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#45 生地胴倶楽部®稽古会のレポート

筆者が管理運営する「生地胴倶楽部」では、年に1~2回の稽古会を開催しています。「生地胴倶楽部 on facebook」を開設したのが2015年。2016年10月には第1回の稽古会を開催しました。このときの参加者は12人、その後はコンスタントに20数人が集まり、2019年に開催した第5回稽古会は、専門誌『剣道日本』の取材もあり、50人近い参加がありました。
この記事を書いている数日前、2023年11月25日には第7回の稽古会を開催し、約30人の生地胴愛好家が集まりました。

■稽古会の主役は?

この稽古会の主役は参加者=人ではありません。
主役は、生地胴です。
毎回の記念ともいえる集合写真も最初は生地胴だけで撮影します。
この風景がとてもユニークで、ちょっとした撮影会の体になります。

普通の稽古会では見かけない風景です。
ちなみに第1回の稽古会より。
まだまだ小さな会でした。


2022年第6回稽古会。2020.21年はコロナ禍で休止していました。※


もちろん、参加者全員での撮影も。

2019年10月 第5回稽古会より。※
2018年 第3回稽古会の胴のみ集合写真。
2023年11月 第7回稽古会。
こうして上の第3回時と比べると、単色だった生地胴が、ブームとともにカラフルになってきているのがわかります。※

■全員生地胴の一体感

ケガを防止するためにもしっかりと準備体操を行い、また切り返しも全員で取り組みます。

全員で揃って素振り。


全員で切り返しを行います。※


「しっかりやるんだなー」と感心されたことがありますが、実は見た目の面白さを感じたいからだったりします(笑)
全員が生地胴を身に着け、準備体操したり切り返しをしたりというのはひとつのチームのようでイイですよね。

その後はとにかくみんなで稽古!です。
それだけといえばそれだけで、何の工夫もないのですが、それで十分に交剣知愛の神髄を楽しめます。
生地胴がその楽しみのために大きな役割を果たしてくれるからです。
ちなみに、生地胴をお持ちでない方には会員が手持ちの生地胴を貸し出していますので、「生地胴を持っていないから参加できない」ということはありません。

■参加者は平等に

この稽古会では、段位やキャリアによる上下、優劣を見出さないようにしています。よって、原則としてこの稽古会は「指導禁止」としています。
日ごろ一緒に稽古をしているメンバー同士であればなんらかの順列や指導を、ということもあるかもしれませんが、この会は前述のとおり主役は生地胴であり、そのオーナーの集まりに過ぎませんので。

地稽古も、声をかけられた方=お願いされた方が元に立つというルールにしています。

「上がってください!」
「イヤイヤ!センセイが上ですから!」
「イヤイヤイヤ…」
…というようなエンドレスな譲り合いもココでは不要としています。

(倶楽部内でも筆者は「先生」と呼称されることを遠慮しています。
たんなるオーナーズクラブの管理人に過ぎないからです)

この独自とも感じられるルールがとても興味深くとらえられ、またよく注目を集めます。実はこのルールは、剣道関連SNSの先駆けともいえる「いちに会~電脳剣士稽古会」のそれを拝借しています。ちなみに私自身もこの会には随分前からたびたび参加させていただくなど、お世話になっています。
余談ですが、この「平等」の考え方については、生地胴のルーツが稽古用の胴であるように、生地胴自体にも優劣はないという考え方にちなんでいるところもあります。

■生地胴という共通項がもたらすもの

面を着けての稽古開始直前。※

「初対面の人と剣道や防具の話で盛り上がるのは稽古会の醍醐味ですね!
生地胴という共通の話題があるので、話しやすいです」

先日の稽古会に参加してくれたメンバーのひとりが、オーナーズクラブの性質を持つ生地胴倶楽部の魅力をこのように見事に表してくれました。

毎回初参加の方が増えていくのがまた、この稽古会の面白さです。
それは「生地胴から」話が盛り上がり、共感しあうことができて、入り込みやすいからではないかと思います。
稽古会自体は、会場入りから完全撤収まで3時間あまりという決して長くない時間なのですが、そこに北は北海道、南は大分・長崎から…会場となる東京まで駆けつけてくださる方もいてありがたい限りです。

毎回二刀、上段などさまざまな遣い手が集まるのもこの稽古会の特徴です。

■あとがき―今後の稽古会は

これまで開催した7回の稽古会は全て東京都内を会場にしてきました。
「自分の住んでいる地域の近くでもぜひ開催してほしい」という声を多くいただくようになっていますので、今後は違う地域でも開催したいと思案しています。
また、当倶楽部はSNSによる画面をとおしたやり取りが主ではあるものの、あえて匿名性を避け、メンバー同士お互いを尊重できるような運営を心掛けています。それゆえにFacebookでの非公開グループとし、稽古会もメンバー限定としています。ただ、立ち上げから8年が経過し、Facebookユーザー自体の平均年齢層がそのまま持ち上がり、若い人が別のSNSに流れている状況です。それはそれでよいのかもしれませんが、生地胴の良さを広めるという考え方に鑑みると何か手を打ってもいいのかもしれません。
あくまでも倶楽部の稽古会としつつ、一度オープン参加OKの形式を取るのも面白いかな?とか、倶楽部の一体感が強まっている傾向もあるので、もう少しこのままでもいいかな?などなど、考えています。

生地胴ブームのピークはこれから上下に変動するとは思いますが、倶楽部自体は当面は安定が保たれると予測していますので、慌てることなく少しずつつ手を加え、より充実した稽古会と倶楽部の運営を図っていきたいと思案しているところです。

「※」が付いている写真は稽古会にも参加されている写真家のKEN五島(五島健太郎)さんに撮影していただきました ※

ではとりあえず、今日はこの辺で。

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