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コーチングの基礎

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ルー・タイスのコーチング・プリンシプルに基づいたマインド(脳と心)の仕組みと上手な使い方について説明しています。各記事には1つのテーマの解説と、それに対応するワークが含まれていま… もっと読む
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#自己イメージ

【7】 自己イメージに従って認識している

私たちは、世界の様々な物事に対して「それはこういうものだ」「それはこうあるべきだ」という信念を持っています。 そして、「これが真実である」という信念の集合として、それぞれの人に独自のリアリティが存在しています。 私たちはリアリティと一致する情報だけを認識しており、それ以外の情報はスコトマになるため認識していません。 リアリティのなかでも、特に自分自身に関するものは自己イメージ(self-image)と呼ばれます。 「自分はこういう人間である」「自分は他人からこういう人間であ

【8】 自己イメージに従って行動している

私たちは、「自分自身のことをどのような人間であると信じているか」という自己イメージに合致する情報しか認識していません。 そのため、自分が持っている自己イメージが正しいことを証明する情報だけを取り入れ、日々、現在の自己イメージを強化しています。 これは、私たちのマインドに、自分のリアリティが正しいことを証明しようとする働きがあるためです。 実は、この働きは認識だけでなく、無意識の行動や選択においても働いています。 そのため、私たちは無意識のうちに、自己イメージが正しいことを証

【9】 エフィカシー

コーチングにおいて中心的な概念をひとつ紹介します。 「エフィカシー(efficacy)」という概念です。 コーチングにおけるエフィカシーの定義は、「自分のゴールを達成する自己能力の自己評価」です。 「自分はその目標を達成できる人間だ」という確信の強さと言ってもいいかもしれません。 「コーチングでは何をするのか?」という質問に一言で答えるなら、「エフィカシーを上げること」と言うことができます。エフィカシーは、それほど重要な概念です。 エフィカシーも自己イメージの一部で

【10】 セルフ・エスティーム

エフィカシーと対になる概念が、セルフ・エスティーム(self-esteem)です。日本語では、自尊心と訳されます。 セルフ・エスティームもエフィカシーと同様に自己イメージの構成要素です。 エフィカシーの定義は「ゴールを達成する自己能力の自己評価」でした。 それに対して、セルフ・エスティームの定義は「自分の価値に対する自己評価」です。 エフィカシーがゴールという未来に起点がある概念であるのに対して、セルフ・エスティームはゴールとは関係なく、どちらかというと過去に基づいて

【11】 セルフ・トークが自己イメージをつくる

自己イメージは、私たちの認識や行動に強い影響を与えています。 私たちのマインドには、自己イメージを維持するように、認識や行動を調節する働きがあるためです。 では、自己イメージはどのようにつくられるのでしょうか? 自己イメージも他の信念と同様、思考が積み重なって形成されています。 私たちの思考は3つの軸で行われています。 3つの軸とは、言葉(word)、映像(picture)、感情(emotion)のことです。 私たちはまず言葉で思考します。 その言葉は、私たちのマイン

【17】 思考のプロセス〜その2〜

今回はマインドの「無意識」の機能について解説します。今回の記事は、これまでの記事のまとめにもなっています。過去のそれぞれの記事でバラバラに解説されてきた無意識の機能の全体像を把握できるようになると思います。 さて、前回の記事では、マインドがその機能によって「意識」「無意識」「創造的無意識」に分けて考えることができることと、「意識」の4つの機能について説明しました。 「意識」の4つの機能とは、「五感を通して情報を知覚すること。その情報は無意識に蓄えられている記憶と照合され、

【19】 創造的無意識の働き〜秩序の維持〜

創造的無意識の機能のうちの1つは、マインドの「秩序を維持する」ことです。 ここで言う秩序とは、無意識の中の「リアリティ」と外の世界が一致している状態のことです。リアリティと実際の世界が一致している状態が、マインドの秩序が保たれてる状態です。 リアリティとは「個人が真実であるべきだと考えているすべてのことがら」のことです。「私はこういう人である」「これは価値のあるものだ」「これはやる意味のないことだ」「これはこういうものだ」といったあらゆる信念から構成されています。過去に認

