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コーチングの基礎

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ルー・タイスのコーチング・プリンシプルに基づいたマインド(脳と心)の仕組みと上手な使い方について説明しています。各記事には1つのテーマの解説と、それに対応するワークが含まれていま…
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2020年11月の記事一覧

【38】 抽象度の高いゴールを設定する

ゴール設定における3つのルールのうちの1つとして、「ゴールは現状の外に設定する」というものがあります。 前回の記事では、現状の外にゴールを設定する方法として「ゼロを1つ足す」という方法を紹介しました。 今回は、より本質的に現状の外のゴールを設定する方法として、「抽象度の高いゴールを設定する」ことについて説明します。 抽象度(levels of abstraction)とは、もともと分析哲学の用語で、ある概念がどれくらい抽象的であるか、どれくらいの情報を潜在的に包摂している

【39】 現状の外のゴールがスコトマを外す

「自分が本当にやりたいことがわからない」という悩みは、現代ではとても多いように思います。 コーチングを学び、心からやりたいと思うwant-toのゴールを設定しようと思っても、何が本当にやりたいことなのかわからないという場合が少なくありません。 また、自分のやりたいことだと思って設定したゴールが、実は親や先生、社会に刷り込まれたものである場合もあります。 なぜ「自分のやりたいことがわからない」かというと、それがスコトマになって認識できなくなっているからです。 現在の自己イメ

【40】 ゴールはバランスよく設定する

数回にわたってゴール設定における3つのルールの中から「Want-toのゴールを設定すること」「ゴールは現状の外に設定すること」について見てきました。 今回は、3つ目のルールである「ゴールはバランスよく設定すること」について考えていきます。 私たちの多くは、子どもの頃から「目標を絞りなさい」「1つのことに集中しなさい」といったことをよく言われます。 その結果、自分が人生のなかで達成しようとする目標が「志望校に合格する」「いい会社に就職する」「組織のなかで結果を出す」といったこ

【41】 バランス・ホイール

前回は、ゴールをバランスよく設定することについて説明しました。 今回は、多方面にバランスよくゴールを設定をするためのツールであるバランス・ホイールについて説明していきます。 バランス・ホイールには様々な活用の仕方があるので、自分の使いやすいように工夫していくのがよいと思いますが、ここではベーシックな使い方を紹介します。 バランス・ホイールの作り方まず、紙やノートの真ん中に、下の図のような線を引きます。紙の大きさはA4程度の大きさがあると、書き込む文字が小さくなりすぎなくて良

【42】 幸福のバランスを考える

ゴール設定の3つのルールのうちの一つが「バランスをとること」です。 人生の多方面にゴールを設定しバランスをとることで、人生に調和がもたらされるとともに、創造的無意識のエネルギーとクリエイティビティを引き出しやすくなります。 ゴールのバランスには、もう一つ重要な軸があります。 それが、「幸福のバランス」です。 幸福には4つの段階があります。 第一段階の幸福は、基本的な幸福です。 これは食欲や性欲といった本能を満たす幸福です。 強烈で直接的な幸福感がありますが、一瞬で過ぎ去

【43】 ゴールをバランスよく設定することで生まれる機能

数回にわたってゴールをバランスよく設定することについて紹介してきました。 【40】ゴールはバランスよく設定する 【41】バランス・ホイール 【42】幸福のバランスをとる 今回は、ゴールを様々な方面にたくさん設定することの意味や機能について考えてみたいと思います。 安全装置私たちは、考えている方向に進み、考えていることを実現していきます。裏を返せば、考えていないことに関しては疎かになっていきます。 いくらwant-toで現状の外のゴールを設定し追求したとしても、大きな仕事

【44】 ゴールを設定し、意図的に秩序を壊す

私たちのマインドは、秩序を求め、維持しようとします。 マインドにとっての秩序とは、無意識にあるリアリティ、自己イメージと、実際の世界や自分の姿が一致していることです。 ゴールを設定していないときには、目の前の世界は無意識にあるリアリティと一致しており、秩序が維持されています。 現状の外にゴールを設定することは、マインドの中のイメージと目の前の世界との間に矛盾を生じさせ、マインドの秩序を意図的に壊すことを意味しています。 リアリティと目の前の世界が一致していなければ、認知的不

