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本当の目的と偽物の目的

コーチングでは,最初に目的を明確にするところから入りますが,この目的がはっきりしないことは実はとても多いです。


たとえばダイエットしたいという目標を掲げても,その目的がはっきりしない限りうまくいくことはありません。むしろただダイエットが大好きで,ダイエットすることが目的のひとの方が案外すんなりいったりするだろうと思います(ダイエットが目的のひとは見たことないですけれど)。

しかし,一方で何のためのダイエットするのか本当のところよくわかっていないひとは,つまるところダイエットする理由があんまりないということなので,結果,うまくいかないことが多いのです。



コーチングスクールに通っていたころ,30人以上の面識のないひとのコーチを引き受けなさいという無茶な宿題が出て,そのためにSNSなんかでコーチングを無料で引き受けていたことがありますが,その内容の多くがダイエットコーチでした。

そのせいか無駄にダイエットの知識も増えて,いえ,今となっては無駄ではなくて僕のダイエットのためにも知っておいてよかったのですが,とにかくダイエットの知識はみなさんたくさん持っているのですが,それでもうまくいかなくてコーチを求めるのです。


コーチングは専門家でないとできないというふうに考えるひとと,そうでなくてもできると考えるひとがいますが,僕はどちらかというと後者です。

そもそもコーチングを求めるようなひとは,ある程度高い意識レベルのひとが多くて,そういうひとは一般論としての知識はそもそも持っていることが普通です。

さらに,意欲も相応にあるので,ネットで調べたり,本を読んだりすることにあまり抵抗がないというか,いっしょにじゃぁ調べましょっか,というとよろこんで乗っかってきてくれるのです。


でもですよ。

でもやっぱりうまくいかないのです。



ソレはなぜかというと,目的がハッキリしていないからです。

なぜダイエットをしなくてはならないのか。
どうしてダイエットしたいのか。

痩せたいから?

違います。




痩せたい理由は何ですか?ということです。
つまりダイエットをしようと思う,もっと根源的な理由です。

ダイエットしたらどうなるのか?
痩せて,何をしたいのか?

ということをよーく考えてみるのです。


すると,たとえば大好きな男性がいて,そのひとがどうも「痩せているひとが好みらしい」という情報を得たとかで,じゃぁ痩せなくちゃと無意識に思っているとすれば,目的は「好きな男性に気にして欲しい」とか「好かれたい」とかそういうことかもしれません。

もっとさかのぼることもできます。
その男性とたとえば結ばれるということは,自分にとってどのようなことなのか。どんな意味があるのか,と考えます。


強いイメージです。
詳細までしっかりくっきりはっきりと思い浮かべましょう。
恥ずかしくて頬が赤く染まるぐらいのリアルをイメージするのです。

そうすると心のどこか,気持ちのどこかにポジティブな想いがあることに気が付くでしょう。「幸せ」というキーワードかもしれません。「家族」とか「信頼」というキーワードかもしれません。

いずれにしても自分にとって,とてつもなく大事な価値観。
強く惹かれる想いにたどり着くはずです。

これが本当の目的。
ダイエットしたいは偽物の目的です。



本当の目的を見つけたら,そのためには何をどうすれば良いのか?と考えていくのがコーチングのセオリーですね。


これが目標です。
目的地までの通過点,マイルストーンなんて言い方もします。

目的はコンパスのようなもので,目標は地図上の目的地を指します。
コンパスはいかなる状況でも同じ方向(目的)を指しますが,地図上の目標物へのルートは一直線とは限りませんし,道は実際に行ってみないことにはわからないことがたくさんあります。

その都度,現実にあわせてルート変更したり,一旦停止したりする必要がありますし,歩き始めたときはその目標が最適だったと思っていても,歩いているうちに時勢や情勢が変われば,あるいはもっと最適な目標が見つかるかもしれませんから,目標物や地図はどんどん書き換えてOKです。

一方で目的はブレてはいけないものです。
コンパスが指し示すのは常に一定の方向でなくてはなりませんし,方向さえ間違えなければ,いつかはたどり着けるというとっても大切なものなのです。
(目的がブレるというか,変わるとするのなら,そのプロジェクト自体をゼロからやり直すべきです)




さて。

ダイエットから逆算して目的を見つけたのに,目的に照らして目標をかんがえると案外「ダイエット」にならないこともよくあります。

目標として「5kg痩せる」になるとも限りません。

ダイエットってなんだろうか?と考えれば,目的に照らしてみて,いろんな解釈が生まれます。痩せるだけがダイエットではないのです。まして,大好きなショートケーキが食べられないダイエットなんて,我慢もしなくちゃいけないし,「痩せる」だけで他に得るものがないなとするなら片手落ちもいいところだからです。

あるいは,ダイエットってひとによっては体重を減らすことを意味しないかもしれません。体重はこのままで,筋肉量を増やすことかもしれませんし,ウェストを5cm引き締めることかもしれません。

もしかしたらそういう数値的なことではなくて,お気に入りのスカートのホックが楽々はめられることを意味しているかもしれませんね。


こんなふうにして当面のゴールを決め,今度はそこへ行くためのルートをしっかりとイメージしていきます。


まとめ


本当の目的はなんだろうか?
という話をしました。


本当の目的は,案外自分でも勘違いしていたり,無意識に他者評価にあわせてつくっていたりするので注意です。

これが正しいと思ってやっているはずなのに,よくよく考えてみるとこれって自分がホントにやりたいことではなくて,上司に認められたいためにやってることだよなーとか,嫌われたくないから相手にあわせてるだけだよなーとか,もしも感じるようならいったん立ち止まって,本当の目的に照らしてゴールを再設定してみてもいいかもしれませんね。


ひとの究極の目的は「他者貢献」と「自己実現」です。
これらにつながらない目的だとすれば,あるいは他者軸になっている可能性があります。

素直に自分に問うことで本当の目的にたどり着けるはずです。


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