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習慣づくりは環境最適化問題:行動分析学という学問

こんにちは、習慣づくりサポートサービスのCoachatのやおっちです。習慣づくり Advent Calendar 9日目はCoachatのサポートで活用している「行動分析学」という学問についての話です。

Coachatでは運動に無理に取り組ませたり、高い目標を設定してなんとか達成させるということはしていません。また過度に褒めたり焚き付けるといったモチベーションへの刺激を通して行動を促すこともしていません。Coachatでは逆に「いかに自然体で取り組めるようにするか」「モチベーションに左右されずに続けられるようになるか」を行動分析学の理論を活用してサポートしています。

行動分析学とは

行動分析学について、Wikipediaでは以下のように説明されています。

行動分析学とは字義通り人間または動物などの行動を分析する学問である。行動は、生物ができるすべての行動を対象とする。具体的には、独立変数(環境)を操作することで従属変数(行動)がどの程度変化したかを記述することによって、行動の「原理」や「法則」を導き出す。これを実験的行動分析(じっけんてきこうどうぶんせき;en:Experimental analysis of behavior)という。これにより、行動の「予測」と「制御」が可能になる。その成果は、人間や動物のさまざまな問題行動の解決に応用されている。これを応用行動分析(おうようこうどうぶんせき;Applied Behavior Analysis)と呼ぶ。

行動分析学は心理学の一分野ではありますが、特徴的な点は「何かの行動がなされたりなされなかったときに、原因は個人の内面(気質や能力など)ではなくその個人を取り巻く環境にある」とする考え方です。

例えばジョギングをしようと思って3日坊主になるのは「自分がだらしないから」ではなく、「ジョギングをするための環境が自分の周りに整っていないから」と捉えます。そうすると解くべき問題は「自分の性格や気質を変える(だらしなさを変える)」ではなく「ジョギングしやすくするために周りの環境を変える」となります。「だらしなさを変える」では何をすればいいか途方に暮れますが、「ジョギングしやすくする」であれば色々な工夫ができます(気分の上がる新しいウェアを買う、まずは短い距離から始めてみる、ジョギングできた日はご褒美に美味しいものを食べる、など)。そうした行動と環境との関わりをどう理解し、どのように影響しているかを読み解くのが行動分析学です。

環境の最適化により行動を継続できるようにする

このようにある人がある行動をできない原因を内面に求めると対処が難しくなりますが、環境要因だと考えると「どのように環境を調整すれば行動を増やせるか/減らせるか」という客観的に捉えやすい問題になります。

そして同じ環境でも行動できるかどうかは人によって異なります。それはある人が真面目だからとかだらしないからではなく、行動に適した環境が人によって異なるからです。そのためそれぞれの人にとって最適な環境を作るために改善施策を順に試し、行動が増えるかを見ていきます。つまり習慣づくりはそれぞれの人を取り巻く環境をいかに最適化するか、という取り組みだと言えます。こう考えると習慣づくりは真面目さやモチベーションなどとは関係のない活動だと思えるのではないでしょうか。

(余談ですが、環境の最適化はプログラミングに通じる面白さがあるなと思っています。自分を取り巻く環境のうち、どの変数が行動へどう影響するのかを探り、調整し、結果を見る、というサイクルを回すことで行動量を増やしていくという問題なので、エンジニアであればハマりやすいかもしれません。)

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なお行動分析学について興味がある方は以下の本がおすすめです。この記事では概念的な部分しか説明しませんでしたが、こちらの本では行動随伴性などの基本についてわかりやすく説明されており、また実例も多く掲載されているため、「やる気に依存せず行動を変えるとはどういうことか」が理解できると思います。


以上、習慣づくり Advent Calendar 9日目は「習慣づくりは環境最適化問題である」という話でした。こうした習慣づくりに興味がある方はこのnoteやTwitterアカウントをぜひフォローしてください😊


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