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おじいちゃんの寿司の教え
おじいちゃんから聞いた、寿司の教えというものがある。
ぼくがこの話を聞いたのは幼稚園に通っている頃だったが、大人になった今でも忘れずに覚えているのは、幼心にもすごくいい話だと思ったからだ。
目の前に握り寿司が一人前あったとしたら、それをどんな順番で食べるかが大事なんだとおじいちゃんは教えてくれた。
2通りの食べ方を比べてみる。
1つ目は、嫌いな物を先に食べて好きなものを後に残しておくという食べ方。
まず1番嫌いなものを食べて、そして次も残っている中で1番嫌いなものを食べて・・・そんな食べ方だ。
2つ目は、好きな物から食べていくというもの。
まず1番好きな物を食べて、次に残っている中で1番好きな物を食べて・・・こうやって食べていく。
おじいちゃんはこう教えてくれた。
「1つ目の食べ方だと、ずーっと自分の嫌いなものを食べていることになるんだよ。でも、同じお寿司を食べていても、2つ目の食べ方ならずっと自分の好きな物を食べていることになるんだ。どっちの方がいいだろうね?」
同じ物を食べても、どんな心持ちで食事をするかで180度違う経験になってくる。素直に「1つ目の食べ方は損をしていて、2つ目は得をしている!」と思った。
ぼくはお寿司が好きだったし、簡単に得な思いができるなんて素晴らしいじゃないかという安直な思いから、この話は幼稚園児のぼくの心に深く刻まれることとなった。
今振り返ると、積極的に生きる方法というものを幼いぼくにもわかるようにお寿司のネタに例えておじいちゃんは教えてくれていたのだと思う。
心持ち次第で同じ出来事でも全く違う経験になってくる。
消極的な心持ちでいたら、消極的な経験をすることになり、消極的な人生になる。
積極的な心持ちでいたら、積極的な経験をすることになり、積極的な人生になる。
幼い孫へおじいちゃんが寿司に例えて伝えてくれたことを、今のぼくならこんな言葉で受け止めるだろう。