窪美澄(2017)『水やりはいつも深夜だけど』角川文庫

映画『かそけきサンカヨウ』の原作本。映画と同じで、読後にどことなく透明で爽快な感情になる。家族や結婚や恋愛の、決して状況が一夜にして好転することのない絶望感は厳然としてそこにありつつも、それでもクリアな気持ちになれる不思議。

作者の窪美澄さんは男女を中心とした人間関係の「どうしようもなさ」を描く作品が本当に秀逸で、本作も全く期待を裏切らない。人間に対するそんな眼差しをこの世界のみんなが持てたなら、少しは世の中が穏やかになるのではないだろうか。

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