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SFでの「グロチャレ」で味わった私の「Challenge」

 Challengeの意味は何だろうか?日本の英語の教科書では、おそらく「挑戦」として教えられたはずだ。それ以外の意味は教えられた記憶は私にはない。しかし、Challengeには、課題・難問、抗議・申し立て、忌避などの意味もある。
 2023年2月、福岡市のスタートアップ研修「Global Challenge」におけるサンフランシスコでの海外研修に参加することができた。この研修は、最近は、「グロチャレ」と略称で呼ばれることも多い。この名称の「Challenge」の意味は、おそらく単純に「挑戦」なのだろう。しかし、私が参加したこの研修は、まさに「Challenge」だった。一方で、本当の意味の「Challenge」を味わえることに面白さがあるのかもしれない。

福岡市「Global Challenge」と海外研修参加までの経緯

 まずは、仕組みについて簡単に触れておこう。このGlobal Challengeは2016年度以降毎年福岡市が実施しているスタートアップ研修である。国内研修と海外研修とに分かれている。2019年度までは約200名のうち希望する最大100名程度(実質50~60名程度)が海外研修に参加、2022年度は約100名中ビジネスプランの書類審査を通過した最大10名のみが海外研修に参加した。なお、2020~2021年は完全オンライン開催で、現地での海外研修はなかった。2022年度は、私は、この選抜された最大10名の中に入ったわけである。諸事情や直前での病欠もあり、2022年度の海外研修参加者は7名だった。
 この選抜者が目指す目標は、現地サンフランシスコでのピッチイベント「SF Pitch Night」への出場である。現地スタートアップとのピッチバトルであるこの「SF Pitch Night」へのGlobal Challengeからの出場枠は3。研修内で、予選にあたるピッチイベントが行われる。

私の構想

 これを書かないと読んでいる人にはイメージがつきにくいのだが…あまり詳細に書くと違った意味で「ネタばらし」になる恐れがある。ここでは難しいのだが、書ける範囲でコンパクトに書いておこう。
 一言でいうと「水分補給予報」。天候、運動内容から必要な水分補給の量や種別を予測するもの。厳しい環境で頑張るアスリート向けで、チームでのマネジメントやロジスティクスに有効と考えていたことから、屋外団体競技のマネージャーやコンディショニングコーチを最初のターゲットに置いていた。
 「気候危機から目標に向けて頑張る人の活動機会を守りたい」これがミッション。(でも、このロジックも混乱の原因と取られてしまったのだろうね)

私のChallenge

このピッチに向け、私は150回くらい練習しただろうか。原稿を何も見ずに記憶まで話すレベルまでにした。原稿のメモはあえて作らず、原稿を体で覚え込ませた。3分間のタイマーはどれくらい使ったのだろうか…

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実は、帰国後、IPhoneが勝手にこんな通知をした。「3分の練習」これを覚えてくれていた。こんなのを見ると、むなしいなあ…

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 予選のピッチバトルで直前に現地運営会社のスタッフの方に練習のつもりで話したところ、「ゆっくり話すように」とのアドバイスののち、「Great」との評価まで得た。相手関係はともかく、自分の力を出せる、言いたいことはインパクトを与えられると思ったが…
 結果は「惨敗」。おそらく採点は最下位だったのではないかと想像している。審査員を務められたSF在住の日本人起業家の方(A氏としておく)からは、「言いたいことがわからなかった」「詰め込みすぎ」と酷評。最後にA氏に挨拶した時、私に対しては「わからんかった」でおしまい。何もアドバイスやフィードバックもくれなかった。ほかの参加者は落選者も含めしっかりアドバイスやフィードバックもくれるのに…
 単に「負けました」ならここまで残念にならない。悔しいのは負けた内容。「負けました、さらに私は見捨てられました」こんな最悪なことはない。
 ホテルに帰ってから、海岸まで2㎞ほどの距離を感情赴くままに歩いて往復し、帰ってから悔し涙を本当に流してしまった。
 以下がその時の写真。


続:私のChallenge

 ピッチ本選に進めなかった私は、結局デモに回ることになる。その準備過程も、私にはまたChallengeだった。
 このデモの準備前に、出場者は、デモで何を成し遂げたい目標を最初に設定する。私は、「今後のパートナー5人を見つける」「背景のスポーツ文化の日米の違いを把握する」などを最初に設定し、担当されたビジネスデザイナーのBさんに示した。そこでBさんにこうすればと提案された目標は…

「まず30秒でわかりやすく説明する」

 ずいぶん下方修正されてしまった。率直、「この野郎、なめるな」と思った。Bさんによれば、上記ピッチ予選を聞いていて、何をやるのか全く分からなかったらしい。結果、Bさんに何をやるのかを半ば「詰問されながら」Q&A形式でユーザーの課題、そのソリューションの基本的な動作を再整理して図示化した。何か小学生みたいな突っ込まれ方で内心悔しい気持ちでレクチャーを受けていて、失礼ながら私の応答もついけんか腰になったこともあったかと思う。
 それでもなんとか形はできてきた。まあ、悔しいけど、下方修正されてしまった目標の実現に尽くそう…そういうふうに気持ちを切り替えていったと思う。ただし、「なぜ私がやるのか」という部分の記述は私のこだわりで加えさせてもらった。あとは、来場者のひきつけ方の工夫は結構私なりに考え、多分Bさんが全く意図していないような小道具もいろいろ用意した。Bさんからは「誤解を生む恐れがある」と言われたけど…

デモでリベンジ!

