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キミは"新生"赤い公園を聴いたか!?

2020年4月15日、赤い公園の最新フルアルバム『THE PARK』が発売された。

多くの方がご存知の通り、赤い公園は2018年にヴォーカルが代わり新生赤い公園としての活動をスタートした。
そんなバンドとして大きな転換を迎えてからの初のフルアルバムだが、このアルバムが本当に素晴らしい。1人でも多くの人にこのアルバムを聴いてほしい、そんな思いから今回筆を執った。

今の赤い公園を聴け!

こんな偉そうな事を言ってるが、かく言う私も前Vo.佐藤千明が脱退してからしばらくは赤い公園の音楽に触れる機会は減ってしまっていた。

新Vo.の石野理子がだめだとかヴォーカルが代わったら赤い公園じゃないとかそんな気持ちは全くない。ただ単純にバンドが一息つくとファンとしても一息つく。赤い公園の第一章は終幕したと感じたからだろう。

そんな中、2019年に新体制初のCD『消えない-EP』が発売された。
私はこのEPを聴いて驚がくした。これが新しい赤い公園かと!!興奮を抑えきれなかった。
たった5曲のEPだが今の赤い公園の強みを聴かせるには充分だった。
問答無用のキラーチューン『消えない』に始まり、オシャレなダンスナンバー『Highway Cabriolet』、ポップでロックな『凛々爛々』などなど今の赤い公園を強烈に伝える曲たちがそこにはあった。

(消えない-EP)

満を持して発売された『THE PARK』

そして新体制発表から約2年、待望のフルアルバムがリリースされた。
"公園"というほぼセルフタイトルのようなアルバム名を引っさげ上がりきったハードルをしっかり越えてくれる作品だった。

これはかなり個人的な好みの話だが、アルバムの1〜3,4曲目までは畳み掛けるように勢いがある曲を並べるのが望ましいと思っている。その中にアップテンポなシングル曲が入っているとなお良い。
『THE PARK』ももれなくその系統に当てはまる。3曲目まででしっかりと勢いをつけ、4曲目にシングル曲の『絶対零度』で最高潮を迎える。
一転して5曲目からは『Unite』『ソナチネ』といった初期の赤い公園を思わせるオルタナティブな曲が展開される。
さらに『夜の公園』『曙』『KILT OF MANTRA』では哀愁とポップが入り交じり、最後のナンバー『yumeutsutsu』でやりたいように盛り上がって爆発してこのアルバムは終了する。

私は特にこのアルバムの中盤〜終盤が赤い公園の正当進化を象徴していると感じた。
赤い公園はそもそもゴリゴリのロック(黒い面)と軽快なポップス(白い面)の両面を持つバンドである。それはバンド初期にリリースされた『透明なのか黒なのか』と『ランドリーで漂白を』という2枚のアルバムからも明らかだ。
この2面性を新生赤い公園は上手く調和・昇華していると思ったのだ。

また、これも好みの話になってしまい申し訳ないが、アルバムの長さが全11曲で約41分という収録時間なのがちょうどいい。
個人的には50分を超えるアルバムだと中盤で中だるみしてしまい、最初からの勢いを維持したまま1枚を聴かせるのが難しい。
このぐらいのボリュームであれば聴いているとあっという間で、もう終わってしまったのかという余韻をもたらしてくれる。

赤い公園というバンドの先

ここまで分かりにくい文章でうだうだと書いてきたが、伝えたいことは今の赤い公園を聴いてほしいということ唯一つである。

昔の赤い公園は聴いてたという人も、全然赤い公園を知らないという人も、ぜひこのアルバムをきっかけに新しい赤い公園を聴いてもらいたい。

本来、バンドのヴォーカルが代わるということは日本の音楽シーンではよくあることではない。
しかし、赤い公園は新しいボーカリストを迎えるという選択をし、決して歩みを止めなかった。
彼女たちの思いや葛藤など私ごときは知る由もないが、新たな楽曲たちからはその覚悟と攻めの姿勢を感じることができた。
このバンドはまだまだ進化をし続けるだろう。

そして、

これだけ語っているにも関わらず私はまだ新生赤い公園を生で見たことがない。

ニューアルバム『THE PARK』を引っさげた全国ツアーも予定されているが、新型コロナウイルスの影響でこのツアーが無事実施されるかは分からないためいつ私が赤い公園のライブを見れるかもわからない。

新型コロナウイルスが終息し、今まで通りまたライブハウスに足を運べるようになったとき、新生赤い公園を堪能できるよう、今はこの『THE PARK』をみんなで擦り切れるまで聴くとしよう。

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