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私なりの「#SFグロチャレピッチ反省会」

関連:SFでの「グロチャレ」で味わった私の「Challenge」

今回は、上記記事でも触れた、現地でのピッチでの私なりの「敗因分析」を行う。ただし、ソリューションとなるプロダクトやビジネスモデルの項まで行ったら不必要な「ネタばらし」まで行うのでここでは実施しない。導入部だけに絞って取り上げたい。

私なりの「敗因分析」=導入部に関して

 導入部のスライドは2枚。初めは課題のスライドがもう1枚あったのだが、「本来課題は1枚のスライドにコンパクトにすべき」とのフィードバックを受けたことから、「原体験」1枚と「課題」1枚に絞った。以下、実際にピッチで話した内容(英語)とその日本語での内容、さらにそこに織り込まれている要素を示す。

●最初のスライド(原体験)の発表内容
高3の時私の母校が演じた夏の全国高校野球地方予選準決勝での「奮闘」がテーマである。
(※具体的なスライド表現は省略させてください)

I can never forget that scorching summer day when our high school baseball team played that heated and crazy semi-final game that went into extra 13 innings. It’s water that finally supports such grit and grind for the shared goal on this heating earth. But…

私はあの灼熱の暑い日を忘れられない。その日は、我々の高校が、延長13回まで行ったあの白熱、熱狂した試合をした。この灼熱化する地球で、共通の目標に向けた頑張りや奮闘を支えるのは、最後は水である。しかし…

(私が実際にピッチで話した言葉より。下記は日本語。)


【盛り込まれている要素】
・暑い日の母校の高校野球準決勝の記憶
・厳しい環境で頑張りを支える水の役割
・頑張るために共通の目標がある
・地球温暖化

●2枚目のスライド(課題)の発表内容
 天候や活動量により変動する水分補給のマネジメントの困難性を団体競技のマネージャーの視点から準備・ロジスティクスの観点も含めてまとめるとともに、選手の将来や故障リスク、特に少年スポーツでは避けて通れない選手の親とチームとの関係、さらに環境負荷と言った社会課題も入れ込んで整理している。そして、背景は「気候危機」。避けられない暑熱化・水需給のひっ迫といった外部要因の不安を織り込んだ。「スポーツは社会課題の縮図」これを見事に最小の文字数で入れ込んだ「自信作」として作ったつもりだった。

Because there’s no metrics for fluctuating water demand and balance, many conditioning coaches cannot figure out when, what and how much to let their players drink. This could spoil their endeavor and even future through injuries or degraded performance and health, while making communications and logistics difficult, accompanied by water and environmental burden.

変動する水分の需要やバランスに対応した基準指標がないので、多くのコンディショニングコーチは、選手にいつ何をどれだけ飲ませるべきかを把握できない。これにより、選手の頑張りや将来までもが、故障やパフォーマンス、健康の低下を通じて損なわれるかもしれません。その一方でコミュニケーションやロジスティクスが難しくなり、水需給や環境への負荷も伴います。

(私が実際にピッチで話した言葉より。下記は日本語。)

【盛り込まれている要素】
※括弧書きは、言葉では表現しきれなかった要素

・避けられない気候危機、水需給の不安→これを背景に入れ込んだ。この「気候危機」こそが私が問題意識を持っている一丁目一番地である。
(・環境や運動量は変化する)
・環境や運動量により水分の需要やバランスは変動する
(・真水とスポーツドリンクとのバランスが難しい)←これだけで単独のスライドを作っていた
・変動に対応した水分補給の基準指標がない
(・選手にとっては水分補給のタイミング・量・内容が分からない)
・コーチにとっては選手に水分補給させるタイミング・量・内容がわからない
(・熱中症のリスク)
・選手の頑張りが奪われる
・選手の将来が奪われる
・健康の低下
・故障リスク
・パフォーマンスの低下
・(選手、チーム、親御間の)コミュニケーションの低下、対立
・(水分をめぐる)ロジスティクス、手配、コストの難しさ
・水需給の負荷増大(、水資源の枯渇)
・(ペットボトル廃棄物の増加を通じた)環境負荷の増大