【20】 創造的無意識の働き〜矛盾の解消〜

前回の記事に引き続き、創造的無意識の働きを詳しく見ていきます。 私たちの現在の状態は、無意識のリアリティや信念、自己イメージと実際の世界が一致した秩序ある状態を創造的無意識が維持しようとした結果、出来上がったものです。創造的無意識の働きによって、私たちは秩序ある状態を維持するような判断や行動を無意識にとっています。 では、実際の世界と無意識のリアリティが矛盾した状態、つまり秩序を失った状態にあるとき、創造的無意識はどのように働くのでしょうか? このような矛盾した状態のと

【26】 自己イメージがコンフォート・ゾーンを決める

今回は、コンフォート・ゾーンについて、自己イメージや創造的無意識との関連から考えていきます。 私たちの創造的無意識は、無意識の自己イメージを維持するように認識や行動を制御しています。 「自分はこういう人間である」という自己イメージや「ものごとはこうあるべきだ」というリアリティを維持するように働いています。 もし現状が自己イメージから離れたら、創造的無意識は現状を自己イメージと一致させるように行動を促します。 ただし、現状は自己イメージと完璧に一致していなければならないわ

【28】 環境のコンフォート・ゾーン

前回の記事では、コンフォート・ゾーンの内側にいるときと外側にいるときの反応について考えました。 今回は、環境のコンフォート・ゾーン(environmental comfort zone)について考えていきます。 私たちのコンフォート・ゾーンは、自己イメージによって決められていることを以前の記事で紹介しました。 創造的無意識は「自己イメージ」と現実が一致するように働きますが、両者が一致していると判断される範囲をコンフォート・ゾーンと呼ぶからです。 自己イメージには、あらゆる

【36】 ゴールは現状の外に設定する

コーチングにおけるゴール設定には「want-toのゴールを設定する」「現状の外に設定する」「バランスよく設定する」という3つのルールがあります。 今回は「現状の外に設定すること」について説明します。 ここでいう「現状」には、単に現在の状態だけでなく、現状の延長線上にある未来の状態も含まれます。 たとえば、スポーツで言えば、現在のレベルだけでなく、現在の練習を続けていればいずれ到達できるレベルも現状に含まれるということです。 会社でいえば、現在の年収やポジションだけでなく

【46】 公式 I × V = R

ルー・タイスのプリンシプルにおける公式 I × V = R について紹介します。 この公式は、 Imagination (イマジネーション) × Vividness (鮮明さ) = Reality (リアリティ) を意味しています。 この「リアリティ」とは、無意識の中にある「世界とはこういうものだ」「自分はこういう人間だ」という信念であり映像です。 この公式は、鮮明さを伴った想像が、無意識におけるリアリティとなるということを示しています。 私たちのマインドは、無意識

【51】 セルフトークのコントロール

ルー・タイスの方法論では、アファメーション、ヴィジュアリゼーション、セルフトークのコントロールの3つが、マインドを変えていく中心的な方法になります。 今回は、セルフトークのコントロールついて、説明していきます。 セルフトークとは?私たちは常に頭の中で言葉を発しています。それが独り言として口に出る場合もありますが、ほとんどは口に出さずに心の中で言っています。 例えば、物を探している時に「どこにあるのかな〜」と頭の中で呟いていたり、何か上手くいかなかった時に「また失敗してし

【52】 誰の言葉に耳を傾けるか?

セルフトークが自己イメージを作り、自己イメージがコンフォートゾーンを決めます。 つまり、セルフトークによって、私たちのコンフォートゾーンが決定されてしまうということです。 そのため、セルフトークをコントロールすることは、非常に重要です。 セルフトークの形成では、現在のセルフトークはどのような言葉をもとにできあがったものなのでしょうか? それは主に、子どものころに親や先生、周囲の大人に言われた言葉や、他人が話しているのを聞いた言葉です。 子どもにとって、周囲の大人の言