見出し画像

【25】 人は慣れ親しんだものを求める

少し目を瞑って、次の質問の答えをいくつか思い浮かべてみてください。

あなたが落ち着いて自分らしく振る舞うことができる場所はどこですか?

逆に、もし足を踏み入れたら緊張してしまいそうな場所はどこですか?

思い浮かべることができたら、それぞれの場所の共通点を考えてみてください。


おそらく、落ち着いて自分らしく振る舞える場所は、慣れ親しんだ場所ではないでしょうか。
逆に、緊張しそうな場所は、行ったことがなかったり、自分が行きそうにない、あるいは場違いに感じるところではないでしょうか?

この慣れ親しんだ場所と感じられる範囲のことを、コンフォート・ゾーンといいます。

コンフォート・ゾーンの中では、リラックスして「いつも通り」振る舞うことができます。

しかし、コンフォート・ゾーンの外に出ると、緊張し、うまく振る舞うことができなくなります。そして、コンフォート・ゾーンの中に早く戻りたくなります。

スポーツの試合などで、「アウェイ」より「ホーム」の方がパフォーマンスを発揮できるのは、まさにホームがコンフォート・ゾーンの中で、アウェイがコンフォート・ゾーンの外だからです。


これは、動物としての習性が根底にあると考えられます。

いつも行動していて慣れている範囲、すなわち縄張りの中では、敵も少なく安全である確率が高いです。そのため、落ち着いて堂々と行動することができます。

しかし、縄張りの外にいる時は、敵に遭遇する確率が高まります。そこではむしろ、常に周りを警戒し、いつでも闘うか逃げるかできる状態でいる必要があります。

この縄張りの範囲にあたるのが、コンフォート・ゾーンです。

人間が他の動物と異なるのは、コンフォート・ゾーンが物理的な範囲だけでなく、情報的なものにまで拡大していることでしょう。
高級ホテルに入ると落ち着かなくなったり、自分より社会的地位が高い人ばかりいるパーティから早く帰りたくなったりするといった現象も、人間のコンフォート・ゾーンが情報的なものにまで拡大しているからだと言えます。

コンフォート・ゾーンの外に出ると、生命の危険はなくても、動物が縄張りの外に出たときのような反応をしてしまうのです。
そして、慌ててコンフォート・ゾーンの中に戻り、リラックスした状態を回復しようとするでしょう。

ここで重要なことは、高いゴールを達成するためには、現在のコンフォート・ゾーンの外に出ていく必要があるということです。

この点をクリアしていくための理論と方法が、コーチングには込められています。

これから数回にわたって、コンフォート・ゾーンについて考えていきたいと思います。

コンフォート・ゾーンのメカニズムを理解し、自分自身でコンフォート・ゾーンを広げることができるようになれば、ゴールの実現を運任せにせず、自分でコントロールできるようになります。


ワーク
日常のなかで、どのような場所や状況で自分はリラックスしているのか、逆に緊張しているのかを観察してみてください。

トライアルコーチング募集中