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タイ人のタイ語

 会社で休日の変更や規則について通達を出すことがままある。作成するのは人事課の仕事で、その後私の承認を求めて持って来るが、冒頭の1行を読んだ時点で差戻す。スぺルのミスなら赤ペンを入れるが今回はそれより深刻だ。この文章では意味をなさないでしょ?と作成者にコメントしたが、私より1歳年上の彼女はキョトンとしている。私のタイ語読解力に起因するかもしれないから他のタイ人に聞いてみるよう付け加えた。その後2人掛かりで文章を修正する光景を見てある調査結果が頭に浮かんだ。

 読書量の減少は世界的流れだと言う。中国人の年間平均読書量が4、5冊で周辺諸国より少く、日本人の9分の1だそうだ。しかし驚くなかれ!タイ人はわずか8行である。勿論個人差はあると思うがタイ人には読書の習慣がほとんどないようだ。ゴシップ、政治、宗教に至るまで彼らと色々な話をするが、話題の書籍、読んだ本の感想などが話題にあがることは作家である友人を除いてはない。彼はタイ人が本を読まないことに対し、良書に触れないから正しい文章が書けないと苦言を呈している。句読点のないタイ語は文章の中でスペースを取るが、このスペースが非常に重要な役割を持つ。スペースがなければ読解が困難になるし、取る位置が違えば文脈へも影響する。上述の通達もその良い例と言える。

 文学部で日本語を学ぶ息子にも母国語であるタイ語を疎かにしないよう常々言っている。通訳も翻訳も結局は母国語の能力に帰着するし、中途半端な外国語を話すことは大した意味をなさない。
 自分のことは棚に上げて今回はタイ人のタイ語力、即ち国語力について書いた。私のことはいずれ書きます・・・ 


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