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ネオ・トキオ金融道、4兆円の使い道。

なん兆円という巨額のお金が動いたとき、われわれ国民はすぐに感知することができない。それにつけ込むように、税金であることを忘れてジャブジャブ使う連中がいる。このたびの東京オリンピックの総経費は4兆円に迫ろうとしている。この支出を埋めるべき当然の収入の目処が立っていない。政治家が口に出す覚悟という言葉がいよいよ信用できない。種目に挑む選手たちはこの問題とは関係なく、死力を尽くしてがんばっている。解説者もビッタビタにボキャブラリーを駆使して熱戦の状況をゴン攻めで伝えている。生活者にはゆとりがない。安心と安全が担保されていない。国からのフィードバックがないのに、納めるべき税金だけはしっかり加算されてゆく。選手たちを応援するにも心から応援できない人がいる。ワクチンや治療に必要な薬剤がまだ十分に行き届いていない。ベッドも恒久的に足りない。医療は日々逼迫している。亡くなっている人が大勢いる。専門家の意見は相変わらず軽視されている。飲食店はますます厳しい状況が続いている。百貨店やスーパーなどの生活圏内でクラスターが頻発。この不条理、負の連鎖を断ち切るためにすべきことは色々あるが、まずは巨額のスケール感を生活目線で捉えるためのプラクティスが必要だと考え、この記事を書くに至った。

4兆円あったら何を何回できる?
「年末ジャンボ〜3億円〜」と所ジョージさんが歌ってた頃のテレビコマーシャルはまだ耳覚えがある。前後賞合わせて総額3億円という触れ込みだった。現在は何と10億円(一等7億円+一等の前後賞が1億5000万円)という金額らしい。凄い。知らなかった。1回あたり10億円の賞金が出る。つまり4兆円あったら向こう4000年分、サマージャンボ含めても2000年分の宝くじの賞金が確保できる。宝くじは買わない。忌野清志郎がRCサクセションのデビュー曲で歌っていた。年末ジャンボ買わないとしても音楽は聴くというあなた。ある年(2015)のフジロックの開催費用(ステージ設営+出演者報酬+ 音響照明などの総額)は16 億円を拠出していた。ということは、4兆円あればフジロックをあと2500回も開催できる。フェスには行かないけど、ダムは好きだというあなた。日本一の堤高(186m)を誇る黒部ダムの総工費は513億円。4兆円あったら77.97基あらたにダム建設できる数字。どうだろう。とりあえず宝くじ好き、音楽好き、ダム好き、ダムド好きには届いたのではないだろうか。とにかく4兆円は大変な数字だ。

いざ4兆円、あなたならどう使う?
僕は開発者なので、4兆円という数字を開発費で捉え直してみる。GAFAと呼ばれるアメリカを代表する企業のある年(2018年度)の年間開発費用はアマゾンで3.2兆円、アルファベット(グーグル含む)で2.4兆円、アップルで1.6兆円、フェイスブックで1.1兆円だった。名だたる企業の年間開発費以上の金額を使い込んだわりに、実りの少ないオリンピックだった。削れる経費を少しでも削って、未来の希望の材料になるような開発を、東京オリンピック閉幕後も続くであろう新型コロナウイルス対策に生かすべきだったのではないか。

余談のようでやがてつながる話なのだが、オリンピックの取材でアメリカから来たCNNの記者が、日本の自動販売機のクオリティに感動していた。たしかに海外の映画に出てくる自動販売機は、蹴り上げないとジュースが出てこない。私たちはこのクオリティに慣れてしまっているが、ここまで自動販売機が進化している国は確かに少ない。たとえば人工知能と自動販売機の技術をマッシュアップさせるのはどうか。ジュースを選ぶ指で、生体センサーに触れる。生体センサーが拾った体温や血圧、心電図、活動量や睡眠状態、血中酸素飽和度、脳活動状態などの情報を元に、個人にとって最適な飲み物やサプリを簡易診断のうえで提供してくれる。そしてさらに法改正がふたつ進めば、処方薬剤も自動販売機から提供することができる。血液や体液を摂取しなければ解析できなかったような糖尿病予備軍のセンシングも(スクリーン印刷技術によってパッチにセンサを網の目のように整列させて電気浸透抽出による組織間質液を摂取して微弱な電流を流してグルコース値を測定することで)可能となる。このようにひとつひとつの予防医学が進めば、医療逼迫の不安材料がひとつ減る。世界で誇れるような先進技術の基礎が日本からまた立ち上がる。後発となってしまった人工知能開発も、既存技術と組み合わせれば固有の技術として世界でふたたび戦うことができる。触覚や嗅覚や味覚など、日本には独自の研究を続ける開発者が存在する。長い目でみれば、必ずしもワクチン開発だけが新型コロナウイルス対策ではない。緊急対策が必要な問題を解決しつつ未来に役立てる。それこそ本来的なレバレッジ型の政策ではないか。Go To キャンペーンの薄っぺらさも酷かった。誘致すべきは現実の土地ではなく、デジタル世界への誘致だ。その財産となるデータをいち早く整備すべきだし、予算をかけるべきなのだ。

日本経済新聞によると、政府は新型コロナウイルス禍を受けて積み増した2020年度の予算のうち約30兆円を使い残しているらしい。アッピールばかりで現場に届いていないのが実情。お金もアイデアも出し渋りしてる場合ではない。そして何より、政府はお金の使い道を知らない。国民それぞれに生活があり、考えがある。裁量権のある人たちに示しましょう。宝くじの当選確率を拡張するでも、デジタルに特化したフジロックのような音楽フェスを企画するでも、黒部ダムのように国内第4位の水力発電能力を誇りつつ年間100万人が訪れる観光材料にもなるような建造物を企画するでもいい。巨額であっていい。大きく支出した分、大きな収入という名の現実的な夢が見たい。あなたなら4兆円、どう使いますか?

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