【過去記事】苫米地英人さんと語る会:その2

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苫米地英人さんと語る会:その2
投稿日:2009/12/09 17:14:00

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苫米地さんの語りというか「しゃべくり」は私の経験上、典型的な頭の回転が速い人のパターン。

瞬間瞬間にあちこち話題(しかも関係あるのかどうかもわからない)が飛んでいくのだけれども、最後に話題の発端に戻ってみると壮大な曼荼羅絵になっていたことを知る。

独特の語りも落語を彷彿とさせる感じでグイッと引き込んでいきつつ、語りについてもいろんなテクニックがあると、さらりと言ってしまう自由さ。

愛について
愛とは脳の幻想。あえて意味あるものとして捉えるなら、抽象度を上げて日本語で表現したとすれば、慈悲=シンパシーと施し。その文脈から個人に対する愛は幻想。日本語にするなら愛欲。

私の感覚では、愛という日本語の意味がとても広すぎると思います。また英語のLOVEともニュアンスが違う気がします。なので苫米地さんが言った慈悲という表現はしっくり来ました。

パーソナルな愛=愛欲であるとは言い得て妙。だから脳の幻想なのかと・・。
欲というのは脳の幻想、本来は生命を維持するためのスイッチかもしれません。さらに人間が社会という概念を生み出し、そこへ欲のスイッチを当てはめたといえるのではないでしょうか。そして当てはめがあったからこそ、そこから抽象度を上げていくと慈悲につながる概念が生まれたのかもしれません。

問題認識について(環境問題からの流れで)
例えば毒矢が自分に刺さった時
・この矢は、どの方向からどんな速度で飛んできたのか?物理計算してみよう。
・そういえば、そもそも誰が矢を放ったのか?自分はそんな恨みを買うことしてしまったのか?全員の顔を思い浮かべて犯人の可能性を考えていかないと!
・ちょっと待て!毒があるかどうかも調べる必要があるぞ。スペクトル分析して、もし毒があるなら解毒剤を調合して、そうだ~厚生労働相の認可ももらわなきゃ!
→ そんなこと考える前に「まず矢を抜け!」
人間一人一人が出来ることをやる。まずはそこからじゃないか?

笑ってしまいました。私は、これこそ頭がよい人だなと思います。

難しいことを難しくする(たまに簡単なことを難しく)、過去の実績を分析して成功モデルを導き出す、そもそも問題の原因を追求して犯人を明確にする、可能性をいっぱい推測して並べる。
このような思考も決して不必要ではないし、時と場合に応じて必要であると思いますが、思考してからでないと動けないという状況は生命体として本来の姿だろうかという問いも含まれている気がします。

自分ができることから始める、続ける。このシンプルさが苫米地さんのブレない軸を醸し出しているのだと感じました。

質問:「人間は遠い将来に向けてこれからどうなるのか?」
滅亡するだろうね。
10年後か100年後か1000年後かもっと先なのかはわからない。ただ言えるのは滅亡に向かっていると考えている。
質問:「ベチさん(苫米地さんの愛称)は人間が滅亡するのになぜ人類への貢献活動を行っているんでしょうか?」
え?滅亡するしないはその時が来てみないとわからんでしょ。ぼくは今日、自分ができることをやり続けているだけだよ。答えになったかな?


私の感想は、そうだろうな、ということです。質問そのものにも少し違和感も感じました。いつかは滅亡する、でもその前に自分という意識は無くなっている可能性が大きい。

そこに意識を向けるより、自分が貢献出来ること実現すること(したいこと、という表現でなく)に向かって今この瞬間出来ることをやる、それが大切なのではないかと感じます。大きな視点ではビッグバン以前は現在の宇宙と呼ばれる世界とは別の世界だったのでしょうし、そもそも人間もいなかった。

人間として何をするのか。それは「今、生きている人」が自由に選択すればよい、そう考えています。


総括としては、
苫米地英人という人をメタファーとして表現するなら絶対値で語る人なんだなと思いました。相対値ではない感覚。

コミュニケーションや社会経済の仕組み、学問、宗教観などなど、多くの概念が人間の思考にありますが、私が見聞きした内容はいずれも相対値のような枠組みと思います。なので反論や違う意見が生まれる可能性がある。

苫米地さんの思考の軸がブレない理由は絶対値で認識し、絶対値で語るからだと思います。

私が思うのは、コーチングでもファシリテーションでも大切なのは絶対値の視点であり、相対値はあくまでも補助的なものであるということです。今回の苫米地さんとの対話で手に入れたもっとも大きなものは「絶対値感覚」であると言っても過言ではないでしょう。
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