【採択企業紹介】利用者も交通事業者もメリットが生まれる交通と人流のデータ活用 株式会社OZ1/SWAT Mobility Japan
福井県内の事業者・自治体・団体等にデジタル技術を実装し、地域課題の解決に取り組む「CO-FUKUI 未来技術活用プロジェクト」の最終採択企業6社が決定しました。
本記事では、多数の応募の中から厳正な審査を通過し、福井県内で課題解決に向けた様々な実証実験を実施していく採択企業を紹介します。
利用者も交通事業者も双方にメリットを、交通や人流データを活用し最適な二次交通の実現へ
旅行やお出かけで駅から少し離れたところへ行く場合、駅や空港に到着してからバスやタクシーを利用することになりますが、このような新幹線や電車の駅、空港など、主要な大型輸送機関から目的地への移動をサポートする交通手段を「二次交通」と言います。
都市部の場合、二次交通の需要も高いため待ち時間も少なく、また選択肢も多く用意されていますが、都市部から離れるとなかなかバスが来ない、タクシーが捕まらないといった不満を持つことも多いと思います。
このような課題が生まれる原因として挙げられるのが、交通の需要と供給のギャップが発生している点です。どの時期・時間にどれくらいの利用者がいるかを予測すれば、それに合わせた供給も可能となるため、利用者にとっても大変便利になることでしょう。しかし、このような二次交通の多くは地域の交通事業者が担っており、一定の経験則でダイヤの予測は立てられるものの、データ分析を前提にしたノウハウやリソースは限界があり、上手く取り組めていないというのが実情です。
この二次交通の課題を、テクノロジーによって解決を目指す企業が株式会社OZ1とSWAT Mobility Japanです。SWAT Mobility Japanの持つ交通データの可視化と分析技術で、公共交通の利用状況や人流データに対して網羅的に分析を行います。
その結果、利用者が公共交通をどのように利用しているかの需要を定量的に把握でき、供給に向けた課題認識や解決策など全体最適化に向けた提案を行うことができます。
これにより、例えばどの場所にどの交通手段を配置するべきか、最適な運行エリアやルート・運行便数の設定などによって、利用者にとっては乗りたい時に待たずに乗れる、行きたいエリアへスムーズへ移動できる、といった利便性が生まれ、交通事業者にとっては供給を最適化することで顧客満足度やコスト削減にも繋がるなど、双方にとってメリットが生まれます。
北陸新幹線延伸が大きな機会へ。
一方で、予測できない交通需要にどのように対応するかが課題に
福井県は、2024年春に北陸新幹線延伸によって観光地として注目が集まる都市であり、新幹線の新駅開業によって交通の要衝が増え、これまでにない二次交通の需要が生まれることが予測されます。しかしながら、運転手などのリソース不足やこれまでに経験のない出来事により予測が難しいため、最適な二次交通の整備には課題が残る状況です。
これらの課題解決に向け、北陸新幹線の延伸に合わせて越前たけふ駅の開業を予定する越前市では、北陸新幹線駅周辺の北新庄地区・北日野地区を中心としたエリアと、味真野地区・粟田部地区・岡本地区を中心としたエリアの2エリアにおいて、デマンド交通の実証実験を2023年10月より開始しました。
デマンド交通とは、路線バスとタクシーの中間的な位置にある交通手段です。様々な種類がありますが、一般的には電話やインターネットからの予約に応じて、希望の時間帯に車両が指定された地点(停留所)まで迎えに来て、目的地(停留所)まで移動する交通のことであり、移動需要に柔軟に対応する手段の確立を目指しています。
北陸新幹線の新駅として開業する越前たけふ駅の周辺をはじめとした、越前市内の最適な二次交通の実現に向けた分析からスタート
今回の「CO-FUKUI 未来技術活用プロジェクト」では、北陸新幹線の延伸に合わせて開業する越前たけふ駅を中心エリアとして、二次交通の課題解決を目指した実証実験をスタートします。
前述の通り、越前市では、北陸新幹線越前たけふ駅と武生駅間を結ぶデマンド運行の可能性の検証に向けたデマンド交通の実証実験を実施しています。この実証実験へデータの可視化と分析技術に強みを持つOZ1とSWAT Mobility Japanが参画することで、より最適化された交通手段の確立を目指します。
実際にSWAT Mobility Japanが2022年冬にある観光地で実施したバスを活用したデマンド交通の実証実験では、新型コロナの影響を受けて客足が6-7割まで減っていた状態であったものの、コロナ前に運行していた路線バスの乗車人数を超える結果となったことに加えて、乗車人数が増加しているにも関わらず車両台数は4台から3台に削減するなど、最適化において大きな成果を見せています。
新たに生まれることが予測される需要に対して、路線バス、市民バス、タクシーなどの公共交通の利用者データ、人流データ、北陸新幹線二次交通需要等を分析し、最適な二次交通の実現へ。
本年度の取り組みは、分析から解決策の検討を中心に行い、次年度以降に実際に分析に基づいた交通施策や計画の実装を目指します。
北陸新幹線の延伸という大きなチャンスに対して最適な二次交通を整備することで、観光客を中心とした人の移動が増加し、それによって更なる消費も生まれることが予測されます。交通事業者だけではなく、利用者も地域も巻き込んだ検証にご期待ください。
株式会社OZ1
SWAT Mobility Japan 株式会社
「CO-FUKUI 未来技術活用プロジェクト」
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