JABA北海道結成記念大会1回戦 JR北海道対WEEDしらおい
2020年JABA北海道社会人野球結成記念大会の2日目第1試合、JR北海道硬式野球クラブ対WEEDしらおいの観戦記です。
最後の最後までどう転ぶかわからない、思い返せば今大会最も熱い激戦。
試合結果
JR北海道硬式野球クラブ3-2WEEDしらおい
スターティングメンバー
先攻 JR北海道硬式野球クラブ
(中)水木 (二)冨田 (三)福田 (指)松浦 (一)野澤 (遊)嶋田 (左)前田 (右)小林 (捕)今西 (投)立田
後攻 WEEDしらおい
(遊)平田 (中)社翔人 (三)山崎徹 (一)西谷 (指)川瀬 (右)岡川 (左)陣 (捕)只野 (二)藤元 (投)太田
バッテリー
JR北海道硬式野球クラブ
立田(5回)、太田(1回)、川﨑(2回)、和田(1回)－今西(9回)
WEEDしらおい
太田(6回)、高橋塁(1回)、宮脇(1回)、二瓶(1回)－只野(9回)
試合経過
WEEDしらおいの先発は太田祐也投手（北海高-北海学園大）。3回まで毎回走者を背負うも落ち着いた投球で得点を許しません。
対するJR北海道は北海道日本ハムファイターズから移籍した立田将太投手（大和広陵高）を先発に立てます。立田投手は初回先頭の平田和輝選手（旭川工業高-札幌大）にいきなり2ベースを打たれ、一死2,3塁のピンチを招きましたが後続を抑え、お互い無得点のまま試合は中盤へと進みます。
5回表、JR北海道先頭の嶋田源太郎選手（銚子商業高-流通経済大）がヒットで出塁、盗塁と犠打で三塁へ進むと、小林勇希選手（大館工業高-函館大）が待望の先制タイムリー。
更に6回表、走者一人を置いて嶋田選手がライトへホームラン！3-0とJRがリードします。
ベンチの熱い出迎えを受ける嶋田源太郎選手。
6回裏からJRは太田将貴投手（駒大苫小牧高-東海大北海道）が登板。
しらおいはその立ち上がりを捉え、一死から平田選手、社翔人選手（室蘭大谷高）の連打でチャンスを作り、西谷圭祐選手（北照高-函館大）の2ベースヒットで2点を返します。
ここからはお互い継投合戦へ。
しらおいは7回表を高橋塁音投手（天塩高-札幌大）、8回表を宮脇弘一投手（釧路工業高）が投げ、それぞれ先頭打者にヒットを喫し、塁を進められますが併殺で抑えます。
JRは7回から川﨑朝太投手（清峰高-筑波大）を投入。彼もヒットや四球で毎回走者を出しますが2イニングを抑え、試合は1点差のまま9回へ。
9回表のしらおいのマウンドはルーキー・二瓶駿哉投手（知内高-函館大）。JRを三者凡退に抑え味方の反撃を待ちます。
9回裏、JRの抑えは和田洸輝投手（久御山高-環太平洋大）。
しらおい先頭の西谷選手が死球で出塁し、川瀬啓太選手（白樺学園高-道都大）の当たりはピッチャーゴロで二塁封殺。走者を進められず暗雲漂うグラウンド。
続く打者は7回からライトに就いていた釜谷泰葵選手（駒大苫小牧高-函館大）、この日2本目のヒットで一死1,2塁とチャンスを広げます。
ここでブレーブくしろから移籍した大砲・陣翔大選手（旭川実業高）の一打に期待がかかりますが、惜しくもセンターフライ。
2アウトと追い詰められ、8番・只野滉大選手（苫小牧工業高）に代わり打席に立つはキャプテン・桑田皓太選手（駒大苫小牧高-苫小牧駒澤大）。その打球はショート正面のゴロ、ゲームセットと思われた、その時！
ショート嶋田選手が打球を後逸…！
それを見て川瀬選手の代走・片野一聖選手（苫小牧工業高）が本塁へ突っ込む、打球を拾い直した嶋田選手が送球する、今西直輝捕手（神戸国際大附高-東北福祉大）がタッチ、三塁側から観ていた私には際どいタイミングに見えましたが…判定はアウト！
