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未経験の僕が仕事を辞めて学習塾を開校する話。その7ーどんな塾をつくるのかの続き/副業を考えるひと必見/小規模学習塾を開業するお手伝いします。

どんな塾をつくるのかの続き

どんな塾をつくるのか。
これはすなわち自身の城の骨組みというか,背骨というか,とにかく最も重要な問題であります。

このあたり,十分な時間をかけて考えて欲しいと思います。
これはもうほとんど学習塾の命ですから,人生をかけて起業するのであれば朝から晩までこのことを考え続けても足らないぐらいです。

先に書きましたとおり,僕の場合はコンセプトは概ね決まっていました。

にも関わらず,このあとコンセプトは二転三転します。
いやコンセプトって,まずは理想を描くところから始めるべきだと思うんです。思うんですけれど,でもやっぱり現実的な話がその理想像を描くことを邪魔するんですね。


そのコンセプトは立派だけれど,本当にそれでお客さん来るのかな?と考え始めると,不安がよぎります。

いつ来ても,いつ帰っても,どれだけ居ても定額。


ということは
塾生が同時に来たときに,席がない,なんてことになってはいけないので,これはすなわち塾生の定員は,席数と同数ということになります。


通常,個別指導塾でも1日に3回転させるとすれば,30席あれば,90人まで受け入れすることができます。週に1回または2回といった時間割にすれば,100人を超える数の生徒を受け入れすることが可能です。

しかし,サブスク型では30席あれば,30人が定員となってしまうのです。

そうするとどうなるかというと
上限の人数にあわせて客単価を上げないと,想定する年商は達成できないことになります。


すると客単価は高くなります。
コストに跳ね返ってくるんですね。これが。

コストが上がれば,集客がタイヘンになるということが頭にありますから,あんまりあげたくないのです。それで生徒が来てくれなかったらどうしようか,とさらに不安が募るのです。

しかし一方で,単価を下げることは,単価競争にのっかることにもなりますが,低価格競争で大手にかなうはずがありません。そもそも名も知れぬ個人学習塾は,大手と同じ事をしてはいけないのです。

しっかりと差別化して,お客さんが来るのをどんと構えて待つ方がいいのです。無理して単価を下げると,体力がある方が基本的に勝ちますから,その勝負にはのっからないほうが良いです。



あとは
自分の考えたコンセプトをどこまで信じられるか,かもしれません。


ニッチなところをいこうか

ニッチなところをいくのなら,極振りするほうがいいです。
中途半端に一般化をしてしまうと,箸にも棒にもかからないということになりかねません。

だからこそ
コンセプトは重要なのです。



僕はいったい何のために学習塾を開くのか。

成績をあげるということをどう考えるか。

なぜ学習塾でなくてはダメなのか。


学習塾という言葉にどんな印象を持っているのか。

学習塾でどんなことがしたいのか。


あるいは
ビジネスとして学習塾が最適だと感じたのはなぜか。

1年後,3年後,5年後,10年後のビジョン。


どれもこれもを達成するのは難しいかもしれません。
その中で,もっとも自分が重要視するのはなんだろうか。


もしあなたが「成績をあげる」ことを,「定期テストの順位をあげること」だと捉え,これを最大のコンセプトと考えるのなら,定期テストの順位をあげることに特化することです。その他の要素はさておいて定期テストの順位だけをみるのです。ここだけは突き詰めて下さい。


たとえば定期テストの順位をあげたい,と考える時
ターゲットは,真ん中からやや下位にいる子どもたちにがよいかもしれません。学年で10位の子どもを5位にあげるのは簡単ではありません。

一方で300人中170位の子どもを100位にする方法は,いくらでも浮かびます。前者よりもこっちのほうがずっと易しいです。


英語の学習で言うなら
文法をしっかり理解するよりも,教科書を丸暗記させる方が即得点に繋がりやすく,一時的な順位に反映しやすくなります。


こんなふうに,コンセプトはこの先の方針を決めるのに必要な指針です。ブレなく,まっすぐにすすんでいくためのコンパスとして役立つのです。

オールマイティに全体を対象とするよりも,あなたを必要とするひとを対象にした方がきっとうまくいくでしょう。




僕は定期テストの順位を気にしない

ちなみに僕は
定期テストの順位はあんまり気にしません
結果,子どもたちが順位があがって喜んでいるなら,よかったねと声を掛けるし,順位は上がっていても「できるはずだった問題ができなくって悔しい」と言えば,そうだね,悔しいね。次はどうしようか,と声を掛けます。

定期テストの順位は相対的なものですし,その順位の変動は実力がそのまま反映したものではないので,順位の上げ下げで一喜一憂する必要はないと思っています。


よく,テストの順位が○位アップ!みたいな学習塾の広告を見かけますが,僕はこういう広告はうたないほうがいいと考えています。前時代的というか,これからのニーズにはあわないんじゃないかなと思っています。

学習指導要領をみても,内申書のつくりかたをみても,定期テストの順位がそのまま学力を示すわけではなく,参考データのひとつでしかありません。


中学校までの勉強は,難関中学や難関高校を目指さないかぎり,いつどのタイミングで本気スイッチを入れても手遅れということにはなりません。学習時間に比例してできるようになっていきます。もちろん反対に本人がその気にならなければ,どれだけ塾に通っていても学力なんてつきません。


なので僕がいちばん大事にしているのは「主体性を育む」ということです。
これは僕が長く国立大学に勤めていた経験から,ひとが社会に貢献するためにいちばん必要なものは何か?を考えた結論です。


テストの成績がいいひとが最大級に集まっている大学でも,本当の意味で頭がいいのは体感で1/3ぐらいです。その一番の違いは「主体的」であるかどうか,です。


主体的というのは,自分で考えて,自分で決断して行動し,その責任を自分でとることを言います。

自主的になにかをするだけではダメです。
積極的になにかをするだけでもダメです。
その結果を,いかなる過程,いかなる背景においても自分が責任を持つことが必要です。



お父さんが言ったからー
お母さんがそうしろっていったもんー
先生のせいでー
アイツが先にやったからー
わたしわるくないもんー
習ってないからできないー
誰も教えてくれないから無理-

という思考停止は,何も生み出さないどころか,
改善されることなく,同じ事を何度も繰り返すだろうことを容易に想像させます。

主体性を身につけた子どもたちは,それが必要だと考えればテストの成績だって勝手にあがります。どっちにしてもいつか僕らはひとりで勉強しなくちゃならないときが来るし,そのとき主体的に取り組むことを身につけていたら苦労しなくてすむだろうと思うのです。




けれどもこれをコンセプトにするには本当に葛藤がありました。なにより,これを中心に据えて,学習塾は成立するのだろうか?という想いは後に僕をブレブレにブレさせます。

そんな無味無臭無形のものを育むなんてコンセプトで
果たしてお父さんお母さんはお金を払ってくれるのだろうか。

言っていることは素晴らしいけれど,目に見えない,成果はよくわからない,そんな学習塾を学習塾と認めてもらえるだろうか。

そういう不安は大いにありました。


続く


目次



これまでのまとめ

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