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女性アスリートのコーチング 2


前回は自分が思う大まかな
女性アスリートに対する接し方
を書きました。

https://note.com/coach_saki/n/n12ee375cd424

今回はFemale Athlete Triad(FAT)
を書いていきます。

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では、ここから無料ブログスタートです。


女性アスリートを支える環境

まず断っておきたいのは、
私は過去に生理が
女性アスリート達に
起こっているか定期的に
聞いた事がないし、
モニタリングをした事もない。

(*2024年現在はしています。
内容に関しては別の所で書きます。)

する必要がなかったからです。
恐らくこれにはバースコントロール
が広く使用されているからだろう。
リハビリ中のふとした時に聞いても、
バースコントロールしてるからと言われた。

もしくは、今振り返ってみると、
やりたくてもできなかったと思います。
アメリカのATCは多いところでは
一人で何百人とアスリート達を
見ないといけない。

非常に激務な上、ペースも早い。
若い時はそんな余裕もなかった
というのも正直なところです。
一人一人の体調を管理できる
ようなマンパワーが
ほとんどの所にないと
言っていいでしょう。

あるとしたら上位50校の大学か
WNBAなどのプロレベルぐらいです。
ただ生理が起こり、
必要なものあるなら
必ず言ってくれました。

日本の女性アスリート達のように
男性の指導者やスタッフに言えない
という事は全くなかったです。

これには様々な理由があると思います。
言いたいのは、

どれだけ女性アスリート達と
過ごした時間が長かったとしても、
男性スタッフとして全てを
完璧にこなしていたわけではない、
ということです。

なので男性指導者や
スタッフにはリラックスして
読んでもらいたいです。
自分もまだまだ学んでいる最中です。

FATに関連した怪我は大抵の場合、
予防可能です。予防こそ最大の味方です。
なので今から情報を配信し役に立てれば、
こんなに有難いことはないし、
未来に働けるかもしれない
女性アスリート達の
知識向上に役立てたいです。

Female Athlete Triad


まずFemale Athlete Triad /
三主徴はその名の通り
3つの状態があります。

1)体内にある利用可能なエネルギーが少ない:

これには摂食障害が関わっている
可能性がある他に、
階級制のスポーツをしており
ウェイトカット期が必要な場合や、
更には年頃の女性を中心に
無理な減量を行なっているなど
様々な理由があります。

2)生理がこない(無月経/Amenorrhea)、
もしくは予定通りに月経が来ても排卵がない(Anovulation)。

3)骨の密度が減少している:
普通であれば、
運動をしてるので骨の密度を多いはずではあるが、食事からのエネルギー補給が適切ではなく
骨の密度が低くなっていく傾向になります。

ちなみにこれはPeriosteal Region、
骨の外側を覆う骨膜に多く発生する。
(疲労骨折や骨のストレス反応は
骨膜に起こることが多い。
何か思い当たる節はないですか?)

画像2
Relative Energy Deficiency

数年前からIOCはFATをRED-Sの一部としている。

FATて何?

ここから少し込み入った話になるので、
なるべく簡単にします。

つまり、FATとはなんのなのか?

簡単に言ってしまえば、
スポーツや運動からくる身体的・
精神的ストレスをコントロールする為に
必要なエネルギーが
絶対的に少ないことから起こります。

例えば競技レベルでマラソンを
走ったとしましす。

この際に筋肉や骨の組織は
ストレスにさらされるため、
もちろん壊れ、それを修復し、
より強いものにしようとする。

普通にエネルギーが利用可能であれば、
このリカバリーが起こるのであるが、
エネルギー、つまり激しい運動後に
それに見合う栄養素が様々な理由で
補給されないのでこのリカバリーが起こらない。

このことが何度も続くことによって
FATの状態になる、というものです。

FATはこれ以上に複雑な問題ではあるが、
入りとしてはこの理解でいいと
自分は思っています。

画像1
Hypothalamic Amenorrheaに関わる体内の器官の図。Gordon CM. N Engl J Med 2010;363:365-71より

RED-s/FATの予防策

では、FATを予防する為には
どうしたら良いのだろうか?
対策の一つは毎日必要な分だけの
カロリーを摂取するということです。
つまり、食べることです。

徐脂肪体重1kgあたり30カロリーは
女性アスリートには最低でも
摂取してもらいたいです。
(Barrak MT and Loan MD)

例:体重70kgで体脂肪が18%のアスリートは
57.4kgの徐脂肪体重がある。
この女性アスリートは最低でも
1722kcalは基礎代謝に加えて取らなければ、
FATが起こるリスクが高くなる。
これは最低レベルです。

競技やレベルによってはもちろん
それ以上摂取しなければならない。

さてここでポイントとなることは何か?
女性アスリート働いている
男性指導者やスタッフの中には
月経のことは大事とわかっていても、
中々聞けないという人たちもいるだろう。

その逆もまた然りだ。
男性にはコーチでも言えないという
女性アスリート達は多いだろう。
年が離れていれば、尚更です。

では、”毎日しっかりと食べれているか?”
という質問はどうだろうか?
”月経が毎月しっかりときているか?”
よりかは幾分聞きやすくなったの
ではないだろうか?

もちろん様々な理由があって
そうなったのではあるが、
基本的には体内のエネルギーが
足りないからなるFATです。

まずは彼女達がしっかりと
食べていける環境や文化作りを
していくことから始めるのは
如何ですか?

以上。

参考文献

Mountjoy, Margo, et al. "The IOC consensus statement: beyond the female athlete triad—relative energy deficiency in sport (RED-S)." British journal of sports medicine 48.7 (2014): 491-497.

Williams, Nancy I., et al. "Evidence for a causal role of low energy availability in the induction of menstrual cycle disturbances during strenuous exercise training." The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism 86.11 (2001): 5184-5193.

Gordon, Catherine M. "Functional hypothalamic amenorrhea." New England Journal of Medicine 363.4 (2010): 365-371.

Barrack, M., and M. Van Loan. "Proper nutrition can prevent negative health outcomes in young female athletes." California Agriculture 65.3 (2011): 124-129.

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