 振り返ると、ずいぶん多くの言いたい要素が盛り込まれているばかりか、言いたいこと(あるいは言うべきだったこと)を削っている。問題の背景の理解がわかっていれば、これらの問題が糸でつながってすっと入ってきたはずだ。(実際、帰国後、すごくわかりやすいスライドだと評する人もいた)
しかし、日本の運動部をそれほど経験していない、お子さんがおらず少年スポーツ活動での悩みがわからない、そもそもスポーツに関心が低い、地球環境への関心が低い…といったペルソナの人だとどうだろうか??私が想像するに、その一例が関連のNote記事で出てきて、当時審査員の1人を務めたIT起業家のA氏。こう捉えられても仕方あるまい。

・選手の頑張り、将来?知ったこっちゃねえよ。
・コミュニケーション?熱中症と何の関係があるの?
・地球環境問題と関係あるの?
・何でいちいち個人でなくコーチの話が入ってくるの?
・甲子園、高校野球なんて興味ないよ
→ごちゃごちゃ書いてあるだけで、何が言いたいのかさっぱりわからん

 ピッチイベントだけでなく、あることやプロダクトを広めるためには、こうしたペルソナにもわかりやすく説明する必要がやはり出てくる。そのためには、重要な要素であろうとプレゼの中では「殺さざるを得ない」。言い換えれば、ピッチやプレゼなんて所詮言いたいことや自分の価値観の20%伝わればいい方。100%伝わるわけがない。

 こう考えると、2枚目に盛り込むべき要素は、これでよかったのだろうかな??
・環境や運動量により水分の需要やバランスは変動する
・そのバランスの一例が、真水とスポーツドリンクとのバランスである
・しかし変動に対応した水分補給の基準指標がない
・選手にとっては水分補給のタイミング・量・内容が分からない
・これが熱中症などの体調不良を引き起こす

 ずいぶん社会課題が削られてしまったが、こんなもんでいいか、と思うマインドセットも必要だろう…でも…

でも、これでいいのか??

 こんな発表内容、私の素直な気持ちに立ち返れば、はっきり言って「つまらない」。特にユースクラスを扱うスポーツ関係者も「つまらない」と思う人が出てくるのではないだろうか。
 上記再検討で削られた要素は
1)親御さんとチームのコミュニケーション
2)チームスポーツならではのコンディショニングコーチ(マネージャー)の負担
  →少年チームでは親御さんの「お茶当番」として出てくることもある
3)選手の将来を守る視点
4)気候危機や環境保全の視点
5)ロジスティクス、予算の視点

 2)は、当初私が気づいていなかったが、福岡市スタートアップカフェの担当者や元大学サッカー部の方のアドバイスで気づいた視点だ。またスポーツチームでのヒアリングからも準備の手間の課題が浮かび上がった。1)は、ヒアリングで少年スポーツチームのコーチが重点的に話されていた点。どうしてもヒアリングでは話が親子関係の方に流れてしまう。それだけ避けられない視点だ。そして、実際、少年スポーツの現場では選手の親御さんが何人も我が子の練習や試合の姿を見ている。これは私が小さい頃では考えられなかった視点だ。
 その一方で、1)~5)の視点の優先順位の問題もある。1)2)の視点を強調すると、今度は4)の視点や問題意識の方が希薄になってしまう。1)2)に関心の高い人は必ずしも4)への関心が高いとは限らない。私も、「あなたが守りたいのは地球環境ですか?スポーツですか?」と別の場で批判的な質問をされたこともあった。「アスリートだけを救うためのものではなく地球環境を救うものを作るべき」という批判も受けたこともある。いずれの質問も、私の考えとは相いれないものであるが…
 なお、今回のSF研修前、以下のような本を急遽読みこんだ。理由は、グローバルな展開を考えた場合背景となるグローバルなスポーツ環境の課題をあらかじめ知っておくことが必要と考えられたからである。ただ、審査員のAさんには、全く何の意味もない無用の長物で、運営会社のスタッフの目線からも、「全く無駄な作業」に映ってしまっただろうな…

これから:何がソリューション?

