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セルフコンパッション入門①

近年、心理学の分野で急速に注目を集めている概念の一つに「セルフコンパッション」があります。

これは日本語に訳すなら「自分自身への思いやり」といった意味で、簡単に言うと、大切な他者に接するのと同じように自分自身にも接する、そのような態度のことを言います。

自分を愛すること=自愛の大切さについては、これまでも多くの精神的指導者が語ってきたところです。

ではセルフコンパッションの何が新しいのかというと、それは『自分を大切にすることがどのように人生を良くすることに繋がるのか、その関係性が科学的に実証されてきた』という点です。

研究でわかってきていることの一部を挙げてみます。

◎セルフコンパッションが高い人は、低い人に比べて
・不安や落ち込み、ストレスを感じにくい
・友人や家族、恋人と親密かつ上手に付き合える
・幸福で、前向きで、楽観的な傾向がある
・ネガティブな感情を効果的に抑制できる
・寛容で、共感的であり、他人の視点に立つことができる
・身体的に健康で、強い免疫系を有する

(参考:クリスティン・ネフ著「自分を解き放つセルフ・コンパッション」栄治出版)

このように自分自身を思いやるだけで人生に様々な恩恵があるとしたら、それは素晴らしいことではないでしょうか。

自分を思いやることは、どれくらい物や財産を所有しているかや、どのような地位にあるかや、才能や能力の有無など、そういった条件に関わりなく誰にでも行えるシンプルなアイデアです。
それが人生を好転させる鍵であることを、近年のセルフコンパッションに関する研究は示しています。

しかし、そうは言っても実際に自分を思いやることには障壁があるように感じられるかもしれません。

自分に優しくしたら堕落してしまうのでは…
他人を優先するべきでは…
具体的にどうすればいいのかわからない…

そう感じる人もいるかも知れません。

そこで、これから何回かに分けてなぜセルフコンパッションの実践が難しいのか、そして簡単なセルフコンパッションの実践方法について書いていきたいと思います。(続く)