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【詩】愛の空間

何もかもが小さく
繊細で無防備で

胸が締めつけられるほど
か弱い

動きの一つ一つが
愛らしく

しっかりと
そこに存在する

いのちを間近に感じる

こちらの存在に気づいて
眼差しを向ける
小さな目に光を映す黒々とした瞳

全てのパーツが
微細に精巧につくられた奇跡の
その存在に

どんな芸術品よりも
その細部に、造形に目を奪われる

産毛の一本一本にも
いのちを見る

この腕に抱きたいという衝動

細心の注意を払い
優しく優しく抱く

小さい
小さい
小さいなぁ

確かな
いのちのぬくもり

生きている

白い肌に一際紅く
小ぶりでぷっくりした唇

その口元から
外の様子を伺うように小さな舌が
出たり入ったり何かを探している

腕の中で、柔らかだった体を
ビンっとのけぞり硬くさせ
その力が思ったよりも強い

おくるみから覗かせた
花のように可憐な指は
開いたり握ったりしている

とつぜん歌うように
かすかな泣き声

どんなメロディよりも
心を奪われた

その場にいるみんなで
顔を見合わせて笑った

生きている

愛そのものが
今ここに生きている

存在そのものが
喜びをもたらし

愛を届けてくれている

確かにあるいのち
確かにある喜び
確かにそこにある愛

確かな愛の空間


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(あとがき)

47歳、孫が生まれた。
赤ちゃんという小さくも確かないのち
その存在は大きい。

人はみな
そもそも大きい。

私たちは愛そのものだ。
いのちそのものだ。




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