 では、具体的なソリューションは何か?こうすればいいのではないのか?という私の仮説を以下に考えた。ピッチもプロダクトもそうだ。結局、「二刀流」に行きつきそうだ。

1)「関心の低い一般のペルソナ」向けの20%版を作る
2)「関心あるか意識高いペルソナ」向けの80%版を作る

 数字は、「自分の言いたいことを伝えたい」「伝わればいい」割合だ。1)2)どちらを用いるかを決めるのは、伝える相手のプロフィールや経歴、原体験のようなものと思う。この種の情報をできるだけ読み込むか外見などから類推していくことになるだろう。ピッチイベントでも、審査員のプロフィールを読み込んで1)2)どちらかを戦略的に決めるのが理想と思える。
 しかし、1)2)どちらのタイプかわからない/情報がないケースも多いだろう。その場合は、まず一般的なアプローチを使うしかないだろう。この場合、現実的には、おそらく1)に向けたアプローチで反応を探り、もし興味があれば2)のアプローチをとる、ないとなれば「この人は合わない」と思って縁がなかったとして素直にあきらめることになると思う。ピッチイベントの場合も、審査員の素性がわからない場合が多い。その場合は、1)のアプローチをとって、関心を示してもらえ、質疑応答の中で2)のアプローチに持っていければ一番いいような気がする。
 実は、このアプローチ、Global Challengeのデモブースで無意識のうちに採っていて、結果として割とうまくいったものである。まずは直前1日半の指導で勧められた、本来の自分の言いたいことを殺した1)のアプローチで話しながら、関心があるとわかると、自分の言いたい社会課題に踏み込んだ2)のアプローチで話を広げた、ということになる。

 その一方で、このアプローチにも課題があるような気がした。「まずは2割わかればいい」このマインドセットは、伊藤羊一氏や澤円氏がよく言うような「プレゼンは生き様」という格言と矛盾しそうだ。「自分の言いたいこと、出力を抑えてセーブしてわかりやすくする」「2割しか人間はわからないものとあきらめる」これは「生き様をぶつける」考えとは全く相反するもののように見えてしまう。この問題に自分でどう整理をつけるかは、しばらく結論が出ないだろう。

 さらに、私の目指す以下の自分理念に向けては、1つのプロダクト課題を解決できる範囲はせいぜい20%に過ぎないようにも思えることがある。

【目指す社会】
2100年以降も人々の頑張り、挑戦、貢献、感謝が守られる社会
-美しく、カッコよく、気候危機から夢や機会を守りたい-

 この実現に取り組むなら、私自身、以下の「二刀流」でいくしかないのでないか?
1)気候危機の適応策としてのマネジメントプロダクトづくり
 →まずスポーツから、その後一般に横展開
2)気候危機の緩和策実現に向けた脱炭素教育、ソーシャルビジネス

 1)2)ともにスポーツビジネスを絡めていきたい、というのが私の目標である。言い換えれば、スポーツビジネスを1)2)をつなぐ梁にしていくことか。「スポーツができる環境を守ることが地球環境や持続可能な社会を守ることに直結する」これは私の考えである。
 2)に関しては、現在「脱炭素まちづくり公認ファシリテーター」となっており、実際にカードゲームを活用したワークショップ「脱炭素まちづくりカレッジ」を開催することができる。これも活かしていきたい。(スポーツチームの皆様、いつでもお待ちしています。)

 ここで示した今後の方向性は、あくまで現時点のもの。今後変わる可能性があることは言うまでもない。

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