【45】 ゴールの再設定

私たちの創造的無意識は、ゴールが現状の外にある時に活性化し、エネルギーと創造性を発揮します。 そして、ゴールを設定した当初は見当もつかなかった実現方法を発見し、行動を起こすように私たちを突き動かします。 ここで注意すべきことは、「現状」とは、「現在の状況」だけでなく、現状の延長線上、つまり現状を続けていった先の未来に実現している状況も含んでいるということです。 現状を維持していては実現できないゴールを実現したいと思うからこそ、認知的不協和が生まれ、クリエイティブにゴールを

【46】 公式 I × V = R

ルー・タイスのプリンシプルにおける公式 I × V = R について紹介します。 この公式は、 Imagination (イマジネーション) × Vividness (鮮明さ) = Reality (リアリティ) を意味しています。 この「リアリティ」とは、無意識の中にある「世界とはこういうものだ」「自分はこういう人間だ」という信念であり映像です。 この公式は、鮮明さを伴った想像が、無意識におけるリアリティとなるということを示しています。 私たちのマインドは、無意識

【47】 ビジュアライゼーション

私たちの思考の中核は映像です。 私たちは、映像で思考し、思考したことを実現するように認識し行動します。 公式 I × V = R が示すように、マインドは臨場感の高い映像(鮮明なイメージ)を実現するように働いています。 支配的な映像意図的にゴールを設定していようがいまいが、私たちは常にマインドを占めている映像に向かって進んでいます。 この映像を支配的な映像(dominant picture)といいます。 支配的な映像は、強い感情をともなった経験に関する情動記憶であることが

【48】 アファメーションの作り方と実践法

前回の記事では、イメージ(映像)を使ってゴールの世界の臨場感をあげる方法としてビジュアリゼーションを紹介しました。 今回は、言葉を使ってゴールの世界の臨場感をあげる方法としてアファメーション(affirmation)を紹介します。 アファメーションの作り方アファメーションは、現状の外のゴールを実現したときの自己イメージを、言葉を用いて無意識に刷り込んでいくプロセスです。 まず、設定したゴールを紙に書き出します。その際に、「一人称」「現在(進行)形」で、自分はすでにゴール

【49】 アファメーションの11のルール

アファメーションは、ルー・タイスの方法論のなかでも、最も中核的なものです。 実際、とても強力でありながら安全で再現性のある方法です。 前回の記事では、アファメーションの作り方と実践の仕方について紹介しました。 簡単に要約しておくと、まずゴールを実現したときの自分の姿を「一人称」「現在進行形」で書き出します。 そして、そのアファメーションを読み、内容をイメージし、その時に生じた感情を体感することで、ゴールの世界の自己イメージの臨場感を上げる、というものでした。 今回は、アファ

【50】 アファメーションとセルフトーク

アファメーションは、ゴールを達成した世界の自己イメージの臨場感をあげる技術です。 自己イメージがコンフォート・ゾーンを決めるため、アファメーションはゴールのコンフォート・ゾーンの臨場感をあげる技術とも言えます。 アファメーションによって、ゴールの自己イメージ=コンフォート・ゾーンの臨場感が高くなることで、コンフォート・ゾーンがゴールの世界に移動し、創造的無意識の働きで無理なくゴールを実現していくことができます。 アファメーションは言葉、映像、感情の思考の3つの軸に基づい

【51】 セルフトークのコントロール

ルー・タイスの方法論では、アファメーション、ヴィジュアリゼーション、セルフトークのコントロールの3つが、マインドを変えていく中心的な方法になります。 今回は、セルフトークのコントロールついて、説明していきます。 セルフトークとは?私たちは常に頭の中で言葉を発しています。それが独り言として口に出る場合もありますが、ほとんどは口に出さずに心の中で言っています。 例えば、物を探している時に「どこにあるのかな〜」と頭の中で呟いていたり、何か上手くいかなかった時に「また失敗してし