 「SF Pitch Night」の当日。私はピッチ会場の裏でのデモブースでのデモ実施。どれだけ人が来て、どれだけ関心を寄せて、どれだけフィードバックが来るのか?不安もあった。しかし、私の想像以上の関心が集まり、数々のフィードバックがいただける結果となった。いろいろ私が考え用意した小道具も、結局「当たり」だったようだ。そして、何人の参加者とも、出国前に私がイメージしていた内容の話をすることができた。スポーツをめぐる親子関係、気候危機に加え水のセキュリティや途上国展開の観点も大事という点、おそらく、作業過程で、Bさんら事務局の運営会社の想定の範囲を超えたと思う。
 以下が現場でのフィードバックの結果の概略。「気候危機解決のミッション」をおおむね理解してもらえた一方で、「プロダクトはよさそうだけどコンセプトと合っているか??」という人も。私に言わせればこれは貴重で面白い回答。この答えの人のペルソナから背景を考えると、また面白い方向が出てきそうだ。

まとめ

 実は、研修最終日に、気分を書くワークがあった。その時書いたグラフを率直に書くと、だいたいこんな感じだったかと思う。(実際は手書きで、準備前、日付とプロセスが詳細になっています)

 いろいろChallengeを味わったけど、最後の現地ユーザーの反応に救われたという感じだった。あとは、事務局の運営会社で、私の構想をすんなり理解し高い共感を示してくれる人が1人いた。その方はランニング好きで運動習慣のある人。正直ペルソナのちがいはあるのかもしれない。
 とはいえ、世の中そういう人ばかりとは限らない。あまり自分と感心の合わない人に言いたいことを端的に伝えることの重要性を痛く学んだのも事実。また、コンパクトなプレゼからその後の関心を広げる手もあるのだなと改めて理解した。
 一方で、以下のことも学びになっただろうか。
・どんな属性かわからない相手に対しては「20%だけ説明できればいい」と割り切る。
・人間は短時間ではシングルイシューしか理解できない生き物。
・ターゲットとなる「わかる人」が中心に集まるステージやエリアに出る場を絞り込むことも必要

・「相手が悪かった」「運が悪かった」の割り切りも時には必要かもしれない

 やりたいこと、やるべきことは書ききれないので省略するが、1つだけ。海外の英語ピッチでまたリベンジしたい。まずはオンラインでもいい。サンフランシスコやシリコンバレー…素晴らしい場なのだけど、私の構想との相性を考えた場合、「天候が良すぎて寒暖差がなさ過ぎて」むしろ不向きのような気がする。NY、テキサス、ヨーロッパ(特に西~南)拠点の英語ピッチがいいだろうか。台湾やインドでもいいかもしれない。

 テクニカルな部分は、また稿を改めてNOTEで振り返りたい。

 いろいろな意味で、「Challenge」を味わえたのは貴重な体験だった。せっかくこの「Challenge」ができたのだから、これを以下の自分目標の実現に生かしていきたい。

【目指す社会】
2100年以降も人々の頑張り、挑戦、貢献、感謝が守られる社会
-美しく、カッコよく、気候危機から夢や機会を守りたい-

 余談だが、多くのメンバーの帰国便がSFの深夜発の便だった。そのため、現地運営会社のオフィスでしばらく歓談していたのだが、その時に上記のA氏が登場。A氏は、伝えるべき大事な要点や、ピッチの失敗談も自ら話してくれていた。もしここにA氏が来なかったら、危うくA氏にネガティブなイメージを持ったまま帰国していたところだったなあ…(でも、あえてそのイメージを持ったまま帰国した方が「臥薪嘗胆」になってよかったかもという気もする。どちらがいいかはわからない。)

おまけ

 SFでの自由時間を使ってあちこちいった場所の写真をいくつか紹介しておこう。実はこちらがメイン?に見えてしまうかもしれないが…

チェイスセンター(NBAウォリアーズの本拠地)-1
チェイスセンター(NBAウォリアーズの本拠地)-2
オラクルパーク-1
オラクルパーク-2
海越しのアルカトラス島
ジャパンタウン-1
ジャパンタウン-2
市庁舎
ツイッター本社
カストロ地区-1
カストロ地区-2
Pier39
ケーブルカー
路面電車の中
夕暮れ
坂だらけ…

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