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英語⇒日本語への翻訳でいちばん精度が高い翻訳ツールは?

英語で書かれた利用規約やホームページを確認する際に、何かと大活躍するのが「翻訳ツール」です。

「翻訳ツール」と聞いてすぐにパッと思いつくものとして、「Google翻訳」「DeepL翻訳」があると思いますが、最近は「ChatGPT」でも翻訳ができると話題になっています。

となると、気になるのが各ツールの「翻訳精度」ですよね。
特に、近年急速に台頭してきた「ChatGPT」の実力が如何ほどのものか、興味がある方も多いのではないでしょうか?

そこで今回は、「Google翻訳」「DeepL翻訳」「ChatGPT」の3ツールを使って、英語から日本語への翻訳精度について比較検証してみました。

業務上どの翻訳ツールを使うべきか迷っている方は、ぜひ参考にしてみてください!

※今回の内容は、以下記事の抜粋になっています。完全版はこちらから↓



1.検証条件

翻訳精度の比較にあたり、以下の条件で検証を行いました。

【原文】
OpenAI 利用規約

【使用ツール】 ※すべて無料版を使用
Google翻訳:1回につき上限は5,000文字。

DeepL翻訳:無料アカウント登録により、1回あたりの上限を3,000文字⇒5,000文字に引き上げ。

ChatGPT:無料版のChatGPT-3.5を使用。
入力するプロンプトは以下に統一。
> 以下の英文を日本語に翻訳してください。
> [英文]

【比較基準】
正確性
文脈上明らかな誤訳は無いか。

読みやすさ
①直訳調ではなく、日本語として自然な表現になっているか。
②主語/述語が明確であり、主述関係に矛盾が生じていないか。
③難解な表現を多用せず、一読しただけで意味が伝わる文章になっているか。

2.検証結果

結論から先に言うと、英語から日本語への翻訳の質に関して、頭一つ飛び抜けている翻訳ツールは残念ながら存在しませんでした。

「Google翻訳」は、誤訳こそ無かったものの不自然で固い訳文が多く、読みにくさが目立ちました。
「DeepL翻訳」「ChatGPT」は、滑らかで自然な日本語に訳してくれますが、誤訳もちらほらと見受けられました。

それでは、具体的な検証結果について確認していきましょう。

※今回は文字数の都合上、5ケースある検証結果のうち、代表として3ケースをご紹介します。なお、英語原文は省略しています。
全ケースの比較検証結果を確認したい!という方は、お手数ですが完全版をご覧ください。

ケース1:短文(2~3文)

〈Google翻訳〉

9. 一般規約

(a) 当事者の関係。 本規約は、お客様とOpenAI または OpenAI の関連会社との間にパートナーシップ、合弁事業、または代理店関係を構築するものではありません。 OpenAI とお客様は独立した契約者であり、いずれの当事者も、相手方の事前の書面による同意がない限り、相手方を拘束したり、相手方に代わって義務を負ったりする権限を持ちません。

(b) ブランドの使用。 当社の事前の書面による同意がない限り、OpenAI またはその関連会社の名前、ロゴ、または商標を使用することはできません。

〈DeepL翻訳〉

9. 一般条項

(a) 両当事者の関係 本規約は、お客様とOpenAIまたはOpenAIの関連会社との間に、パートナーシップ、ジョイントベンチャー、代理店関係を構築するものではありません。OpenAI とお客様は独立した契約者であり、いずれの当事者も、相手方の書面による事前の同意なしに、相手方を拘束したり、相手方のために義務を負ったりする権限を有しません。

(b) ブランドの使用。お客様は、OpenAI またはその関連会社の名前、ロゴ、または商標を、当社の書面による事前の同意なしに使用することはできません。

〈ChatGPT〉

9. 一般事項

(a) 当事者の関係:これらの利用規約は、あなたとOpenAIまたはOpenAIのいずれの関連会社との間にパートナーシップ、合弁事業、代理店関係を創設しません。OpenAIとあなたは独立した契約当事者であり、いずれの当事者も他方を拘束したり、他方の代わりに義務を負わせたりする権限を持ちません。互いの事前の書面による同意がなければなりません。

(b) ブランドの使用:あなたは、私たちの事前の書面による同意なしに、OpenAIまたはそのいずれの関連会社の名前、ロゴ、商標を使用することはできません。

2~3文ほどの短い文章では、翻訳ツールによって精度に大きな差はありませんでしたが、単語の訳し方に細かな違いが見られました。

特に、「You」「our」の訳し方にそれぞれ特徴が現れました。

Google翻訳、DeepL翻訳
「You」を「お客様」、「our」を「当社の」と訳し、原文が利用規約という背景を汲み取った翻訳がされている

ChatGPT
「You」を「あなた」、「our」を「私たちの」とそのまま直訳しており、文脈を踏まえた訳になっていない

ケース2:1,000文字程度

〈Google翻訳〉

OpenAIをご利用いただきありがとうございます。

①これらの利用規約は、OpenAI, L.L.C. のサービスを使用する場合に適用されます。 または当社のアプリケーション プログラミング インターフェイス、ソフトウェア、ツール、開発者サービス、データ、ドキュメント、Web サイト (「サービス」) を含む当社の関連会社。 本規約には、当社のサービス規約、共有および公開ポリシー、使用ポリシー、および当社が書面で提供するその他の文書、ガイドライン、またはポリシーが含まれます。 当社のサービスを使用すると、これらの規約に同意したものとみなされます。 当社のプライバシーポリシーでは、当社が個人情報を収集および使用する方法について説明します。

〈DeepL翻訳〉

OpenAIをご利用いただき、ありがとうございます!

