かどうかも分からない誰かの価値観を盲目的に信じ、依存し、何かがおかしいと分かっていながらも、リスクを取らず、自分の意見を表明することもなく、それを紛らわすためにアルコールや大量の糖質を摂取し、本当の気持ちには見て見ぬふりで蓋をし、一瞬の快楽に身を委ね、知らず知らずのうちに心と体を傷つける。こんな状態に陥っている大人たちが量産され、引退を待ち侘びて日々屍のように働いている社会の現状、一体どうしてこんなことになってしまったのか。
僕は最近、練馬区にある甥が所属するバスケ部のコーチに就任したのだが、そこで子供たちと触れ合っていると、この子達の未来の姿に想いを馳せずにはいられない。子供達の未来には、多かれ少なかれ、僕たち大人たちの行動や人生に向かう態度が大きく影響するだろう。彼らは身近な人達をモデリングするのだから。彼らが幸せに生きていく土台を作るのは僕たち現役世代だ。僕たちひとりひとりが自分の人生に責任を持っているという姿勢を子供達に時に背中で、時に言葉で伝えること以上に重要な教育があるのだろうかと感じる。自分が何故生きているのか、どんな人生をこれから歩みたいのか、子供達に向き合う前に、どれだけの大人たちが自分自身と向き合うことができているのだろうか。そもそも、大人の僕たちがどんな生き方をしたいのかが分からなければ、子供達に真の意味での教育などできるのだろうか？夢を持とうなんて言えるのだろうか？
教育の英語はEducationであり、語源は以下である。
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educatione-「外側へ」duce「導く」-ate「〜する」-ion「～すること」
さらに松島 鈞氏（『現代教育要論』）によれば、「語源からいうならば、educatioというラテン語に遡る。この語には動詞として、大きくするeducareと引き出すeducereの二つを派生させている。この語は、もともと、動植物の生命を引き出し、それを飼育・栽培するということを意味していたとされる。次第に、子どもを養い育てることを意味するようになった。つまり、親が子どもの成長が引き出されることを願い、育てることを意味するようになったとされる。」とある。
※宝仙学園HPより引用
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本来教育は、日本のような先生が生徒に教えるというような一方的なスタイルを意味するものではなく、子供達の潜在力を引き出すこととも解釈できる。決して、教師や社会や親に従順な、没個性的な、都合の良い金太郎飴のような人間を大量生産する為のものではない。僕の現在のクライアントは経営者やマネージメントの方が多いが、一見社会的に成功を収めているように見える彼らでさえ、時に迷い、不安を抱え、勇気を振り絞って日々を生きている。情報が波のように押し寄せる現代社会、それらに流されず、自らを保ち、律し、目的に向かって荒波をかき分けて生きていくことは容易ではない。だからこそ、コーチの存在価値があるのだろうと同時に思う。
変化には、不快を伴う。心地よいゾーンに居続けては、大きな変化は見込めない。なりたい自分になるには、真の自分と一致するには、時に葛藤と戦い、植え付けられてきた信念に抗い、挑戦し、転びながらも行動し続けるしかない。だが、その一歩を踏み出すこと、時に後退することがあっても、前進し続ける自分であり続けることこそが大切なのではないだろうか。そんな自分を受容し、時に開示し、人を勇気づけるという態度こそが重要なのではないか。誰から評価されるからではなく、自分にとって意味があることを信じ、自分で自分を評価できる自分であり続けることが、未来の子供たちにとっての最高の教育なのではないかと、それこそが真のエディケーションなのではないかと、僕は信じている。
COACHING-L代表
Life&Executive Coach
刈谷洋介
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