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女性アスリートのコーチング3

前回のブログポストでは
REDsとFemale Athlete Triad
(女性アスリートの三主徴)を
簡単に説明しました。

今回は減量についてです。
ダイエットではなく
競技をする上で
必要となってくる減量です。

これは主に階級制のあるスポーツ、
格闘技やオリンピックリフティングが
当てはまるでしょう。

もちろん身体組成を変化することで
パフォーマンスアップをしたいと思う
アスリート達にも当てはまります。

このブログではまずホルモンなどの
難しいことは置いておいて、
まずは減量に対するアプローチを
書いていきます。

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自分が減量が必要な女性アスリートをコーチングする際には様々な質問を投げかける必要がある。

1 なぜ減量をしなければいけないのか?

この問いに答えられなければ意味がない。
”なんとなく”そう思ったが一番困る。
階級制であれば簡単ですが、

単純に痩せれば
パフォーマンスアップする
と思っている選手はここで
一緒に一歩二歩三歩と引いてみて、

まずなぜそのような答えに
至ったかを一緒に考える必要があります。
無闇に体重を減らして
REDsになり無月経になってはマイナスでしかない。

2 その減量は妥当か?

格闘技では必ず3−4、もしくは
それ以上の階級下のクラスにするのが
伝統的ですが、
これは果たして妥当なのか?

これはボクシングの統括団体の一つ
IBFのタイトルマッチを含む
71試合の計量時からの増量と
体重の振れ幅、これら二つが勝敗に
関係あるのかを調べた
Gianlorenzo et al., (2016)からの結論です:

”計量からの増量が多ければ多いほど、
その選手は負ける傾向にある。
また体重の振れ幅が大きい方、
つまりナチュラルウェイトと
計量時のウェイトの振れ幅大きい方が
勝つ傾向になるが
統計学的に重要な相関は
見られなかった
。”とある。

IBFでは前日と(前日計量の12時間後の)
当日計量をルールとしていて、
前日と当日を比較して
4.5kg以上増えてはならないとしている。
これだけでもかなりの増量だが、
計量後にこれ以上の増量を
他の多くの統括団体や格闘技では
これは当たり前のこととなっている。

このリサーチを見ても勝敗率は
ほぼほぼ4ー50%であり、
自分の目から見ると、
あまり極度の減量が
必要となってくるのか?と
少し疑問に思っている。

苦しい減量の割に合わないのではないか?
と思えてならない。
やはり勝算があっての
減量でなければいけないと思っています。

なので、まずその減量は妥当か?ということは考えなければいけない。やはり、同じきついことをするのであれば少しでも報われる方を選ぶべきではないか、と思ってしまう私が甘いのだろうか?ただサポートするアスリートにはやはり勝って欲しいと思うのが正直な気持ちである。

3 計量までの時間はどのくらいあるのか?

無理な減量ほど体に負担がかかる。
もちろん無理をしなければいけない
時もあります。

ですが出来ることなら
余裕のある減量期間が欲しいですね。

特に女性の体は体重は
落ちにくいようになっているので
時間を要する。無理をして怪我をし、
その上心身に障害まで残っては意味がない。

4 計画的な減量になっているのか?

上記と同じで、無理な減量ほど
体に負担がかかる。
今はいいが後になって障害が
残るような体にはなって欲しくない。

特に将来的に出産をしたい、
と思う女性アスリートは多い。
なので、ここはパフォーマンスを上げながら、
健康な体を維持する必要がある。

どちらかを選ばなければいけない
といったあまっちょろい二者択一の時代は
終わってます。

大事なことであれば
両方取れるように最善の努力を
アスリートもサポートスタッフもするべきです。

さて、計画的な減量とは何か?

引退しない限り
階級制アスリート達は減量をする。
わかっているのであれば、
日頃から減量をしやすい体重にしておくのが
当たり前ではないだろうか?

アメリカのNCAA統括下にある
大学レスリングでは週に1.5%以上の
減量をしてはいけないという
ルールになっている。

通常時74kgのレスラーであれば
71kg級に出場する際は毎週、
約900g以上減らしてはいけないのである。
このレスラーが71kg級に出場する際は
少なくとも3.5〜4週間の減量期間が必要となる。

レギュラーシーズン中は
毎週試合があるので
これだけの期間が取れない
などの理由であれば、
彼らは自分達のナチュラルウェイトに
もっと近い階級でプレーする必要がある。

以前にUFCバンダム級Julija Stoliarenkoが
計量中に気絶してしまい、
ストレッチャーで運ばれる
という騒動となった。
もちろん試合はキャンセルとなった。

これは気合いでどうこうなる問題ではない。
彼女は世界最高峰のUFCと契約した格闘家です。
気合いが足りないはずはない。
後のIGビデオで彼女は減量が急過ぎたと語っている。

これを見て本当に悲しかった。
頑張って頑張って、計量リミットをパスし、
おそらくホッとしたのであろう。
張り詰めていたものが一気になくなり、
気絶という形になったのではないだろうか。
女性の減量は本当に難しい。

なので

1なぜ減量をするのか?

2その減量は妥当か?

3時間は十分にあるのか?

4減量は計画的か?

をしっかりと考えていってもらいたい。

以上。

参考文献:

Gianlorenzo Daniele, Richard N Weinstein, Paul Wesley Wallace, Vincenzo Palmieri & Massimiliano Bianco (2016): Rapid weight gain in professional boxing andcorrelation with fight decisions: analysis from 71 title fights, The Physician and Sports medicine, DOI: 10.1080/00913847.2016.122842


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