①本利用規約は、OpenAI, L.L.C. またはその関連会社のサービス(アプリケーションプログラミングインターフェース、ソフトウェア、ツール、開発者サービス、データ、ドキュメント、ウェブサイトを含む)(以下「サービス」)を利用する際に適用されます。本規約には、当社のサービス規約、共有・公開ポリシー、利用ポリシー、および当社が書面で提供するその他の文書、ガイドライン、またはポリシーが含まれます。お客様は、当社のサービスを利用することにより、本規約に同意したものとみなされます。当社のプライバシーポリシーは、当社が個人情報をどのように収集し、使用するかを説明しています。

〈ChatGPT〉

OpenAIをご利用いただき、ありがとうございます!

①これらの利用規約は、OpenAI, L.L.C.または弊社の関連会社、アプリケーションプログラミングインターフェース、ソフトウェア、ツール、開発者サービス、データ、ドキュメント、ウェブサイト(以下、「サービス」といいます)を利用する場合に適用されます。これらの利用規約には、サービス利用規約、共有および公開ポリシー、利用ポリシー、およびその他の文書、ガイドライン、またはポリシーが含まれている場合があります。サービスを利用することにより、これらの利用規約に同意したものとみなされます。個人情報の収集と利用については、弊社のプライバシーポリシーが説明しています。

1,000文字程度の文章では、特に①について訳し方に大きな違いが見られ、3つの翻訳ツールの中では、「DeepL翻訳」が最も正確・自然な表現で和訳してくれました。

〈①〉
DeepL翻訳:3つの翻訳ツールの中で最も自然に意味が通じる訳文となっている

Google翻訳:2文目の「または当社のアプリケーション・・・」以下が文章として完結していない

ChatGPT:「OpenAI, L.L.C.または弊社の関連会社、・・・」の部分で、意味は間違っていないものの、文脈上DeepL翻訳の「OpenAI, L.L.C. またはその関連会社のサービス・・・」のほうが自然

ケース3:2,000文字程度

〈Google翻訳〉

5. 機密保持、セキュリティおよびデータ保護

(a) 機密保持。 ②OpenAI、その関連会社、およびその他の第三者の機密情報へのアクセスが許可される場合があります。 お客様は、本規約で許可されているサービスを使用するために必要な場合にのみ、機密情報を使用することができます。 お客様は機密情報を第三者に開示してはならず、同様の性質の自分の機密情報を保護するのと同じ方法で、少なくとも合理的な注意を払って機密情報を保護するものとします。

(中略)

③OpenAIに合理的な事前の書面通知を送り、開示要件への異議申し立てに対する当社の支援を含む開示範囲を制限するための合理的な努力を行う場合、法律または裁判所またはその他の政府機関の有効な命令によって要求された場合、お客様は機密情報を開示することができます。 可能な場合はそれぞれの場合。

(b) セキュリティ。 ④お客様は、サービスへのアクセスおよびサービスの使用を保護するために設計された合理的かつ適切な措置を講じる必要があります。 本サービスの使用に関連する脆弱性または違反を発見した場合は、直ちに OpenAIに連絡し、脆弱性または違反の詳細を提供する必要があります。

(c) 個人データの処理。 個人データを処理するためにサービスを使用する場合は、法的に適切なプライバシー通知を提供し、かかるデータの処理に必要な同意を得る必要があり、適用法に従ってかかるデータを処理していることを当社に対して表明する必要があります。 ⑤GDPR で定義されている「個人データ」、または CCPA で定義されている「個人情報」の処理に OpenAI API を使用する場合は、このフォームに記入してデータ処理追加条項の履行をリクエストしてください。

〈DeepL翻訳〉

5. 守秘義務、セキュリティ、データ保護

(a) 機密保持。②お客様は、OpenAI、その関連会社およびその他の第三者の「秘密情報」にアクセスすることができます。お客様は、本規約で許可された本サービスを利用するために必要な場合にのみ、「機密情報」を使用することができます。また、お客様は、少なくとも合理的な注意を払い、同様の性質を持つご自身の機密情報を保護するのと同じ方法で、機密情報を保護するものとします。

(中略)

③お客様は、法律または裁判所もしくはその他の政府機関の有効な命令によって要求された場合、OpenAI に合理的な書面による事前通知を行い、開示の範囲を制限するために合理的な努力を払う(開示要求に対する異議申し立てを支援することを含め、可能な場合はそれぞれの場合において)ことにより、秘密情報を開示できます。

