アトピーで手が痛くて料理ができなかったが、今日は珍しくハンバーグを作ったので手から玉ねぎのにおいがして嬉しい話

手指のアトピーなど、あかぎれやひびわれなどの傷で手指を動かすのも痛い人にとって、
「手袋があれば炊事できる」という言葉は、
マリーアントワネットの
「パンが無いならケーキを食べればいいじゃない」に近い、と思う。
覆われて水に触れなければいいってもんじゃない。動かすこと自体が痛いんだもの。

そんな私にとって、料理はしたくてもできないものだった。というか、手のためには一番諦めることができるものだった。
洗濯や掃除、お風呂で髪を洗ったり、そういったことは自分の手でやらないわけにはいかない。
一方、今はありがたいことに、料理は調理済みのものを買うことができる。
この手で何とか生きていくためには、料理を避けることが必要だった。
実際に、皮膚科医からは、手を治したければ手を使わないことだ、と言われていた。アトピーはそれくらい厄介なのだ。

おそらく、卑屈でも何でもなく、本当に経験したことのない人にはわからない状況だろうと思う。

でも、料理をしないというのは、側からみれば料理をさぼっているようにしか見えないし、そう思われるのは仕方ないと自分でも思う。
それに、料理というのはやらないと上達しない。普段していないことがすぐにバレるよね。とほほ。

そんな私が、とあるクリームと出会って(いいよと教えてもらって使い始めてから手肌な調子がよくて、自分ではこのクリームのおかげだと思っている)、
そこそこの頻度で洗い物をしてもなんとか耐えられる程度にはなって、
ちょこちょこ料理もできるようになってきた。
料理は、やりだすと楽しい。できあいのものの濃い味が苦手なこともあって、自分でつくった方が美味しいし、野菜もとれて体にもいい。節約になっているかどうかは不明だが。

今日は思い立ってハンバーグをつくり、美味しくできて達成感が半端なかった。
相変わらず手は少しばかりダメージをくらって新しいひびわれができているから、ちょっとメンテナンスしないとだけども、それでも気分的には嬉しさの方が勝る。
そのあと、自分の手から玉ねぎのにおいがして、さらにほくほくした。

私の母は料理上手で、小さい頃から母の手はよく玉ねぎやらにんじんやら、その日の晩ご飯の食材のにおいがしていた。主に野菜を切るときに手ににおいがうつる。そのにおいが割と好きだったし、"お母さん"の勲章のような感じがしていた。

自分の手からそういう食材のにおいがするのは、前述のように珍しいことでもあるから、においがすると「私もちゃんと料理ができた、大人になれた」という気がするんだ。

今日の私の手からは、玉ねぎのにおいがする。

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