土壇場の同点は成らず、JR北海道が3-2で冷や汗モノの接戦を逃げ切りました。
しらおい新ユニの考察
WEEDしらおいの新しいビジターユニフォームが色々な意味ですごいと噂には聞いていたんですよ、とにかく攻めてるといいますが想像がつかない。
結成記念大会1回戦はクラブチームが三塁側＝ビジターユニ着用でしたので、ようやくこの目で観ることができました。
黒地にオレンジとホワイトのグラデーションストライプ、胸にはブラックレターで「Shiraoi」、脇はオレンジチェック。
デコレーションの大洪水や！
2点タイムリーのWEEDしらおい・西谷圭祐選手。
ここ2～3年、北海道社会人だけでも迷彩（空自サードユニ）や地模様（JRビジター）など昇華プリントの粋を集めたようなデザインが人気。
しらおいのそれは選手の要望を募って作り上げたと聞きます。各々好きなおかずを詰めていったらメガ盛り丼が出来上がったような、てんこ盛りすぎて普通の体格だと溢れてしまう印象。
北ガス・古谷選手や樽協・横濱選手みたいな細っこい人が着たらどうなっちゃうの？
これぐらいの体格で落ち着く気がします。
WEEDしらおいは大昭和の伝統を残すホームユニを昨年で一新、次いで今年ビジターも更新した次第でして、そこには近年の不振を打破したい願いが込められている気がします。
2017年の全日本クラブ野球選手権代表権獲得、一関市長杯争奪クラブ野球大会優勝以来、都市対抗二次予選やクラブ大会優勝から遠退いているしらおい。
北海道クラブチームの雄であり、選手層の厚さも個々のレベルも頭一つ抜けているのですが、どうも勝ち切れない、観ている側も腑に落ちない試合が多くありました。
決して弱くはないのです。例えばJR北海道とWEEDしらおい直近の対戦は2019年都市対抗一次予選3回戦、JRは和田投手、しらおいは宮脇投手を先発に立て、3-4でしらおいの惜敗。
敗者復活トーナメントに回ったしらおいは、2回戦で宿敵・TRANSYSに当たり、投手戦の果てサヨナラ負け。
その年の全日本クラブ選手権予選は決勝に駒を進め、相手は絶対的エースが連投できない札幌ホーネッツ。試合前には誰もがしらおい有利と予想していましたが、相手の7失策を得点に繋げられず、優勝を逃してしまいました。
本当に、本当にあと一歩なのに、どうして…という試合が続いていただけに、この試合は今期絶好調のJR北海道を抑え続けた投手陣の踏ん張り、反撃への足がかり、西谷選手のタイムリー、そうした一つ一つが琴線に触れました。
9回裏の攻撃はちぐはぐになってしまいましたが、陣選手、桑田選手の同点打からサヨナラ金星まであるかもと手に汗を握り、最後の最後、ショートゴロエラーで野球の神は微笑んだか？と息を呑み……この大会、このカードで目頭が熱くなるとは予想外でした。
WEEDしらおいにとってはまたしても悔しい結果となりましたが、強豪に食らいついたことが都市対抗予選への自信になればと思います。
そしてこの試合は本当にWEEDしらおいの印象が強すぎて。JRの話は（決勝まで行きますので）この先できちんと書きたいと思います。
本記事の写真はみつる（@k_mitsuru_n）さんからご提供いただき、承諾を得て加工しています。ありがとうございます！
JABA北海道社会人野球結成記念大会のまとめはこちら
他の観戦記はこちら（順不同でぼちぼち追加します）
・1回戦：北海道ガス 対 TRANSYS
・1回戦：日本製鉄室蘭シャークス対ウイン北広島
・決勝：日本製鉄室蘭シャークス対JR対北海道
社会人野球観戦ガイドはこちら