(b) セキュリティ。④お客様は、本サービスへのアクセスおよび本サービスの利用を安全にするために設計された合理的かつ適切な手段を実施しなければなりません。お客様が本サービスの利用に関連する脆弱性または違反行為を発見した場合、お客様は速やかにOpenAIに連絡し、脆弱性または違反行為の詳細を提供する必要があります。

(c) 個人データの処理 お客様が本サービスを使用して個人データを処理する場合、お客様は、法的に適切なプライバシー通知を提供し、当該データの処理に必要な同意を得なければならず、お客様は、適用法に従って当該データを処理していることを当社に対して表明します。⑤GDPR に定義される「個人データ」または CCPA に定義される「個人情報」の処理に OpenAI API を使用する場合は、このフォームに記入して、当社のデータ処理補遺の締結を依頼してください。

〈ChatGPT〉

5. 機密保持、セキュリティおよびデータ保護

(a) 機密保持。②OpenAI、その関連会社およびその他の第三者の機密情報にアクセス権が与えられる場合があります。これらの利用規約に従ってサービスを利用するために必要な範囲でのみ機密情報を使用することができます。機密情報を第三者に開示することはできず、自身の同様の性質の機密情報と同様の方法で機密情報を適切に保護する必要があります。

(中略)

③法律または裁判所またはその他の政府機関の妥当な命令により機密情報を開示する必要がある場合は、OpenAIに合理的な事前通知を行い、開示範囲を制限するための合理的な努力を行うことができる場合にのみ、機密情報を開示することができます。

(b) セキュリティ。④サービスへのアクセスおよび利用を安全にするために合理的かつ適切な対策を実施する必要があります。サービスの利用に関連する脆弱性や侵害を発見した場合は、速やかにOpenAIに連絡し、脆弱性や侵害の詳細を提供する必要があります。

(c) 個人データの処理。サービスを使用して個人データを処理する場合は、法的に適切なプライバシー通知を提供し、そのようなデータの処理に必要な同意を取得する必要があります。また、該当法に従ってデータを処理していることを表明します。⑤もし、GDPRで定義される「個人データ」またはCCPAで定義される「個人情報」の処理にOpenAI APIを使用する場合は、弊社のデータ処理付加契約書を実行するために、このフォームに記入してリクエストしてください。

2,000文字程度の文章では、「主語の明示による誤読の防止」という点ではDeepL翻訳が、「訳文の滑らかさ」という点ではChatGPTがそれぞれ優れていました。

Google翻訳は主語の曖昧さや訳文の不自然さが目立ち、大きなマイナス評価となりました。

〈②〉
DeepL翻訳:「お客様」が「OpenAI、その関連会社、その他の第三者」の機密情報にアクセスできる、と訳しており、主語が明確になっている

Google翻訳、ChatGPT:主語が省略されており、一読しただけでは誰が「OpenAI、その関連会社、その他の第三者」の機密情報にアクセスできるのか分かりにくい

〈③〉
ChatGPT:3つの翻訳ツールの中で最も自然に意味が通じる訳文となっている

Google翻訳:「in each case where possible」を一文の中に上手く収められず、最後に取って付けたように不自然な形で訳文を追加している

DeepL翻訳:Google翻訳に比べれば意味の通る訳文になっているが、「in each case where possible」をそのまま直訳しており、ChatGPTの滑らかな訳文には及ばない

〈④〉
ChatGPT:3つの翻訳ツールの中で最も自然に意味が通じる訳文となっている

Google翻訳、DeepL翻訳:原文の「designed to」以下を「本サービスへのアクセスおよび本サービスの利用を安全にするために設計された・・・」と直訳しているため、ChatGPTと比べてやや固く不自然な訳文となっている

〈⑤〉
Google翻訳、ChatGPT:少したどたどしい部分はあるものの、訳文としての意味は通っている

DeepL翻訳:「補遺」というあまり馴染みのない言葉が訳文として使われており、辞書を引かないと意味が分からず、読むのに手間がかかる

「ケース4:3,000文字程度」「ケース5:4,000文字程度」の検証結果については、お手数ですが完全版をご参照ください。

まとめ -翻訳精度を高めるには、人間による訳文のチェックが不可欠

ここまで、「Google翻訳」「DeepL翻訳」「ChatGPT」の3ツールによる、英語から日本語への翻訳精度の比較検証結果をご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?

今回は、「正確性」と「読みやすさ」を兼ね備えた完璧な翻訳ツールはありませんでしたが、複数の翻訳ツールを横断的に使用すれば、個々のツールが持つ弱点を互いに補い合うことができます。

より高精度な翻訳を目指すなら、1つの翻訳ツールに依存せず、各ツールによる翻訳結果を見比べて人間による訳文のチェック・改善を行うことが必要といえそうです。

※今回の内容は、以下記事の抜粋になっています。完全版はこちらから↓



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