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読書メモ|『心がつながるのが怖い 愛と自己防衛』

自分が「自己防衛してんな〜」という自覚を持つことが度々あったので気になってた本。

この本で言われている「自己防衛」とは、「現実と距離を置くためにとられる戦略で、有益にも有害にもなりうるもの」のこと。そのうち「恐ろしい感情・思考・または願望から自分を守るための自己防衛」が「内的自己防衛」で、他責的になることや無気力になること、行き過ぎたポジティブ思考などがそれに当たるそう。

内的自己防衛が強力な人が話す感情は、自分で感じる以上に自ら考え、抱こうとした感情かもしれないといいます。自分はこんなふうに考えちゃいけないんだとか、こんなふうに感じるとかなんて嫌なやつなんだとか、色々思考を巡らせた上で、「自分はこう思うべき、こう感じるべき」まで決めてしまい、本当の感情・思考には触れないようにしてしまうということでしょう。

行き過ぎたポジティブ思考もこういうところから来るのかも。物事をポジティブに捉えようっていうのはもちろん大事だと思うけど、ネガティブな感情にしっかり向き合った上でポジティブになる必要があるのかもなと思いました。ネガティブな感情に蓋をして、見て見ぬふりをしてポジティブになるのはかえって危険なのかも。

向き合うべきネガティブな感情の一つに「悲しみ」があると思いますが、人と関係性を築いていく上で将来訪れうる「喪失の悲しみ」を恐れるあまり、誰かが自分にとって重要な存在になることを無意識に拒んでしまうことがあるそうです。これは結構わかる気がする。

このように自己防衛によって感情が抑圧されると、本当の感情やそれに伴う願望・衝動に気づくことができない。また、ある感情を完全に意識できていたとしても、その感情の陰にもっと重要な感情が隠れていないかを問うてみる必要があるといいます。
インスタの他人のキラキラした投稿を見てもやっとするのは、実は蔑んでいるのではなく、羨ましくて自分もそうしたいと思っているからかもしれないし、友達と話しててイライラしてくるのは、実はその友達の話とか話し方が気に触るのではなくて、その話の内容に自分のコンプレックスを刺激されて何か脅かされるような恐怖を感じているからかもしれない。
こんなふうに、実は自分はどう思ってるんだろうということをしっかり感じてみること、どんなふうに感じているにせよ「良くないこと」と断罪せずに、そう思ってしまっている自分もいると知ることがまずは大事なのかもしれないなと思いました。

自己防衛の戦略は自分自身が気づかないうちに悲しみをブロックし、体験すべき痛みから引き離してしまう。そして内へ向かう怒りは外へ向かう怒りと同様に無力感や悲しみといったより繊細な感情を感じないようにする自己防衛戦略なのだそうです。
前もって予防線を張ってしまうとか、自責的思考が強くて罪悪感を抱きやすい、なんでも自分が悪いと思ってしまう、みたいなことは、実は繊細な感情を感じないようにするためのものなのかもしれない。

こうやって見てくると、表に出す出さないは別として、まずは自分の感情に素直になること、抱こうとしている感情ではなくて、本当は何を思っているのかに気づくことが必要なんだなと思いました。

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