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「ニーベルングの指環」と「平家物語」


平家物語成立後700年の眠りから覚め、ドイツでは2022年に初めて「平家物語」のドイツ語翻訳が出版されました。

 ワーグナーの歌劇「ニーベルングの指環」の原作であるドイツ中世叙事詩「ニーベルンゲンの歌」も13世紀頃作られ、読み人知らずの口承文学、叙事詩、軍記物語、恋愛あり、滅びの美学ありで平家物語と重なる部分があり、平家物語はドイツ人にも親しまれる要素を持っている作品だと思っております。

 源義経は、軍人としては英雄だが政治に疎い点でジークフリートそのものだし、馬術が達者で戦場を颯爽と駆け抜ける巴御前はブリュンヒルデに見えるし、「姦淫」に厳しく一夫一婦制を提唱した北条政子は結婚の神フリッカの気質を持っています。

 平家が壇ノ浦で海に沈んで滅びゆくさまなんてまさに「神々の黄昏」ではないかと。

 オペラを愛してやまない作曲家三枝成彰先生は、「平家物語」を題材にワーグナーのような長編オペラを書くのが夢だとずっとおっしゃられております。日本には、「平家物語」という素晴らしい古典作品があるのだから、才能のある作曲家が現れて書いた平家物語のオペラを観てみたいと夢想するのも楽しいです。

平家物語のお能でよく使われる「負け修羅」の扇

歌劇「平家物語 Heike Monogatari)
序夜「清盛」(神々の長ヴォータンに見立てて)
第一日「義仲と巴」「頼朝と北条政子」(夫婦や家族愛の話に見立てて)
第二日「義経」(ジークフリートに見立てて)
第三日「壇ノ浦」(神々の黄昏に見立てて)
◎Wagner Götterdämmerung


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